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キリンの話

photo by @Doug88888

 息子が小さいころ、ときどき車で動物園に連れていった。息子のほうは動物なんかよりももっと珍しいものが日常にあふれているので、特別な興味を示すことはなく、そのへんの電車とかバスと同程度の関心だったと思う。ただアシカとか象にえさをやるのは面白かったらしく、連れてまわるたびに小銭を消費した。なぜか人は動物がものを食べるところを見たがるものらしい。わたしも、当の息子が丸ボーロとかかりんとうを食べるのを見るのが好きだった。このこを喜ばせてあげた、というような、ちょっとした充実感があるのかもしれない。

 近所の動物園にはディディというオランウータン(風貌からずっと年寄りだと思っていたが本当は若かったのかもしれない。今調べたら18歳だった。オランウータンの寿命は50年くらいのようだから、まだ働き盛りだった)がいて、ときどき西城秀樹ばりのコスチュームに身を包んで空中散歩なる芸で客を沸かせるのだが、世の中のスターがそうであるように、獣舎の中ではずっと隅の方にうずくまって、他人との関わりを避けているようだった。わたしは妻と息子が他の動物を見ているあいだ、よく誰もいない獣舎のガラスのわきに座って、本を読んでいた。そうするとときどきディディは近づいてきて、なにをするわけでもなく、背を向けて毛繕いとかをしていた。別になにかがわかり合えたわけでも友達になったわけでもないが、いい時間だった。

 わたしは動物の中ではオランウータンが一番好きで、次がキリンで、次にトラが好きだがそんなことは本当にどうでもいいだろうとは思う。上海でトラの背中に乗れるときいてくそ寒い中バスで2時間もかけて上海動物園にいったこともある。結局トラには乗れなかった。

 一度だけ、息子とキリンのけんかを見たことがある。衝撃的な光景だった。YouTubeに動画があるので見たことがない人はぜひ見ていただきたい。

Fighting Giraffes - Excellent Footage - YouTube

 キリンは首をむちのようにしならせて相手を攻撃する。ときには立てなくなるほどのダメージを受けることや、死んでしまうこともあるらしい。攻撃しているほうもなんか痛そうだ。

 このブログには基本的に、なにかをつくるときに役にたつことを書きたいと思っている。わたしはソフトウェアと物語をおもに作っているので、それらに関係ありそうなことを書いている。物語をつくるうえでは、こういった知識は役に立つことがある。とりあえずでも雑学を挟めば、読者の目をひくからだ。将来、動物のバトルものとかを書くときにも使えるかもしれない。そのままだけど。

 物語をつくるのでなくても、この話からは教訓を得ることができる。

 それは、1. 動物は自分の一番得意なもので戦うということと、2. 抱いていたイメージと違うものを見ると、人は驚くということだ。