マチルノニッキ 2019-02-19T12:13:10+09:00 ryokdy Hatena::Blog hatenablog://blog/12921228815713688869 無理やり写真を趣味にしようと思って中古のOM-Dを買ったらコスパ最強だった話 hatenablog://entry/6653586347153334881 2016-01-17T21:35:56+09:00 2016-03-24T17:15:41+09:00 これから仕事で写真を撮る機会が増えるので、写真を趣味にすることにした。というか、趣味にしなくてもすっかり仕事と趣味の境目が曖昧になってしまっている。勤めていたときには考えられなかったことだけど、もうスイッチのオンオフというのはないんだなと思う。 カメラは10年くらい前に一眼レフの入門機を持っていた。いろいろ触ってみたのだけど、思ったような写真が撮れなかったのであまり活用はできなかった。ISO感度と露出の違いもわからなかったし、レンズを交換する意味もわからなかった。それに重くてかさばるので、持って外に出る機会はどんどんなくなっていった。だから、一眼レフだからといってプロみたいな写真がとれるわけで… <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160117/20160117213024.jpg" alt="f:id:ryokdy:20160117213024j:plain" title="f:id:ryokdy:20160117213024j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>これから仕事で写真を撮る機会が増えるので、写真を趣味にすることにした。というか、趣味にしなくてもすっかり仕事と趣味の境目が曖昧になってしまっている。勤めていたときには考えられなかったことだけど、もうスイッチのオンオフというのはないんだなと思う。</p> <p>カメラは10年くらい前に一眼レフの入門機を持っていた。いろいろ触ってみたのだけど、思ったような写真が撮れなかったのであまり活用はできなかった。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/ISO%B4%B6%C5%D9">ISO感度</a>と露出の違いもわからなかったし、レンズを交換する意味もわからなかった。それに重くてかさばるので、持って外に出る機会はどんどんなくなっていった。だから、一眼レフだからといってプロみたいな写真がとれるわけではないということは知っていた。腕がまったくないので、それを補うためにそれなりのカメラを入手する必要がある。といっても、会社を始めたばかりで収入の少ない身からすると、大きな出費はできない。</p> <p>いろいろ調べていたら、ミラーレス一眼というものがあることを知った。機構が簡略化されていて、普通の一眼レフよりもコンパクトなのだそうだ。持ち運ぶことを考えると、サイズが小さいのは魅力的だ。その中でも<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AA%A5%EA%A5%F3%A5%D1%A5%B9">オリンパス</a>のOM-D M1という機種が目を引いた。子供のころに家にあった<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D5%A5%A3%A5%EB%A5%E0%A5%AB%A5%E1%A5%E9">フィルムカメラ</a>みたいでかっこいい。ファインダーがない普通のミラーレスだと、写真撮ってるっぽさがでないので魅力半減だけど、これはファインダーもちゃんとついている。</p> <p>決定的だったのは、プロのカメラマンも常用しているというこの記事を読んだことだった。いろいろなところでミラーレスは一眼レフと比べて写真の質が落ちると聞いていたけど、どの写真もドラマチックですばらしい。作品は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Adobe%20Photoshop">Adobe Photoshop</a> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Lightroom">Lightroom</a>で現像していますと書かれてあったが意味がわからないのでスルーすることにした。</p> <p><a href="http://dc.watch.impress.co.jp/docs/review/omdme/20151125_731951.html">&#x3010;&#x79C1;&#x304C;OM-D&#x3092;&#x4F7F;&#x3046;&#x7406;&#x7531;&#x3002;- My Style, My Olympus -&#x3011;Vol. 01&#xFF1A;&#x5730;&#x5143;&#x306E;&#x96A0;&#x308C;&#x305F;&ldquo;&#x7D76;&#x666F;&rdquo;&#x3092;&#x63A2;&#x3057;&#x3066;&#x301C;&#x6728;&#x6751;&#x7422;&#x78E8;&#x3055;&#x3093; - &#x30C7;&#x30B8;&#x30AB;&#x30E1; Watch</a></p> <p>アマゾンで見たらOM-D M1の価格はレンズキットで158,000円だった。まあこんなものなのだろう。が今はちょっと手が出せない。なにしろこっちは完全な素人なので使いこなせるかどうかも自信がない。が安いカメラを買ってもそれなりのものしか撮影できないことはわかっていた。とりあえず様子をみようかなと思っていたところで、ふと見たらOM-D M5というワンランク下の機種が中古で本体のみ35,000円で売られていた。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00EY6AV3W/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41QkiMoYtqL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 12-40mm F2.8 レンズキット ブラック 防塵 防滴 OM-D E-M1 12-40mmF2.8LKIT" title="OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 12-40mm F2.8 レンズキット ブラック 防塵 防滴 OM-D E-M1 12-40mmF2.8LKIT"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00EY6AV3W/ryokdy-22/">OLYMPUS ミラーレス一眼 OM-D E-M1 12-40mm F2.8 レンズキット ブラック 防塵 防滴 OM-D E-M1 12-40mmF2.8LKIT</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%AA%A5%EA%A5%F3%A5%D1%A5%B9">オリンパス</a></li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2013/10/19</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Camera</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00EY6AV3W/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (11件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>3年ほど型落ちの機種だけど、わたしには十分だ。ただ本体だけとなると、レンズを別途購入しないといけない。カメラというのは下手をすると本体よりもレンズのほうがお高いものだということを学習したばかりだ。いろいろと調べてみると、OM-Dのレンズは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%A4%A5%AF%A5%ED%A5%D5%A5%A9%A1%BC%A5%B5%A1%BC%A5%BA">マイクロフォーサーズ</a>という規格で、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/LUMIX">LUMIX</a>のレンズも使えることがわかった。わたしは<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D1%A5%CA%A5%BD%A5%CB%A5%C3%A5%AF">パナソニック</a>信者なのでこれも気に入った。ネットに<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/LUMIX">LUMIX</a>の20mmは神レンズと書かれてあったので、それを鵜呑みにして一緒に購入することにした。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%B1%BE%C7%C5%C0">単焦点</a>のレンズなのでズームはできないが、そのぶんズームレンズよりも明るい写真が撮れるらしい(レンズには固有の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/F%C3%CD">F値</a>というのがあって、小さいほど明るいんだそうだ。F1.7というのはそうとうに明るい部類らしい。ただ、明るくてなにがいいのかはこのときはわからなかった)。ズームできないということに不安があったが、その画角でしか撮影できないというのはずいぶん男前な感じもする。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00DNU9D84/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51FTd3i5wWL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="Panasonic マイクロフォーサーズ用 交換レンズ LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH パンケーキレンズ ブラック H-H020A-K" title="Panasonic マイクロフォーサーズ用 交換レンズ LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH パンケーキレンズ ブラック H-H020A-K"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00DNU9D84/ryokdy-22/">Panasonic マイクロフォーサーズ用 交換レンズ LUMIX G 20mm/F1.7 II ASPH パンケーキレンズ ブラック H-H020A-K</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> <a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D1%A5%CA%A5%BD%A5%CB%A5%C3%A5%AF">パナソニック</a></li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2013/07/11</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Camera</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00DNU9D84/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (1件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>数日して、カメラとレンズが届いた。