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実をいうと、きみを監視してたのはジャグジーじゃなくておれなんだ

エネミー・オブ・アメリカ [Blu-ray]

エネミー・オブ・アメリカ [Blu-ray]

エネミー・オブ・アメリカを見るまでもなく、国民の監視というのは政府がやるものと相場が決まっている。

先日、ドライブレコーダーが売れているという記事を読んだ。すでにタクシーの搭載率は5割を超えているらしい。わたしはタクシーについているのは客がトラブルを起こしたりしないように犯罪抑止の目的で搭載されているものだと思っていた。ドライブレコーダーの本来の用途は、車両前方の映像を常時記録して、交通事故が起こったときに正当性を証明するために使うものらしい。最近のタクシーは前方と室内の2台のカメラがついているものも珍しくない。事故を起こしたときに言い逃れできないため、ドライバーの心理的な事故防止にもつながるのだそうだ。

そのドライブレコーダーが、個人用途として普及が進んでいるという話だった。Wikipediaによると2008年の個人用途での普及率は0.1%と書かれてあるが、最近のこちらの調査では5.9%、とある。

個人用途で普及している理由としては、価格が安くなってきたことに加えて、映像を常時記録することでライフログの用途に使うユーザーが増えているのだそうだ。確かに、Youtubeにはドライブレコーダーで記録したさまざまな映像がアップされている。この前は、民間人のドライブレコーダーが撮影した映像が誘拐事件の犯人逮捕につながったというニュースをやっていた。

気づかないうちに撮影された自分の写真がFacebookにアップされているというようなことは日常的にある。キリっとした写真ならまだいいけど、だいたいは飲み会での醜態だったりする。わたしも含め、誰もがSNSのネタに備えてスマホをポケットに忍ばせている。目の前でおっさん同士が喧嘩をはじめようものなら、正義感の強い人々が容赦なくスマホを向けれてYoutubeにアップする。すでに、ドライブレコーダーと同じように、腕につけて音声を常時録音したり、首からぶらさげて常時映像を記録できるデバイスも売られている。それは前に言ったとか言わないとか、金を返したとか返さないとかいったトラブルがなくせるなら便利そうだ。もうすでに、自分の発言や行動は誰かが記録していると考えたほうがいいかもしれない。

常時録音、必要時だけ保存できるウェアラブル機器「Kapture」 « WIRED.jp

Home - Autographer - The World's First Wearable camera

前に秘密の価値というエントリーを書いた。個人の行動が常時記録されている社会においては、秘密を持つリスクが高くなる。不正をしようとしても、誰がその証拠を記録していつ暴露されるかわからないからだ。だから秘密を保つコストが高くなり、秘密を持つのはばかばかしいという風潮になる。不正や後ろめたいことをせずにまじめに生きているほうが、リターンを得られる可能性が高くなる。一方で、コストを払ってでもどうしても守らないといけない秘密を守りたいという需要が増える。

それから、誰もが行動を記録する側の人間と、行動を記録される側の人間にわかれることになる。 記録する側になるのは、危機管理の意識が高い人や、正義感の強い人、自分の行動をライフログとして残しておきたいと思うようなタイプの人だ。犯罪や不正をしようとしている人は、証拠が残ると困るので、自分の行動を記録したいと思ったりしない。だからそういう人々は、誰かから行動を記録される側にまわることになる。有名人もこちらに入るかもしれない。有名になって行動が制限されるのを防ぐために、あえて有名にならないという選択肢をとる人が増えるだろう。

人類総ケイドロ時代はすぐそこに迫っている。