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自由の国と中国

先週は上海にいた。上海には前にも書いたように、延べで1年間くらい滞在していたことがある。3年前の話で、そのときのレートは1元が12円だった。今は、今日のレートで18.7円だ。これに、年間10%ずつ物価が上昇しているから、日本人からすると中国でものを買う値段は倍になったといっていい。駐在している方々も、家賃が2年で倍になったと嘆いていた。

わたしは以前、上海に来たときはよくマッサージを利用していた。だいたい1時間で1500円くらいだったから、割安感があった。ただしクォリティはあまり期待できなくて、テレビを見ているおばちゃんにただ体を押されているという感じのことも多い。今は倍の値段だ。3000円払うなら、日本でも同じ値段でずっといいサービスが受けられるので、今回わざわざ行く気にはならなかった。同じ理由で、上海でカラオケに行くことももうないだろうと思う。中国でいうカラオケとは日本のキャバクラみたいなもので、女の子が横について好きなだけカラオケを歌える店のことだ。KTV(カラオケTV)というよくわからない略称で呼ばれることもある。カラオケにいくと必ずボトルを入れないといけなくて、それが1000元くらいする。今はもっと高いのかもしれない。それとは別に女の子のチップとテーブルチャージがあって、今だとひとりで行くと3万くらい取られることになる。さすがにサラリーマンが気軽に飲みにいって払える値段ではない。わたしが滞在していたころはカラオケ店は日本人客で溢れていたが、今はめっきり客足が減っていて、店側も中国の富裕層相手にシフトしているのだそうだ。行き帰りの飛行機でも以前はあれほどいた日本人のビジネスマンを見かけることが少なくなった。大半が中国人のビジネスマンと家族連れだ。中国の富裕層が増え、マーケットが拡大している一方、人件費の安さをあてにしたオフショアはもう厳しいという印象がある。

日本に戻ってくると、煙草のにおいがとても気になることを前から不思議に思っていた。海外ではいろんな嗅ぎ慣れない匂いが入り乱れているので鼻が麻痺しているのかもしれないが、多少異臭がしてもなにも感じない。日本だと、近くで煙草の匂いがするとすぐに分かる。ちなみにわたしは喫煙者だ。いつからこんなふうになったのだろうと思う。20年前はそうではなかった気がする。どこでも平気で煙草が吸えたので、逆に煙草の匂いはあまり気にならなかった。高校生のときは教室や部室で煙草を吸っても誰にも気づかれたりしなかった。今だったら一瞬でわかるだろう。中国ではトイレットペーパーを便器に流すことができないので、使ったものは近くのごみ箱に入れないといけない。トイレが詰まることもざらにあって、高級レストランのトイレが汚物で溢れているような光景も日常的にある。抵抗はあるが慣れればまあなんとかなる。現代の日本では不衛生なものは徹底的に隠されている気がする。前に見たテレビの番組で、潔癖症の人が出ていて、家に帰ったら財布に入っている紙幣の一枚一枚まで洗わないと気が済まないのだといっていた。あまり幸せそうではなかった。上海に駐在している同僚に、中国のいいところはどこかと尋ねたら、自由なところだと答えた。インターネットが検閲される国に自由があるといわれると違和感を持つかもしれないが、わたしは共感できた。中国ではまわりの人の目を気にして生活する必要はないし、いちいち細かいことに承認を得る必要もない。未成熟で人間が平等でないことを前提とした社会には、ある種の自由がある。

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