ここから素人感満載の感想ばかりなので、カメラに詳しい人は呆れるかもしれないけど恐れずに書く。慣れない手つきでレンズをとりつけてみると相当コンパクトだ。これならカバンの中にも放り込んでおける。けっこうモノは雑に扱うほうだ。試しに何枚か撮影してみた。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%A4%A5%AF%A5%ED%A5%D5%A5%A9%A1%BC%A5%B5%A1%BC%A5%BA">マイクロフォーサーズ</a>はセンサーが小さいのでボケにくいとネットには書かれてあったけど、絞りを開くとちゃんとボケてくれる。明るいレンズというのは、光を取り込む穴の面積が大きいということで、光が通る面積が大きいということはそれだけピントがあう距離の範囲が狭くなる。つまりボケやすい。ようやく明るいレンズが良いという意味を理解した(気がした)。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B9%A5%DE%A5%DB">スマホ</a>よりもずいぶん見栄えがいい写真が撮れたので、とりあえず写真は楽しいものだということがわかって安心した。仕事のために無理やり趣味にすることにしたのだけど、楽しくない趣味というのはつまりただの仕事でしかない。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20151222/20151222101242.jpg" alt="f:id:ryokdy:20151222101242j:plain" title="f:id:ryokdy:20151222101242j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160101/20160101113938.jpg" alt="f:id:ryokdy:20160101113938j:plain" title="f:id:ryokdy:20160101113938j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%A4%A5%AF%A5%ED%A5%D5%A5%A9%A1%BC%A5%B5%A1%BC%A5%BA">マイクロフォーサーズ</a>のレンズというのは、35mm換算だと値が倍になるのだそうだ。つまり自分が持っているのは20mmのレンズだから40mm。その35mm換算という寸法をよく理解はしていないが、35mm換算で40mmのレンズを持っているといえば誰でも、ああそれくらいねとわかるらしい。で、今度は35mm換算で100mmくらいのレンズが欲しくなった。それなら最初からズームレンズを買えよという感じなのだけど、いいズームレンズは高くて10万くらいするんである。しかもその画角だけの性能なら<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C3%B1%BE%C7%C5%C0">単焦点</a>のほうがよかったりする。気が付いたらシグマというメーカーの60mm(35mm換算120mm)をアマゾンでぽちっていた。よくカメラ屋でレンズがショーケースに並んでいるのを見て、なんじゃこれはレンズとか一個でいいじゃないかと思っていたけど、ようやくたくさんある意味がわかってきた。この画角ならこれとか、風景を撮りたいならこれとか、ズームしたいならこれとかいうふうに、レンズには一長一短があるのだ。とても恐ろしい。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D3%A5%C3%A5%AF%A5%EA%A5%DE%A5%F3%A5%C1%A5%E7%A5%B3">ビックリマンチョコ</a>に最強のシールが存在しないのと同じだ。金もないのにふらふら買ってしまいそうだ。本体に3万5千円しか出してないのに、今度は8万の広角レンズを普通に買おうかなとか思ってしまったりする。ろくにまともな写真も撮っていないのにレンズばかり集めてもただのマニアになってしまうので、我に返ってしばらくはこのふたつのレンズで練習すると決めた。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00CMRTVFE/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/31qpkoOMbxL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="SIGMA 単焦点望遠レンズ Art 60mm F2.8 DN ブラック マイクロフォーサーズ用 350635" title="SIGMA 単焦点望遠レンズ Art 60mm F2.8 DN ブラック マイクロフォーサーズ用 350635"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00CMRTVFE/ryokdy-22/">SIGMA 単焦点望遠レンズ Art 60mm F2.8 DN ブラック マイクロフォーサーズ用 350635</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> シグマ</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> エレクトロニクス</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00CMRTVFE/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログを見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>2週間くらい使ってみたところで、写真についてわかったことがふたつあった。ひとつは、画像フォーマットはRAWにしろということ。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/JPEG">JPEG</a>でもどうせピクセルに戻すのだから同じだろうと思っていたけど、あとで編集するために<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Mac">Mac</a>で開いたらRAWのほうが断然加工しやすいということがわかった。ちなみに<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Photoshop">Photoshop</a>は3年くらい前に買ったものがあったがどうしても使いこなせなかったので、Affinity Photoというソフトを購入した。セールで4,800円だった。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Lightroom">Lightroom</a>がなにかも最近ようやくわかった。わたしはアドビに思い入れはないので、もうSketch3とAffinity Photoがあれば十分という気がしている。</p> <p><iframe src="//hatenablog-parts.com/embed?url=https%3A%2F%2Faffinity.serif.com%2Fen-gb%2Fphoto%2F" title="Affinity Photo - Professional image editing software for Mac" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="https://affinity.serif.com/en-gb/photo/">affinity.serif.com</a></cite></p> <p>もうひとつは、100枚撮ったらなんとなくいい感じの写真が1枚くらいはあるということ。特に、いろいろ構図やらを考えて最高のショットを狙ったものよりも、とりあえず撮ってみたものの中に奇跡の一枚があったりする。これはある意味<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%ED%A5%F3%A5%B0%A5%C6%A1%BC%A5%EB">ロングテール</a>というか玉石混合のネットっぽいというか、面白い発見だと思った。ちなみに、冒頭の写真はなにげなく通りかかった近くの野生の方のお宅を撮影したもの。今のところこの写真が一番気に入っている。</p> <p>以下は初詣の川崎大師にて</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160117/20160117213227.jpg" alt="f:id:ryokdy:20160117213227j:plain" title="f:id:ryokdy:20160117213227j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160117/20160117213245.jpg" alt="f:id:ryokdy:20160117213245j:plain" title="f:id:ryokdy:20160117213245j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>丸の内にて</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160117/20160117213330.jpg" alt="f:id:ryokdy:20160117213330j:plain" title="f:id:ryokdy:20160117213330j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160117/20160117213345.jpg" alt="f:id:ryokdy:20160117213345j:plain" title="f:id:ryokdy:20160117213345j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> ryokdy 起業して収入がほとんどなくなっても税金が減らないという話 hatenablog://entry/6653586347152131548 2016-01-08T12:09:50+09:00 2016-01-08T13:10:30+09:00 起業して半年がたった。会社を始める前は、しばらく収入はほぼなくなるけどその分税金は払わなくてよくなるわーと思っていたが、それがまったく間違いだったことがわかった。これから起業する人のために記しておくことにする。 会社を始めるときには、役員報酬というものを決めないといけない。これは一度決めたら、一年間は同じ額を払い続けないといけない。そして売り上げのないスタートアップの場合、その報酬は基本的に資本金から捻出することになる。資本金というのは、わたしがサラリーマン時代にあくせく働いて、税金を納めて残った大事な大事なお金で本当は息子を大学に行かせるために使われるはずのものだ。そのわたしの資本金からわた… <p>起業して半年がたった。会社を始める前は、しばらく収入はほぼなくなるけどその分税金は払わなくてよくなるわーと思っていたが、それがまったく間違いだったことがわかった。これから起業する人のために記しておくことにする。</p> <p>会社を始めるときには、役員報酬というものを決めないといけない。これは一度決めたら、一年間は同じ額を払い続けないといけない。そして売り上げのないスタートアップの場合、その報酬は基本的に資本金から捻出することになる。資本金というのは、わたしがサラリーマン時代にあくせく働いて、税金を納めて残った大事な大事なお金で本当は息子を大学に行かせるために使われるはずのものだ。そのわたしの資本金からわたしに役員報酬を払うと、そこから<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%EA%C6%C0%C0%C7">所得税</a>が持っていかれる。