HuluとWOWOWと地上波テレビの違い

ちきりんさんのブログを見て思ったこと。

http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20141115

Chikirinの日記

先日、WOWOWを契約した。去年までテレビを見ることはほとんどなかったのだけど、Huluでブレイキングバッドにはまっていたあたりからテレビの面白さを再発見したからだ。テレビの面白さというか、つまり週1で通っていたTSUTAYAに行かなくてもいいということに気づいたということだ。地上波放送をほとんど見ていないのはあまり変わらない。

今、うちのリビングでソファから1ミリも移動せずにテレビに映像を映す手段は4つある。

  • 地上波もしくはBSの放送を観る
  • WOWOWを観る
  • Huluを観る
  • iTunesでコンテンツを購入して映画やライブを観る

うちのテレビにはパナソニック製のハードディスクレコーダーとアップルTVとが接続されていて、HuluとWOWOWに契約している。ランニングコストは合わせて3280円。安くはないが毎週TSUTAYAで1000円使うよりは安い。昔はPRIDEを観るためにスカパーを契約していたけどコンテンツの質が低すぎて観るものがなくて解約した。

Huluはいつでも好きなコンテンツを定額で観られるというところに利点がある。連続もののドラマなどはいちいち放送を待っていられない。62話もあるブレイキングバッドはHuluじゃなかったらきっと観なかっただろうと思う。こどもがぐずったらいつでも妖怪ウォッチの好きな回を見せることができるし、ちょっと時間が空いたときに古い映画を楽しむこともできる。最新の映画はHuluにないことが多いので、iTunesはで補完することができる。わたしはどうしても観たい映画は映画館で観るので、利用する頻度は少ない。

WOWOWは地上波と同じブロードキャストだけど、コンテンツの方向性が違う。最近、テニスの全米オープンで錦織選手が素晴らしい活躍をしたために、WOWOWの加入者数が激増したというニュースを聞いた。WOWOWはWOWOWでしか観られないコンテンツを提供するということに強みがある。日本で総合格闘技のUFCやサッカーのリーガ・エスパニョーラや宝塚をどうしても観たい人々が、WOWOWに加入する。だけどUFCとリーガ・エスパニョーラと宝塚すべてに興味がある人はあまりいない。そういう意味では、WOWOWはHuluやiTunesと同じように、興味がある人に興味があるコンテンツを売っているといえる。オンデマンドかブロードキャストかの違いはあるけど、ハードディスクレコーダーがあればその差はそれほど気にならなかったりする。あらかじめ、番組表から1週間分まとめて興味のある番組を録画予約しておけばよいからだ。もちろん、スポーツ中継などはブロードキャストならではの利点を活かすこともできる。

地上波放送というものは、オンデマンドではなく、コンテンツ売りでもない。基本的に、なるべく多くの人が興味を持ちそうな番組を、ブロードキャストで流すという性質のものだ。どの番組にも司会者がいて、毎週決まった時間に放送される。昔のラジオの延長といっていい。だから単一の作品や試合ではなく、番組という連続性のある形態である必要がある。だからテレビ局はスポーツの中継にわざわざスポーツ番組の冠をつけて、連続性を持たせている。そうでないと視聴者が混乱するからだ。スポンサーの都合もあるのかもしれない。地上波放送にとっては、決まった時間に最大公約数の視聴者をターゲットとした番組がブロードキャストされているという点が唯一の強みといえる。WOWOWならどんな時間にUFCをやっていても観たい人は観るが、地上波ではそうではない。笑っていいともはお昼にやっていないといけないし、サザエさんは日曜の夕方にやっていないといけない。サザエさんをわざわざ録画して観る人はほとんどいない。

わたしはテレビのフォーマットをどうこうしようとかいう議論は、雑誌や新聞が今後生き残っていくにはという話と同じくらいどうでもいい。国民の40%が同じ番組を観ていたということが異常なのであって、そんな時代はもう来ない。バグルスはMTVのオープニングでVideo kills the radio starと歌った。そのMTVを殺したのはナップスターやYoutubeかもしれない。それでもテレビを観る人は今もいるし、ニュースやワイドショーやバラエティみたいにマス向けにブロードキャストの強みを活かした番組のニーズがなくなるわけではない。ただそういうものはどんどんつまらなくなるだろう。ヨルタモリは素晴らしいがあれはマス向けという気がしない。それよりも、質の高いコンテンツを観るための選択肢が増えたことは単純に良いことだと思う。