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ブレイキング・バッド 全62話をみた

前に書いたように、Huluでブレイキング・バッドという海外ドラマをみていた。昨日ようやく最終話を迎えた。Wikipediaによると、アメリカでは2008年の1月20日から2013年の9月29日に最終話が放送されたらしいから、約6年分を2ヶ月でみたことになる。平均して毎日2本のペースでみていた。途中で挫折しなかった海外ドラマは初めてだ。

ブレイキング・バッドのおもしろさを人に伝えようとしても、たいていはうまくいかない。癌を宣告された冴えない教師が覚醒剤を作って麻薬王になるというのがストーリーの大筋だけど、それをだれかに話しても、へえ、という反応で終わる。テロリストも出てこないし、宇宙人が人間に化けてやってきたりもしない。わたし自身、概要を聞いてもそれほど面白そうだとは思わなかった。エミー賞やゴールデン・グローブ賞を総取りという触れ込みや、ネットでの賞賛の記事がなかったら観てみようという気にはならなかっただろうと思う。

このドラマのすごいところは、62話もあるのに過不足がないところだ。50歳を迎えた余命残りわずかの主人公の物語が、まっすぐ膨れあがって、そして収束に向かって降下していく。もちろん途中にはひたすらハエを追いかけるだけみたいな、なくてもいいような回もあるけど、全体としてきれいに調和がとれている。途中で話の軸がぶれることもないし、主人公を成長させるための無駄なエピソードもない。6年も続いたドラマとしては奇跡的に思える。主人公は最初から最後まで、一貫してブルー・メスと呼ばれる覚醒剤を作り続けて金を稼ごうとする。利益を増やすために新しいディストリビューターと手を組んでは必ず対立する。

主人公のウォルターは最初、家族にお金を残すために覚醒剤を作り始めるが、どんどんエスカレートして、傲慢で自分勝手になり、感情移入できなくなる。シーズン3あたりから吹っ切れたように他人を利用し、邪魔な人間を排除し、自分の利益を守ることしか考えなくなる。だんだんと同情できなくなり、終盤はただの醜い中年の嫌なやつにしか見えなくなってくる。最終話の妻のスカイラーへの告白が、このドラマの核心を物語っている。人は他人を期待してはいけないし、誰かの期待に応えようとしてもいけない。自分のために、他者に貢献するものだ。

最後に動画を紹介する。主人公のウォルターとジェシーは、麻薬の元締めで凶悪なトゥコに拉致されてメキシコに送られそうになる。ウォルターは毒物をトルティーヤにまぜてトゥコを殺そうとする。その場にはヘクターというトゥコの叔父で痴呆の老人がいる。難なく毒殺できるように思えたが、あと1歩のところでことごとくヘクターに邪魔をされる。とてもスリリングなシーンでわたしはすべてのシーズンとおしてこの話が一番好きだ。

A Tribute to Hector Salamanca - Breaking Bad (SPOILERS!) - YouTube