これは本当に意味がわからん。さらに資本金が底をついてくると、会社に、社長から借り入れるということをしないといけなくて、またお金を個人の口座から会社の口座に戻すという<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%DE%A5%C3%A5%C1%A5%DD%A5%F3%A5%D7">マッチポンプ</a>のような作業が必要になる。わざわざ銀行に出向いて振込手数料を払いながら数字だけが銀行を移動していくのを見るとなにをやってるんだという気分になる。</p> <p>それなら役員報酬なんか、売り上げが上がるまでゼロでいいだろうと思うかもしれないけど、そうはいかないんである。なぜかというと、わたしの生業は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%A6%A5%A7%A5%D6%A5%B5%A1%BC%A5%D3%A5%B9">ウェブサービス</a>で、ソフトウェアの開発人件費は資産計上されるからだ。つまり、いくらわたしに給料を払っても、リリースしない限り経費にならないし、5年かけてやっと全額経費になる(年に20%しか経費にできない)。</p> <p>わかりやすく説明すると、年間の売り上げが500万だとする。わたしの会社は将来めちゃめちゃ儲けるつもりなので、この売り上げは赤字にしたい(赤字分の控除は9年繰り越せる)。今期赤字を出しておくことで、2期目以降の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%A1%BF%CD%C0%C7">法人税</a>負担を軽くすることができる。シミュレーションすると、トータルで50万近く税額を抑えられることがわかる。ところが、ソフトウェアの開発人件費が資産計上されるために、今わたしに支払っている役員報酬がすべて費用として計上されるのは5年後だ(リリースしなければもっと遅くなる)。つまり、将来の費用を今払わないといけないということだ。この期間は個人の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BD%EA%C6%C0%C0%C7">所得税</a>と、資産分の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%CB%A1%BF%CD%C0%C7">法人税</a>がのしかかってくることになる。</p> <p>いろいろな経営方針があると思うが、わたしは将来のことを考えると、今自分にそれなりの額の役員報酬を払っておいたほうがいいと判断した。だから大事な種銭から税金と振込手数料が搾り取られていくのを見ながら自分の口座から会社の口座へ、また会社の口座へと振込を続けている。</p> <p>ちなみに、昨年の<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%F1%CC%B1%B7%F2%B9%AF%CA%DD%B8%B1">国民健康保険</a>の負担はわたしの地域で年間77万円だ(わたしは元の会社の健康保険に任意継続したがそれでも50万)。それに<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B9%F1%CC%B1%C7%AF%B6%E2">国民年金</a>が月1万5千円。住民税。収入があることになっているので社会的な保証は一切なし。赤字なのにこれは厳しい。もう毎日泣きそうになっているけど、まあ自分で選んだことなのでしかたがない。</p> <p>スタートアップのソフトウェア資産計上に関する問題点については、議論と改善を希望したい。</p> ryokdy 会社を登記して銀行口座をつくるまで hatenablog://entry/8454420450103137885 2015-07-25T18:39:37+09:00 2016-01-08T10:32:15+09:00 銀行には法人口座というものがある。そもそもなんでひとりしかいないのに会社をつくる必要があるかといえば、会社名義の銀行口座がないと商売ができないからだ。極端な話、スタートアップにとっては銀行口座をつくるために会社をつくる必要があるといってもいい。個人でもできないことはないが、相手が法人でないと契約してくれない会社もあるし、個人では信用も低い。法人だからといって信用が高いわけではないのだけど、そういう習慣なのだからしかたがない。 そういうわけでまず会社を登記しないといけなかった。会社をつくるために準備しておくものはざっとこれくらいある。 会社名を決める これを決めないと始まらない。あんまり考えすぎ… <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20160108/20160108103210.png" alt="f:id:ryokdy:20160108103210p:plain" title="f:id:ryokdy:20160108103210p:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>銀行には法人口座というものがある。そもそもなんでひとりしかいないのに会社をつくる必要があるかといえば、会社名義の銀行口座がないと商売ができないからだ。極端な話、スタートアップにとっては銀行口座をつくるために会社をつくる必要があるといってもいい。個人でもできないことはないが、相手が法人でないと契約してくれない会社もあるし、個人では信用も低い。法人だからといって信用が高いわけではないのだけど、そういう習慣なのだからしかたがない。</p> <p>そういうわけでまず会社を登記しないといけなかった。会社をつくるために準備しておくものはざっとこれくらいある。</p> <h4>会社名を決める</h4> <p>これを決めないと始まらない。あんまり考えすぎるとそのうちになんかもうこれでよくね?みたいになる。一般的に、ダサい名前のほうが覚えてもらいやすいがあんまりダサいと将来困ることもあるので、バランスを考える必要がある。自分の会社名の由来は長くなるのでまたそのうち。</p> <h4>判子を買う</h4> <p><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%B3%DA%C5%B7">楽天</a>で会社登記セットみたいなのを8000円くらいで購入。代表印と、銀行印と角印のセット。</p> <h4><a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C9%A5%E1%A5%A4%A5%F3">ドメイン</a>をとる</h4> <p>メールアドレスがあったほうがなにかとやりやすいので、登記する前に<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%C9%A5%E1%A5%A4%A5%F3">ドメイン</a>をとって、<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Google%20Apps">Google Apps</a> for Workでメールが使えるようにした。スタートアップのメールってもう<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Google%20Apps">Google Apps</a>一択のような気がする。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%A4%A5%DC%A5%A6%A5%BA">サイボウズ</a>がんばれ。</p> <h4>登記する住所を決める</h4> <p>住所がないと会社の登記はできない。オフィスなんぞはないので、バーチャルオフィスを借りるか、自宅の住所で登記することになる。バーチャルオフィスを借りようと思ったのだけど、これまた審査が必要らしい。それにバーチャルオフィスだと銀行口座の審査に通りにくいと聞いたので、けっきょくバーチャルオフィスを使うのはやめた。このへんですでに心が折れかけている。</p> <h4>定款をつくる</h4> <p>なんやかんや書かないといけない。目的欄というのがあって、この会社でやる可能性がある<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%F6%B6%C8">事業</a>を思いつき次第かいていく。飲食店とかやらなさそうなのもいちおう書いておく。あと取締役の任期やら、資本金やらを決める。最初は自分で登記してみようかなとも考えたけど、めんどうくさいので<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%CA%CB%A1%BD%F1%BB%CE">司法書士</a>さんに頼むことにした。</p> <h4>資本金を銀行に振り込む</h4> <p>ただ自分の口座に資本金があるだけではだめなんだそうで、振り込んだことを証明するために通帳をコピーして提出する必要があるらしい。通帳なんかもってないのでまず個人の口座を<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%EA%A4%BD%A4%CA%B6%E4%B9%D4">りそな銀行</a>でつくることにした。なにやってんだという気がしなくもない。口座開設の理由はと聞かれて特に後ろめたいこともないんだけど若干挙動不審になっていやあメインバンクにしたいのでとかわけのわからないことをいった覚えがある。個人の口座は無事その日のうちに開設が完了。資本金はすぐ振り込んではいけなくて、定款の認証が済んでから振り込むのだそうだ。あ<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A4%A2%A4%E4%A4%E4">あやや</a>こしい。</p> <h4>定款認証、登記</h4> <p>このへんはもうすべて<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%CA%CB%A1%BD%F1%BB%CE">司法書士</a>さんにお任せした。登記までに定款の認証をしてもらわないといけない。登記した日が創立日になるんだそうだ。あんまり気にするほうではないんだけど、大安に合わせたらクローバ株式会社の創立日は2015年の6月22日になった。<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C2%E8%BB%B0%BF%B7%C5%EC%B5%FE%BB%D4">第三新東京市</a>に最初の使徒が襲来した日なのだそうだ。</p> <h4>無事会社の登記がおわる</h4> <p>これでようやく銀行に赴くことができる。 やってみてはじめて知ったのだけど、会社ができたからといって、かんたんに銀行口座がつくれるわけではない。昨今は<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%B6%A4%EA%B9%FE%A4%E1%BA%BE%B5%BD">振り込め詐欺</a>やなんやの問題があって、特に都銀でできたばかりの会社が口座をつくるのはかなり難しいのだそうだ。なんで法人の口座が特別なのかよくは知らないけど、振り込み限度額が高いのもあるし、法人の口座だと高額の入出金が頻繁にあっても怪しまれないからかもしれない。</p> <p>で、続いて銀行口座をつくる編</p> <h4>名刺をつくる</h4> <p>銀行で担当者に渡すために名刺を作った。ネットで1700円くらいだった。ロゴとかはいちおう事前にデザイナーにお願いしてちゃんと作った。</p> <h4>ホームページをつくる</h4> <p>なんで銀行口座をつくるためにホームページがいるのかと思うかもしれないけど、ネット銀行でもホームページがないとだめよというところがけっこうあった。さくらの<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/VPS">VPS</a>を借りて<a href="http://www.qloba.com">半日かけてつくる</a>。写真はネットで購入。