いきなり英語で話しかけられてもわちゃわちゃしないくらいの能力を身につける方法

　明日から一週間サンフランシスコに出張にいく。サンフランシスコには11月にいったばかりだけど急な仕事でまた行くことになった。わたしは英語があまり得意でない。あまりというのは、この前はじめて受けたTOEICのスコアが620点という、きわめて中途半端な能力しか持ち合わせていない。620点ごときがなにをいうかという感じだが、それでも先日、某シリコンバレー企業のパーティにいって、来日したCEOと話す機会があり、今度サンフランシスコにいくんだといったらちょうどいいからうちのオフィスに寄れよ、担当者を紹介するからみたいな話になって来週訪問することになった。620点でもそれくらいのことはできる。相手にもよるけど。

　1年ほど英会話学校にかよってみたことがある。なぜ思い立ったかというと、その前にしばらく上海に滞在していて、あまりにもすることがなかったのでNHKの英語放送ばかり見ていた。DVDも日本語字幕がないので英語で見ていた。そのときはまったく英語ができなかったが、日本語を使わないでいるとなんとなく英語ができるように思えてくるから不思議だ。それで、帰国してから英会話学校に通った。中級クラスみたいなところで英語を習ったのだけど、オーストラリア出身の先生は、わたしのしゃべっていることをほぼ完璧に理解してくれた。クラスメイトの中には、しゃべっている単語は中学生レベルで文法もめちゃくちゃだったけどとにかく喋り続ける人が何人もいた。わたしは単語がわからなくなるとすぐ黙り込んでしまう。それでもしばらく通ううちに少しずつ長くしゃべれるようになってきた。文法も発音も相変わらずめちゃくちゃだ。でも先生は完璧に理解してくれる。先生のいっていることも7割方は理解できる。とりあえず喋ってみれば通じるんだなと思ったが、それが大きな間違いであることにあとで気づくことになる。この間ネイティブのアメリカ人と1対1で仕事のミーティングをしたが、彼は5分くらいで苦笑いを始めて、10分後に通訳を連れてくる、といった。彼の話す言葉は2割しか理解できなかった。わたしの英会話の先生はほんとうは日本語が喋れたのだろう。会話というのは、思いやりが必要なものだ。

　それを差し置いても、喋ることは重要だと思う。中国にいたときも、中国でビジネスを始めるといっていた知人はとにかく中国語で話し続けていた。タクシーの運転手にも、しらないおじさんにも話しかけていた。たいていは無視されていたけど。ああいう人は伸びるのだと思う。この前本田の移籍会見があって、文法が間違っているとかいう人がいたけど、伝わればなんだっていい。今更デーブスペクターの日本語が間違っているという人はいない。そこそこ勉強したくらいで完璧な英語を喋ることはできない。

　外国語を身につけるというのは、勉強ではなくて訓練によって身につくものだ思う。とっさに文章をくみたてる能力や、英単語を聞き取る能力というのは、一朝一夕にできるものではない。

　英語ができるようになるためには、ざっとこんな知識と能力を身につける必要がある。

文法の知識
単語の知識
英文を読める能力
発音できる能力
英語を聞き取る能力
文章を組み立てる能力

　これらのうち、学校で習うのは、文法、単語、リーディングだけだ。半分の能力は完全に欠如している。リスニングの訓練をしていないのに、テストでリスニングができるわけがない。訓練しなければ、tunnelもtheoryもthemeも聞き取れない。わたしはブラインドタッチと英語のリスニングは小学校で訓練として実施すべきだと思う。どちらも大人になったときにぜったいに必要だからだ。

　最後に、センター入試レベルの人が大人になってから英語勉強するなら、これだけはぜったい買っといたほうがいい本を厳選して紹介する。紹介され尽くしている本ばかりではあるけど、効率的に勉強するならこれ。620点でもいい本の紹介くらいはしてもいいだろう。