とりあえずトップページだけ用意した。なんも書くことないし。 合わせて<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Facebook">Facebook</a>ページやら<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Twitter">Twitter</a>アカウントやらもつくっておく。</p> <h4>銀行へいく</h4> <p>印鑑証明やら会社の履歴事項全部証明書やらそういうのを取り寄せて、銀行に赴く。どこの銀行にいくかぜんぜん決めてなかったけど一番法人利用が多いというのでとりえあず<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BB%B0%C9%A9%C5%EC%B5%FEUFJ">三菱東京UFJ</a>に行ってみることにした。りそなさんごめんなさい。なぜかジャケットとか着ていった。</p> <p>銀行からしてみると、まっとうな取引のある会社だということを証明してくださいとうことになる。口座がないから取引なんかできないんですけどとか野暮なことをいってはいけない。幸い会社をやめてから個人で取引してくれた取引先がいくつかあったので、その契約書を合わせてもっていく。ホームページの印刷も忘れない。窓口のおねえさんは事務的に書類をうけとると、なにかご質問はありますかというので、他にこういうのがあれば審査に通りやすいとかいう書類があれば持ってきますが、なにかありますか? と聞いたら、「あ、逆にですかぁ?」といわれた。ぜんぜん逆にではない。</p> <p>翌週、確定申告の書類を持ってこいと呼び出しを受ける。そうして待つこと一週間</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20150725/20150725183419.jpg" alt="f:id:ryokdy:20150725183419j:plain" title="f:id:ryokdy:20150725183419j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p><span style="font-size: 200%"><b>無事口座ができました。</b></span></p> <p>これでようやくスタートライン。</p> ryokdy 会社を辞めてイバラの道を進むことになった hatenablog://entry/8454420450091895739 2015-04-18T17:07:01+09:00 2015-04-18T17:19:44+09:00 前のエントリーで不定期更新にすると書いてから、ずいぶん間が空いてしまった。この間になにがあったかというと、会社を退職してしまった。だから忙しくてブログを書く暇がなかったというわけではなくて、単に面倒だから放置してしまっていた。もともとこのブログは副業兼趣味で小説を書いていて、そのプロモーション目的で始めたものだった。わたしが勤めていた会社は副業が自由だったので、これの他にも副業をしていた。一年間やってみて現時点では電子書籍は費用対効果がまったく合わないことがわかったので、会社を辞めた身としてはお金にならないことからは足を洗うつもりだったのだけど、ふと思うことがあってこのブログは凍結しないことに… <p>前のエントリーで不定期更新にすると書いてから、ずいぶん間が空いてしまった。この間になにがあったかというと、会社を退職してしまった。だから忙しくてブログを書く暇がなかったというわけではなくて、単に面倒だから放置してしまっていた。もともとこのブログは副業兼趣味で小説を書いていて、そのプロモーション目的で始めたものだった。わたしが勤めていた会社は副業が自由だったので、これの他にも副業をしていた。一年間やってみて現時点では<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%C5%C5%BB%D2%BD%F1%C0%D2">電子書籍</a>は費用対効果がまったく合わないことがわかったので、会社を辞めた身としてはお金にならないことからは足を洗うつもりだったのだけど、ふと思うことがあってこのブログは凍結しないことにした。どんな経験からも得るものはある。ブログを毎週一年間書いてきたことからは副次的に大きな収穫を得た。これからどれくらいの頻度で書けるかはわからないけど、できる限り時間を見つけて書くことにしたい。これを機に、ブログとリンクしている<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/Twitter">Twitter</a>のアカウントは本アカウントに変更させていただいた。</p> <p>先週末が最終出社だったので、今週はこれから始めることを考えたり、人と会ったりして過ごした。余計な会議が入ったり頼み事をされたり<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B0%A5%EB%A1%BC%A5%D7%A5%A6%A5%A7%A5%A2">グループウェア</a>の通知を見たりする必要が一切ない、完全に自由な時間だった。仕事というものは基本的にやりたくないことをする代わりに楽しいことや幸福を得るための対価を得るものだ。あまりにもこの一週間が幸せすぎて、一日の半分をやりたくないことをして過ごすのであれば、やりたいことだけできれば人生が半分になってもいいのではないかとさえ思えた。けど現実は半分の人生でさえ、ただで手に入るほど簡単ではない。</p> <p>ちょうど1年前に、こんなエントリーを書いた。</p> <p><iframe src="http://ryokdy.hatenablog.com/embed/2014/04/19/170443" title="高校三年のときに天の声をきいた話 - マチルノニッキ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="display: block; width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/04/19/170443">高校三年のときに天の声をきいた話 - マチルノニッキ</a></iframe><cite class="hatena-citation"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/04/19/170443">ryokdy.hatenablog.com</a></cite></p> <p>わたしは22歳のときに小説を書くのに標準語がしゃべれないからというよく分からない理由で上京して、たまたま帰省したときに元奥さんと出会って結婚して、息子が産まれたら奥さんが実家から戻ってこなくなって、それで自分も実家に戻ったら<a class="keyword" href="http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B5%A5%A4%A5%DC%A5%A6%A5%BA">サイボウズ</a>という会社が拠点立ち上げメンバーを探していて、上海拠点の立ち上げもやって、東京に異動するときに離婚することになって、副業していたらいろんな人が協力してくれて、なんとなく世の中の働き方が変わっていく感じとかそういえばもう40歳だなとかこれからどういう成長ができるのかとか、そういうタイミングを考えたら独立しない理由がなくなってきた。自分を身の振り方を決めるタイミングを感じて、流れに身を任せる生き方をこれからもしていきたい。共同体を去っても関係が切れるわけではない。去ることで互いに自立した強い関係を築けることもある。</p> <p>社長からは最後に「かどやさんはこれからイバラの道を進むんですね」と暖かい励ましをいただいた。経験に裏付けされた重い言葉だと思う。今は仲間もいなくて不安しかないし、身ぐるみはがされたら地元に戻ってどこか知り合いの会社に土下座して働かせてもらうつもりだったりするけど、自分がこれまで築いてきた関係やいただいてきたものを信じて、まず目の前のひとりを喜ばせることから精一杯やっていきたいなと。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20150418/20150418171401.jpg" alt="f:id:ryokdy:20150418171401j:plain" title="f:id:ryokdy:20150418171401j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> ryokdy 2014年変化を感じた10のこと hatenablog://entry/8454420450077043325 2014-12-14T14:41:52+09:00 2014-12-14T21:37:54+09:00 今年も残り少なくなってきたので、去年同様に2014年にあれこれ今までと変わったなと感じたことをまとめてみた。 1.ドライブレコーダーの普及 実をいうと、きみを監視してたのはジャグジーじゃなくておれなんだ - マチルノニッキ 実をいうと、きみを監視してたのはジャグジーじゃなくておれなんだ - マチルノニッキ タクシーのドライブレコーダーの搭載率は5割以上。ニュースでもときどき事故の映像なんかで、いろんな角度から撮影された(つまり別々の人が撮影した)ドライブレコーダーやスマホの記録映像が流れることがある。市民が市民を監視するエコシステムができつつある。 2.Uber 仕事を奪うのは機械やロボットじ… <p>今年も残り少なくなってきたので、<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2013/12/29/180102">去年同様に</a>2014年にあれこれ今までと変わったなと感じたことをまとめてみた。</p> <h4>1.ドライブレコーダーの普及</h4> <p><iframe src="http://ryokdy.hatenablog.com/embed/2014/08/09/183535" title="実をいうと、きみを監視してたのはジャグジーじゃなくておれなんだ - マチルノニッキ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/08/09/183535">実をいうと、きみを監視してたのはジャグジーじゃなくておれなんだ - マチルノニッキ</a></iframe></p> <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/08/09/183535">&#x5B9F;&#x3092;&#x3044;&#x3046;&#x3068;&#x3001;&#x304D;&#x307F;&#x3092;&#x76E3;&#x8996;&#x3057;&#x3066;&#x305F;&#x306E;&#x306F;&#x30B8;&#x30E3;&#x30B0;&#x30B8;&#x30FC;&#x3058;&#x3083;&#x306A;&#x304F;&#x3066;&#x304A;&#x308C;&#x306A;&#x3093;&#x3060; - &#x30DE;&#x30C1;&#x30EB;&#x30CE;&#x30CB;&#x30C3;&#x30AD;</a></p> <p>タクシーのドライブレコーダーの搭載率は5割以上。ニュースでもときどき事故の映像なんかで、いろんな角度から撮影された(つまり別々の人が撮影した)ドライブレコーダーやスマホの記録映像が流れることがある。市民が市民を監視するエコシステムができつつある。</p> <h4>2.Uber</h4> <p><iframe src="http://ryokdy.hatenablog.com/embed/2014/10/25/162912" title="仕事を奪うのは機械やロボットじゃない - マチルノニッキ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/10/25/162912">仕事を奪うのは機械やロボットじゃない - マチルノニッキ</a></iframe></p> <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/10/25/162912">&#x4ED5;&#x4E8B;&#x3092;&#x596A;&#x3046;&#x306E;&#x306F;&#x6A5F;&#x68B0;&#x3084;&#x30ED;&#x30DC;&#x30C3;&#x30C8;&#x3058;&#x3083;&#x306A;&#x3044; - &#x30DE;&#x30C1;&#x30EB;&#x30CE;&#x30CB;&#x30C3;&#x30AD;</a></p> <p>10月にサンフランシスコにいって驚いたことのひとつ。去年はそこまで普及していなかったはずだけど、すでにUberがタクシーを駆逐しそうな勢い。業界ではこういう現象を既存ビジネスのディスラプト(破壊)と呼ぶ。</p> <h4>3. DVDをレンタルする必要も買う必要もなくなった</h4> <p><iframe src="http://ryokdy.hatenablog.com/embed/2014/11/15/145046" title="HuluとWOWOWと地上波テレビの違い - マチルノニッキ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/11/15/145046">HuluとWOWOWと地上波テレビの違い - マチルノニッキ</a></iframe></p> <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/11/15/145046">Hulu&#x3068;WOWOW&#x3068;&#x5730;&#x4E0A;&#x6CE2;&#x30C6;&#x30EC;&#x30D3;&#x306E;&#x9055;&#x3044; - &#x30DE;&#x30C1;&#x30EB;&#x30CE;&#x30CB;&#x30C3;&#x30AD;</a></p> <p>あれほど毎週通っていたツタヤに今年は一度も行かなかった。HuluとApple TVとiTunesがあれば必要は感じない。アメリカでVODの普及ですでにレンタルDVD屋というものはディスラプトされている。</p> <h4>4.おっさん向けの雑誌しかない</h4> <p>本屋を覗いても男性向けは見事におっさんをターゲットにした雑誌しかない。音楽雑誌なんかは20年前と表紙のラインナップが変わっていない。</p> <h4>5.メールで個人的なやりとりをすることがなくなった</h4> <p>もしかしたらこの一年間で1通もメール来なかったんじゃないかと思うくらい。来るのはFacebookやTwitterからの通知、クレジットカードの利用明細、もろもろの広告やスパムなど。個人的なやりとりやFacebookやその他のWebサービスを通してしかやらなくなった。メールアドレスを知っている人も少なくなった。メールは通知としての役割しかなくなったんじゃないかと思う。ちなみにLINEはやっていない。</p> <h4>6.中国の物価がおそろしく高い</h4> <p><iframe src="http://ryokdy.hatenablog.com/embed/2014/11/08/145218" title="自由の国と中国 - マチルノニッキ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/11/08/145218">自由の国と中国 - マチルノニッキ</a></iframe></p> <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/11/08/145218">&#x81EA;&#x7531;&#x306E;&#x56FD;&#x3068;&#x4E2D;&#x56FD; - &#x30DE;&#x30C1;&#x30EB;&#x30CE;&#x30CB;&#x30C3;&#x30AD;</a></p> <p>ここに書いたとおり。体感的には3年前の2倍になった。</p> <h4>7.採用が難しくなった</h4> <p>特にエンジニアの採用が難しくなった印象。景気がよくなったためか、新卒のエンジニアにこれまででは考えられないほど高い初任給を提示する企業が増えてきた。インターンシップに月40万の報酬を払うところも。</p> <h4>8.英語を使う機会が増えた</h4> <p><iframe src="http://ryokdy.hatenablog.com/embed/2014/06/30/080000" title="勉強と学習と訓練の違い - マチルノニッキ" class="embed-card embed-blogcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 190px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/06/30/080000">勉強と学習と訓練の違い - マチルノニッキ</a></iframe></p> <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/06/30/080000">&#x52C9;&#x5F37;&#x3068;&#x5B66;&#x7FD2;&#x3068;&#x8A13;&#x7DF4;&#x306E;&#x9055;&#x3044; - &#x30DE;&#x30C1;&#x30EB;&#x30CE;&#x30CB;&#x30C3;&#x30AD;</a></p> <p>以前から英語は趣味でちょいちょい学んでいた。仕事で使うことはあまり考えていなかったのだけど、最近は仕事でも英語を使う機会が増えてきた。これまで海外のオフショア先と読み書きのやりとりをするくらいだったのが、直接会話をしないといけないようになってきた。外でも外国人から英語で話しかけられることが多くなった気がする。6年後にはオリンピックがあるので、英語の必要性はもっと増えるのだろう。</p> <h4>9.ハロウィンがコスプレの日として定着</h4> <p>2014年はハロウィンが日本で定着した年と定めても良い気がする。都心だけでなく、地方でもあちこちで仮装イベントが行われていた。特に渋谷はセンター街がゾンビとコスプレの集団で埋め尽くされていた。ゾンビはたくさんいたが、お菓子をねだる子どもは見かけなかった。</p> <h4>10.人工知能の進化</h4> <p>最近関心のある話題。今年、「13歳の少年」の設定で参加したロシアのスーパーコンピューターが<a href="http://wired.jp/2014/06/11/eugene-the-supercomputer/">チューリングテストに合格した</a>。人間だけが思考する能力を持っているわけではないと仮定したとき、なにをもって思考しているとするかは、人間が相手が思考しているかどうかを判断するしかない。唯一思考していると見なされている存在は人間だけだからだ。チューリングテストは1950年代にアラン・チューリングによって、被験者に会話をしている相手が機械か人間かを判定させることで、対象が思考しているかどうかをテストする方法として考案された。人工知能がチューリングテストに合格したのは史上初めてのことだ。ディープラーニングの登場によって機械学習の技術はブレイクスルーを迎えたといわれている。</p> <p>去年の末くらいからブログを一年間毎週更新すると決めてそれを実践してきたのだけど、ちょうど一年たったのでこれからは不定期の更新にすることにした。世の中のブロガーと呼ばれる方たちは毎日何本も書くのが当たり前らしいからそういう方には遠く及ばないけど、毎週ブログを書くことを自分に強いるというのはなかなかいいプレッシャーになっていて、普段何気なく見たり聞いたりしていたことを自分の中でいったん消化する訓練になった。書くためには自分の考えを整理しないといけない。思考を整理したり、関連する資料を探しているうちに新しい発見があることもあった。どんな記事が検索流入に向いているのかとか、どんな記事がバズりやすいのかも少しわかった。はてなスターがなんのためにあるのかはいまだによくわかっていない。</p> ryokdy なんで食べることを強要されるのだろう hatenablog://entry/8454420450076300831 2014-12-06T19:10:23+09:00 2014-12-06T21:57:09+09:00 クラス全員で給食1年間完食 国分寺中 クラス全員で給食1年間完食 国分寺中|下野新聞「SOON」 国分寺中2年5組が20日、クラス33人全員で「年間給食完食」を達成した。 全員で助け合いながら残飯をなくし、食の大切さを学んだ。 古口紀夫市教育長は「素晴らしい、聞いた事がない。クラスのまとまりがある証でしょう」と話している。 こういうニュースを読むと、こどものころ無理矢理給食を食べさせられていたことを思い出す。20年前までは、給食を残さないのが当たり前だった。残そうとしても許してもらえず、休み時間や放課後まで食べさせられている同級生もいた。そういうのはだいたい女の子で、ときどき我慢できなくなって… <p><iframe src="http://hatenablog.com/embed?url=http%3A%2F%2Fwww.shimotsuke.co.jp%2Fnews%2Ftochigi%2Fregion%2Fnews%2F20140321%2F1540457" title="クラス全員で給食1年間完食 国分寺中" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20140321/1540457">クラス全員で給食1年間完食 国分寺中</a></iframe></p> <p><a href="http://www.shimotsuke.co.jp/news/tochigi/region/news/20140321/1540457">&#x30AF;&#x30E9;&#x30B9;&#x5168;&#x54E1;&#x3067;&#x7D66;&#x98DF;&#xFF11;&#x5E74;&#x9593;&#x5B8C;&#x98DF; &#x56FD;&#x5206;&#x5BFA;&#x4E2D;&#xFF5C;&#x4E0B;&#x91CE;&#x65B0;&#x805E;&#x300C;&#xFF33;&#xFF2F;&#xFF2F;&#xFF2E;&#x300D;</a></p> <blockquote><p>国分寺中2年5組が20日、クラス33人全員で「年間給食完食」を達成した。 全員で助け合いながら残飯をなくし、食の大切さを学んだ。 古口紀夫市教育長は「素晴らしい、聞いた事がない。クラスのまとまりがある証でしょう」と話している。</p></blockquote> <p>こういうニュースを読むと、こどものころ無理矢理給食を食べさせられていたことを思い出す。20年前までは、給食を残さないのが当たり前だった。残そうとしても許してもらえず、休み時間や放課後まで食べさせられている同級生もいた。そういうのはだいたい女の子で、ときどき我慢できなくなって教室で吐いてしまう子もいた。</p> <p>わたしはこどものころから痩せていて、痩せていることがコンプレックスだった。周囲は悪気もなく、お前は痩せているとかガリガリだとかもっと食べろとかいってくる。なんでデブにはいわないくせに痩せたやつにはそんなに遠慮なくいってくるんだろうと不思議に思っていて、人から食べることを強要されるのが大嫌いだった。中学生くらいから食べることがプレッシャーになっていって。だんだん人前で食事をすることが苦痛になっていった。特に林間学校とかそういう泊まりがけでどこかにいかないといけないのは苦手だった。決まった時間に他のみんなと一緒に決められた食事をしないといけないからだ。わたしはパサパサしたパンを噛みながら、あと何回食事をしないといけないと数えていた。中三のときに、給食をまったく受け付けなくなった。給食が机に並べられただけで目の前がぐるぐる回るような感覚になって、吐き気がした。祖母に連れられて病院にいったらバリウムを飲めといわれたがそんなものが飲めるわけもなくて、半分飲んで吐いた。何回か吐いては飲んでを繰り返して、医者は異常はなさそうだといった。結局先生に話して、その一年間は給食を一切食べなかった。給食を食べなくても家に帰るとお腹はすいて普通にごはんは食べるので、困ることはなにもなかった。</p> <p>高校生のときは弁当で残しても咎められたりしなかったのでまだよかった。それでも人前で食事をするのが苦手なのは変わらなくて、食事を残すと恥ずかしいのでなるべく友達と一緒に食事をする機会を避けた。あるとき紀伊國屋にいって、太る方法が書かれた本はないかと探したが、痩せる本はあってもそんな本はなかった。</p> <p>大学に入ってひとり暮らしを始めると生活が不規則になって、自律神経がおかしくなってきたのか食べ物を食べてもすぐに吐くようになった。当時モトリー・クルーとかガンズ・アンド・ローゼスとかアメリカ西海岸の音楽が流行っていて、彼らはみなマッチョで酒とドラッグを浴びながらパーティ三昧の日々を過ごしているらしかった。わたしはそういうのにあこがれていたので、今日からめちゃマッチョになってパーティをして過ごそうと決めてピザを頼んだがプレッシャーで気持ち悪くなってモトリー・クルーになるのはその日のうちにやめた。</p> <p>何度か胃カメラを飲んで検査したが特に異常はないといわれていた。その頃にはなにか自分がメンタル的な問題を抱えていることに気づいていた。だから4年生のときに、大学に定期的に来ていた精神科のカウンセラーに診てもらうことにした。医者は白髪の交じった穏やかな感じの人で、わたしは人前で食事ができないことでいかに自分が問題を抱えているかを話した。医者はわたしの言葉にうなずき、微笑み、こういった。あなたは胃腸が弱いのだ、と。どこも悪くはないが、弱いのだといった。胃腸はストレスを受けやすいから、気分や体調の些細な変化にも影響を受けて、吐いてしまったり、下痢をしやすくなってしまう。ただ、30歳くらいにくらいになると神経が鈍くなって物事をあれこれ考えなくなってくるから心配することはないといった。わたしは自分がこんなに苦しんでいるのに心配ないとはどういうことかと食い下がったが、まずは医者は自分の体質を受け入れましょうと穏やかな口調で話した。どうしても苦しいときのためにと、少量の精神安定剤を処方してくれた。</p> <p>それからわたしは食べ物を残すことを恥ずかしいと思わなくなった。食べたいときは食べるし、食べられなくなったら残す。痩せているといわれてもあまり気にならなくなった。就職して生活が規則正しくなったこともあって、体調はだんだん良くなっていった。あのとき医者がいったように体重は30歳をこえたくらいから増え始めた。神経が鈍くなったかどうかはよくわからない。</p> <p>わたしは自分のこどもにもっと食べろといったことは一度もない。もっと寝ろとかセックスしろとかいわれるのと同じで余計はお世話だ。そもそも今の人間は食べ過ぎなのだと思う。飢えた猫だって、おなかがいっぱいになれば食べ物を残して去っていく。残してほしくなければ量を減らせばいい。冒頭のニュースではこどもに強要することはなくて、クラスで協力しあうことで一体感を醸成しているらしい。それでも食べ物を残さないことが美徳であることを強いられるのはなぜなのだろうと思う。無理に食べるのは体に悪いし、たくさん食べられる生徒が優れているというのはよく意味がわからない。そういうゲームだと思えばいいのかもしれない。</p> <p>今日は買っておいたうまい日本酒を飲みながらすき焼きを食べる。残さずに食べられるだろうかとか考えずに食べられることは本当に幸せだと思う。</p> ryokdy 年賀状の役割はfacebookに取って代わられている hatenablog://entry/8454420450075729729 2014-11-30T15:58:26+09:00 2014-11-30T15:58:26+09:00 紙を手に取ることがめっきり少なくなった。会社で紙を印刷する機会はほとんどない。社内のすべての情報は電子化されて共有されているので、紙の書類を目にすることはない。ときどき社外の営業の人などがわざわざ紙の書類を持参してくることがあるが、もらったらすぐに捨てることにしている。そもそも保管する場所がない。唯一印刷しないといけないのは経費の申請くらいだ。経理上の書類は紙で保管するよう、法律で決められているためらしい。偽装を防ぐためらしいが意味がわからない。コピー紙に印刷した書類を偽装する方法なんか今どきいくらでもある。ほとんど経理処理のためにプリンタを置いているようなものなので、それがなくなればプリンタ… <p>紙を手に取ることがめっきり少なくなった。会社で紙を印刷する機会はほとんどない。社内のすべての情報は電子化されて共有されているので、紙の書類を目にすることはない。ときどき社外の営業の人などがわざわざ紙の書類を持参してくることがあるが、もらったらすぐに捨てることにしている。そもそも保管する場所がない。唯一印刷しないといけないのは経費の申請くらいだ。経理上の書類は紙で保管するよう、法律で決められているためらしい。偽装を防ぐためらしいが意味がわからない。コピー紙に印刷した書類を偽装する方法なんか今どきいくらでもある。ほとんど経理処理のためにプリンタを置いているようなものなので、それがなくなればプリンタは必要なくなる。</p> <p>昔は仕様書やら議事録やらを紙に印刷して、ファイリングして保管しておくのが当たり前だった。今もそういう会社のほうが多いかもしれない。紙を印刷するにはコストがかかる。古い会社では書類は上司がいちいちチェックして、少しでもかすれや誤植があるとやり直しをさせられるらしい。こんな小さい字をおれに読ませるのかといってわざわざその人用に大きなフォントで印刷させられたというような話も聞く。ただの社内用の書類を保管するだけなのに、印刷コストだけでなく人件費もばかにならない。そういう風習は確実になくなっていくだろう。Webで見るならフォントやレイアウトを気にする必要はない。読む人が調整すればいいだけだからだ。ファイルやフォルダというものを実物で見る機会もなくなるかもしれない。最近はフロッピーディスクを見たことがないが増えているそうだ。だからこどもが学校でパソコンを使ったりすると、アプリケーションの「保存」ボタンに書かれているあの黒い四角はなんですかと聞かれたりするらしい。もはやフロッピーディスクはアイコンのモチーフとしてはふさわしくない。同じように、ファイルやフォルダのモチーフもそのうち意味が通じなくなるだろう。</p> <p>家の中を見ても、契約書とか、保証書の類いのようにどうしても保管しておかないといけない紙もあるけど、それはしくみが追いついていないからで、本質的には電子化が可能なものだ。紙は場所を取るし、検索性も可搬性も低い。わたしはハードカバーの本は買わない。Kindle版があればそれを買うけど、なければ諦める。文庫本は買って読んだら捨てることにしている。本を保管するにはコストがかかるからだ。<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/05/13/214343">前にも書いたように</a>、今は所有しないことで得られる利点のほうが大きい。</p> <p>若いころは買った本はすべて家にため込んでいた。あるときそれらがなくなってもなにも困らないことに気がついた。だから本当に残しておきたいごく一部を除いて処分した。それから困ったことは一度もない。そんなだから、紙をもらうと、ごみをもらったなという気分になる。店で会計をしたときにくれるレシートとか、クーポンの類いがそうだ。そういうのはまだいりませんと断ることもできるけど、勝手に送りつけてくる新聞や広告やダイレクトメールなんかは始末が悪い。投函するだけで嫌でも目にはいるので広告として有効なのはわかるけど、毎日大量の広告が読まずに捨てられていることを考えると好ましいことではない。飛行機もわざわざ携帯でチェックインしているのに、ごみになる紙をくれるのはどうにかならないかといつも思う。せめて回収してくれればいいのだけど。</p> <p>最近、ネットで年賀状の発行枚数が減少しているという記事を読んだ。</p> <p><iframe src="http://hatenablog.com/embed?url=http%3A%2F%2Fwww.garbagenews.net%2Farchives%2F2114695.html" title="年賀葉書の発行枚数などをグラフ化してみる(2014年)(最新) - ガベージニュース" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://www.garbagenews.net/archives/2114695.html">年賀葉書の発行枚数などをグラフ化してみる(2014年)(最新) - ガベージニュース</a></iframe></p> <p><a href="http://www.garbagenews.net/archives/2114695.html">&#x5E74;&#x8CC0;&#x8449;&#x66F8;&#x306E;&#x767A;&#x884C;&#x679A;&#x6570;&#x306A;&#x3069;&#x3092;&#x30B0;&#x30E9;&#x30D5;&#x5316;&#x3057;&#x3066;&#x307F;&#x308B;(2014&#x5E74;)(&#x6700;&#x65B0;) - &#x30AC;&#x30D9;&#x30FC;&#x30B8;&#x30CB;&#x30E5;&#x30FC;&#x30B9;</a></p> <p>2003年をピークに下がり続けているのだそうだ。ということは2003年までは増加していたということでそれ自体意外な気がしたのだけど、これはパソコンが普及して手軽に写真付きの年賀状が作れるようになったり、企業努力によるものが大きいのではないかと思う。偶然かもしれないが、国内でソーシャルネットワーキングサービスの存在を最初に認知させたmixiがサービスを開始したのは2004年だった。</p> <p>年賀状というものは、普段は連絡を取り合うことのない知人に対して、わたしは元気にやってますよとか、結婚しましたといった近況を報告したり、引っ越ししたときに連絡が絶えることがないように新しい住所を伝えたりするためのものだ。もちろん普段から頻繁にあっている上司や同僚や親戚に対して送ることもあるけど、儀礼的なものであってもらったからどうということはない。わたしは大学時代の友人や前の会社の同僚など、普段は連絡を取り合わない知人に対してのみ年賀状を送っていたのだけど、それも2年ほど前にきっぱりやめた。もらっても送り返さないことにした。考えたら、彼らとは全員facebookでつながっていて、わたしといつでも連絡が取ることができることはもちろん、お互いの近況まで逐一知っていたからだ。逆にいえば、facebookはかつて年賀状が担っていた役割を取って代わりつつある。こどもの写真をアップし、誰かの誕生日にお祝いのコメントを書き、結婚や出産の報告をする。プライベートで深刻な悩みをfacebookで告白するような人はあまりいない。親や上司が見ているかもしれない場所で愛を語り合ったりもできない。親密な友人同士のやりとりにはLINEやメッセージを使ったりするのだろう。facebookにとって面白いことかどうかはわからないけど、インフラになるということはそういうことだ。</p> <p>最後にまったく矛盾することを書くけど、わたしは紙の本や手紙が好きだ。ページをめくる手触りが好きだし、誰かのことを思って心を込めて書かれた手書きの年賀状をもらってうれしくない人はいない。そういう質感とかまごころとかいったものは、紙に書かれた情報とは別の付加価値を生むものだ。紙は紀元前のパピルスの時代から、情報を伝えるためのものだった。その役割はもう十分果たしたといっていいと思う。</p> ryokdy ミステリ好きなら「紙の月」は観たほうがいい hatenablog://entry/8454420450074913843 2014-11-23T14:08:50+09:00 2014-11-23T18:00:29+09:00 「紙の月」という映画を観た。原作は読んでいないが、かなり話題になった作品でNHKでドラマ化もされているらしい。最近ヨルタモリで宮沢りえを見る機会が増えて、すっかり大人の女優に変貌した宮沢りえが横領犯を演じるというので興味を持った。そういえば彼女の主演作は「スワンの涙」くらいしか見たことがない。 映画のあらすじは、前もって聞いていた。派遣社員として銀行に勤める主人公が、男に溺れて会社の金を横領するようになり、身を滅ぼしていくというものだ。これだけを聞くと、ありきたりなストーリーといった印象をぬぐえない。そして映画を見終わったあとも、ストーリーの展開が大きく裏切られることはなかった。つまり最初から… <p>「紙の月」という映画を観た。原作は読んでいないが、かなり話題になった作品でNHKでドラマ化もされているらしい。最近ヨルタモリで宮沢りえを見る機会が増えて、すっかり大人の女優に変貌した宮沢りえが横領犯を演じるというので興味を持った。そういえば彼女の主演作は「スワンの涙」くらいしか見たことがない。</p> <p>映画のあらすじは、前もって聞いていた。派遣社員として銀行に勤める主人公が、男に溺れて会社の金を横領するようになり、身を滅ぼしていくというものだ。これだけを聞くと、ありきたりなストーリーといった印象をぬぐえない。そして映画を見終わったあとも、ストーリーの展開が大きく裏切られることはなかった。つまり最初からおわりまで、物語の顛末はある程度「見えて」いる。それなのにこの映画が観客を飽きさせないのは、主人公を取り巻く、まわりの登場人物の存在が際立っているからだ。銀行員という仕事に忠実で不正を許さまいとする先輩社員、自分の願望のままに生きる奔放で抜け目のない同僚、資産はあるがそれぞれに悩みを抱える銀行の顧客たち。特に小林聡美と大島優子、石橋蓮司の演技が素晴らしい。それぞれの利害が組み合わさって、主人公を破滅に導くドラマが生み出される様子は、群像劇を見ているような錯覚を覚える。</p> <p>ただ、わたしは最初、主人公が男と深い関係になって横領に手を染める動機が、どうしても共感できなかった。事前に夫とのすれ違いといった背景は描かれているものの、あまりにも唐突な気がしたからだ。</p> <p>物語というものは、基本的に登場人物がなにかを「求める」ことで進行するものだ。登場人物がなにも求めなければ、物語として成立しない。動物は食欲や睡眠のような生きるために必要な欲求しか求めないので、動物を登場人物とした物語というものは成立しない。わたしは若いころ推理小説ばかり読んでいたので、物語を面白くするのは謎とトリックだと信じていた。大学生のときに初めて書いた小説を賞に応募したら、受賞はできなかったが雑誌に名前が掲載されて、アイデアは面白いが話が恣意的すぎるというコメントが添えられてあった。そこで初めて、物語には登場人物の「求めるもの」を動機づけることが必要なのだということを知った。大脱走のスティーヴ・マックィーンは収容所から脱出することを求めるし、インディー・ジョーンズのハリソン・フォードは古代遺跡を発見することを求める。主人公だけでなく、脇役たちもなにかを求めている。だから利害が衝突し、ドラマが生まれる。「求めるもの」のパターンは金、愛憎、復讐、友情、健康、名声、幸福、家族、正義、仕事など無数にあるが、見ている人が共感できるものでなくてはならないのがルールだ。主人公の動機が曖昧なまま物語が進行すると、見ている人は置いてけぼりをくらったような気分になる。今回も途中までそういう思いで見ていた。まわりの登場人物は「求めるもの」が明確なのに、惜しいな、と。それでも宮沢りえの清楚なたたずまいを保ちながら不正に手を染める危うい演技は見事だし、恋人役のMOZUの人も主人公を堕落させるに十分なだらしなさと純粋さを醸しだしている。だから主人公の動機に共感できないことはしこりとしては残ったものの、致命的に気になるほどではなかった。しかしそのしこりのようなものも、最後の20分で大きく打ち砕かれることになる。</p> <p>主人公の「求めるもの」が明らかになったとき、それが金でも単純な愛欲でもなかったことがわかる。同時に金持ちの顧客が身につけていた偽物のアクセサリーや冒頭のシーンの伏線も回収される。これはもう鮮やかな手口というしかない。そして主人公はすべての顛末が最初からわかっていた映画の最後になって初めて、意外な行動を取る。このときになって、観客は「見えて」いた物語の顛末が、本当は「見せられて」いたということに気づく。</p> <p>エンディングの余韻を残したまま、エンドロールにはヴェルヴェット・アンダーグラウンドの「Femme Fatale」が流れていた。タイトルを直訳すると「宿命の女」。こんなにこの映画にふさわしい曲はない。よく曲を使う許可が取れたものだと思う。ルー・リードの気怠い歌声を聴きながら、久しぶりにいい日本映画を見たなと思った。</p> <p><iframe src="http://hatenablog.com/embed?url=http%3A%2F%2Fwww.kaminotsuki.jp%2F" title="『紙の月』絶賛公開中!" class="embed-card embed-webcard" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://www.kaminotsuki.jp/">『紙の月』絶賛公開中!</a></iframe></p> <p><a href="http://www.kaminotsuki.jp/">&#x300E;&#x7D19;&#x306E;&#x6708;&#x300F;&#x7D76;&#x8CDB;&#x516C;&#x958B;&#x4E2D;&#xFF01;</a></p> ryokdy HuluとWOWOWと地上波テレビの違い hatenablog://entry/8454420450073915731 2014-11-15T14:50:46+09:00 2014-11-29T10:53:20+09:00 ちきりんさんのブログを見て思ったこと。 http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20141115 Chikirinの日記 先日、WOWOWを契約した。去年までテレビを見ることはほとんどなかったのだけど、Huluでブレイキングバッドにはまっていたあたりからテレビの面白さを再発見したからだ。テレビの面白さというか、つまり週1で通っていたTSUTAYAに行かなくてもいいということに気づいたということだ。地上波放送をほとんど見ていないのはあまり変わらない。 今、うちのリビングでソファから1ミリも移動せずにテレビに映像を映す手段は4つある。 地上波もしくはBSの放送を観る WOWO… <p>ちきりんさんのブログを見て思ったこと。</p> <p><a href="http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20141115">http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20141115</a></p> <p><a href="http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20141115">Chikirin&#x306E;&#x65E5;&#x8A18;</a></p> <p>先日、WOWOWを契約した。去年までテレビを見ることはほとんどなかったのだけど、Huluでブレイキングバッドにはまっていたあたりからテレビの面白さを再発見したからだ。テレビの面白さというか、つまり週1で通っていたTSUTAYAに行かなくてもいいということに気づいたということだ。地上波放送をほとんど見ていないのはあまり変わらない。</p> <p>今、うちのリビングでソファから1ミリも移動せずにテレビに映像を映す手段は4つある。</p> <ul> <li>地上波もしくはBSの放送を観る</li> <li>WOWOWを観る</li> <li>Huluを観る</li> <li>iTunesでコンテンツを購入して映画やライブを観る</li> </ul> <p>うちのテレビにはパナソニック製のハードディスクレコーダーとアップルTVとが接続されていて、HuluとWOWOWに契約している。ランニングコストは合わせて3280円。安くはないが毎週TSUTAYAで1000円使うよりは安い。昔はPRIDEを観るためにスカパーを契約していたけどコンテンツの質が低すぎて観るものがなくて解約した。</p> <p>Huluはいつでも好きなコンテンツを定額で観られるというところに利点がある。連続もののドラマなどはいちいち放送を待っていられない。<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/09/27/142154">62話もあるブレイキングバッド</a>はHuluじゃなかったらきっと観なかっただろうと思う。こどもがぐずったらいつでも妖怪ウォッチの好きな回を見せることができるし、ちょっと時間が空いたときに古い映画を楽しむこともできる。最新の映画はHuluにないことが多いので、iTunesはで補完することができる。わたしはどうしても観たい映画は映画館で観るので、利用する頻度は少ない。</p> <p>WOWOWは地上波と同じブロードキャストだけど、コンテンツの方向性が違う。最近、テニスの全米オープンで錦織選手が素晴らしい活躍をしたために、WOWOWの加入者数が激増したというニュースを聞いた。WOWOWはWOWOWでしか観られないコンテンツを提供するということに強みがある。日本で総合格闘技のUFCやサッカーのリーガ・エスパニョーラや宝塚をどうしても観たい人々が、WOWOWに加入する。だけどUFCとリーガ・エスパニョーラと宝塚すべてに興味がある人はあまりいない。そういう意味では、WOWOWはHuluやiTunesと同じように、興味がある人に興味があるコンテンツを売っているといえる。オンデマンドかブロードキャストかの違いはあるけど、ハードディスクレコーダーがあればその差はそれほど気にならなかったりする。あらかじめ、番組表から1週間分まとめて興味のある番組を録画予約しておけばよいからだ。もちろん、スポーツ中継などはブロードキャストならではの利点を活かすこともできる。</p> <p>地上波放送というものは、オンデマンドではなく、コンテンツ売りでもない。基本的に、なるべく多くの人が興味を持ちそうな番組を、ブロードキャストで流すという性質のものだ。どの番組にも司会者がいて、毎週決まった時間に放送される。昔のラジオの延長といっていい。だから単一の作品や試合ではなく、番組という連続性のある形態である必要がある。だからテレビ局はスポーツの中継にわざわざスポーツ番組の冠をつけて、連続性を持たせている。そうでないと視聴者が混乱するからだ。スポンサーの都合もあるのかもしれない。地上波放送にとっては、決まった時間に最大公約数の視聴者をターゲットとした番組がブロードキャストされているという点が唯一の強みといえる。WOWOWならどんな時間にUFCをやっていても観たい人は観るが、地上波ではそうではない。笑っていいともはお昼にやっていないといけないし、サザエさんは日曜の夕方にやっていないといけない。サザエさんをわざわざ録画して観る人はほとんどいない。</p> <p>わたしはテレビのフォーマットをどうこうしようとかいう議論は、雑誌や新聞が今後生き残っていくにはという話と同じくらいどうでもいい。国民の40%が同じ番組を観ていたということが異常なのであって、そんな時代はもう来ない。バグルスはMTVのオープニングでVideo kills the radio starと歌った。そのMTVを殺したのはナップスターやYoutubeかもしれない。それでもテレビを観る人は今もいるし、ニュースやワイドショーやバラエティみたいにマス向けにブロードキャストの強みを活かした番組のニーズがなくなるわけではない。ただそういうものはどんどんつまらなくなるだろう。ヨルタモリは素晴らしいがあれはマス向けという気がしない。それよりも、質の高いコンテンツを観るための選択肢が増えたことは単純に良いことだと思う。</p> ryokdy 自由の国と中国 hatenablog://entry/8454420450072922800 2014-11-08T14:52:18+09:00 2014-11-11T22:52:16+09:00 先週は上海にいた。上海には前にも書いたように、延べで1年間くらい滞在していたことがある。3年前の話で、そのときのレートは1元が12円だった。今は、今日のレートで18.7円だ。これに、年間10%ずつ物価が上昇しているから、日本人からすると中国でものを買う値段は倍になったといっていい。駐在している方々も、家賃が2年で倍になったと嘆いていた。 わたしは以前、上海に来たときはよくマッサージを利用していた。だいたい1時間で1500円くらいだったから、割安感があった。ただしクォリティはあまり期待できなくて、テレビを見ているおばちゃんにただ体を押されているという感じのことも多い。今は倍の値段だ。3000円払… <p>先週は上海にいた。上海には<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/03/01/122955">前にも書いたように</a>、延べで1年間くらい滞在していたことがある。3年前の話で、そのときのレートは1元が12円だった。今は、今日のレートで18.7円だ。これに、年間10%ずつ物価が上昇しているから、日本人からすると中国でものを買う値段は倍になったといっていい。駐在している方々も、家賃が2年で倍になったと嘆いていた。</p> <p>わたしは以前、上海に来たときはよくマッサージを利用していた。だいたい1時間で1500円くらいだったから、割安感があった。ただしクォリティはあまり期待できなくて、テレビを見ているおばちゃんにただ体を押されているという感じのことも多い。今は倍の値段だ。3000円払うなら、日本でも同じ値段でずっといいサービスが受けられるので、今回わざわざ行く気にはならなかった。同じ理由で、上海でカラオケに行くことももうないだろうと思う。中国でいうカラオケとは日本のキャバクラみたいなもので、女の子が横について好きなだけカラオケを歌える店のことだ。KTV(カラオケTV)というよくわからない略称で呼ばれることもある。カラオケにいくと必ずボトルを入れないといけなくて、それが1000元くらいする。今はもっと高いのかもしれない。それとは別に女の子のチップとテーブルチャージがあって、今だとひとりで行くと3万くらい取られることになる。さすがにサラリーマンが気軽に飲みにいって払える値段ではない。わたしが滞在していたころはカラオケ店は日本人客で溢れていたが、今はめっきり客足が減っていて、店側も中国の富裕層相手にシフトしているのだそうだ。行き帰りの飛行機でも以前はあれほどいた日本人のビジネスマンを見かけることが少なくなった。大半が中国人のビジネスマンと家族連れだ。中国の富裕層が増え、マーケットが拡大している一方、人件費の安さをあてにしたオフショアはもう厳しいという印象がある。</p> <p>日本に戻ってくると、煙草のにおいがとても気になることを前から不思議に思っていた。海外ではいろんな嗅ぎ慣れない匂いが入り乱れているので鼻が麻痺しているのかもしれないが、多少異臭がしてもなにも感じない。日本だと、近くで煙草の匂いがするとすぐに分かる。ちなみにわたしは喫煙者だ。いつからこんなふうになったのだろうと思う。20年前はそうではなかった気がする。どこでも平気で煙草が吸えたので、逆に煙草の匂いはあまり気にならなかった。高校生のときは教室や部室で煙草を吸っても誰にも気づかれたりしなかった。今だったら一瞬でわかるだろう。中国ではトイレットペーパーを便器に流すことができないので、使ったものは近くのごみ箱に入れないといけない。トイレが詰まることもざらにあって、高級レストランのトイレが汚物で溢れているような光景も日常的にある。抵抗はあるが慣れればまあなんとかなる。現代の日本では不衛生なものは徹底的に隠されている気がする。前に見たテレビの番組で、潔癖症の人が出ていて、家に帰ったら財布に入っている紙幣の一枚一枚まで洗わないと気が済まないのだといっていた。あまり幸せそうではなかった。上海に駐在している同僚に、中国のいいところはどこかと尋ねたら、自由なところだと答えた。インターネットが検閲される国に自由があるといわれると違和感を持つかもしれないが、わたしは共感できた。中国ではまわりの人の目を気にして生活する必要はないし、いちいち細かいことに承認を得る必要もない。未成熟で人間が平等でないことを前提とした社会には、ある種の自由がある。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20141107/20141107070608.jpg" alt="f:id:ryokdy:20141107070608j:plain" title="f:id:ryokdy:20141107070608j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> ryokdy ベッドの下の男 hatenablog://entry/8454420450071778587 2014-11-01T16:51:58+09:00 2014-11-01T16:56:13+09:00 床下にいる男の小説を書くと宣言してから、ずいぶん時間がたってしまった。放置していたわけではなくて、ちゃんと考えていた。考えていたけど、書けなかった。最初は床下にいる男の話を1週間で20ページくらい書いてブログかなにかに公開するつもりだったけど、話がまったくまとまらなかった。結局60ページ書くのに半年もかかったしまった。そしていざKDPで公開しようと思ったら、Amazonでは無料本を公開することはできないということがわかった。そんなわけで、最低価格の99円で販売することにした。無料を期待してくれていた方がもしいたら申し訳ないので、明日から5日間無料キャンペーンを実施するとともに、一部をこのブログ… <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/05/18/092553">床下にいる男の小説を書くと宣言して</a>から、ずいぶん時間がたってしまった。放置していたわけではなくて、ちゃんと考えていた。考えていたけど、書けなかった。最初は床下にいる男の話を1週間で20ページくらい書いてブログかなにかに公開するつもりだったけど、話がまったくまとまらなかった。結局60ページ書くのに半年もかかったしまった。そしていざKDPで公開しようと思ったら、Amazonでは無料本を公開することはできないということがわかった。そんなわけで、最低価格の99円で販売することにした。無料を期待してくれていた方がもしいたら申し訳ないので、明日から5日間無料キャンペーンを実施するとともに、一部をこのブログで公開させていただく。</p> <p>なぜ書けなかったかというと、真下に男がいたら面白いなというただそれだけの着想から始まったのだけど、ブログに書いてしまったせいでその制約に縛られてしまったからだ。わたしは約束は守らないと気持ちが悪い性格だ。なんども別の話を考えよう思ったのだけど、どうしてもこれを書かないと気が済まなくなった。わたしは基本的にオカルトが苦手だ。ホラーとか奇譚といったものは大好きなのだけど、話が超常現象で片付けられると、とたんに興ざめする。最初は、少女を主人公にするつもりだった。なぜかいつも寝ているときに床下に男がいて会話をするという設定だった。それだとどうしても男はこの世のものではないことになってしまう。なんとか男が床下にいる理由をこじつけようとしたのだけど、無理だった。コンクリートの中に潜り込める人間はいない。諦めかけていたら、男の主人公にしたらどうかという着想が浮かんだ。そこから構想がまとまるのはわりと早かった。海外出張とか書く時間が取れなかったこともあり、意外と時間がかかったけど、いい具合に不条理でチープで愉快な作品ができたと思う。</p> <p>これでようやく次のことに取りかかれる。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00P35UZYS/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41Nn37U8fjL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="ベッドの下の男" title="ベッドの下の男"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00P35UZYS/ryokdy-22/">ベッドの下の男</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> 門屋亮</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2014/10/31</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Kindle版</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00P35UZYS/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログを見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <h3>ベッドの下の男</h3> <p> 東雲さん、と声をかけてきた若い男は、ここいいっすか、といって、返事もまたず隣のスツールにまたがった。わたしは思わず時計を見た。九時二〇分。約束の時間にはずいぶん早い。奇遇ですね、よく来るんですかこの店。ダークスーツにノーネクタイ。顔が小さくてたまごのように白い。よく見るとフランク・ミュラーの腕時計をしている。わたしは反応に迷った。わたしは他人の顔を覚えるのが極端に苦手だ。仕事で関わったクライアントの顔もほとんど覚えていない。赤ん坊のころからおしめを替えてくれたり歌を歌ってくれたりしてわたしが十一歳になるまで家にいた家政婦の顔を覚えていなかったこともある。若い男は、僕のこと知らないっすか? と眉をしかめた。</p> <p>「知らないな」わたしはスコッチのグラスを傾けた。アイラモルト特有の、ピートの香りが鼻を刺激する。</p> <p>「丸子っす」話を聞くに、彼はうちの会社の営業に配属された新人らしかった。わたしは都内の広告代理店に勤めている。毎年何十人も入ってくる新人の顔など覚えているはずがない。</p> <p>「こんなところで会えてうれしいなあ。ぼく東雲さんのファンなんですよね。うちのエースじゃないですか。こないだの地下鉄のラッピング広告、すごかったです。あのコピー、東雲さんが考えたんですよね。『放課後はジャーニーしよう!』ってやつ」丸子は旅行会社とのタイアップで最近デビューしたアイドル歌手のキャッチコピーを唱えた。うちで手がけたものだが、わたしが考えたものではないし、出来も最悪だ。</p> <p>「めんどうくさいな」</p> <p>「は?」</p> <p>「きみは、ひとり?」</p> <p>「そうっす」いや、いままで合コンだったんですけど、つまんなくて抜けてきちゃったんすよね。よかったらおれの代わりにいきます? 残念なのしかいませんけど。丸子はそう続けた。</p> <p>「おれに、居酒屋にいって不細工な女に手拍子されながらゲロみたいにまずいチューハイを一気のみしろといってるのか」</p> <p>「いや、そこまでは」</p> <p>「遠慮する。約束があるんでね」わたしはもう一度、腕時計を見た。会話を切りあげたつもりだった。いまさら若いやつらの合コンにいって得るものはない。</p> <p> 丸子は動かなかった。口元に笑みを浮かべたまま、こちらを覗きこむ。</p> <p>「東雲さん、こんな話、知ってます?」</p> <p> 不躾な男だ。わたしは怪訝さを隠さなかった。</p> <p>「ある女の子がね、春から大学に入学したんです。それまで徳島だかの実家で暮らしてたんですけど、上京して、ひとり暮らしを始めたわけです。もうだいぶ東京の暮らしにも慣れてきまして、それでもまだ渋谷はハチ公口から出ないとわかんないみたいな」</p> <p>「なんの話をしているんだ」</p> <p>「ある日、大学の友達がマンションに遊びに来たんすよ。ビールとか飲んでみたりして、夜もふけてきたもんだから、自分はベッドに寝て、友達は床に布団を敷いて寝てもらうことにしたんですね。ほら、自分のベッドってあんま他人に使わせたくないじゃないですか」</p> <p>「それはわかるな」</p> <p>「電気を消そうとしたら、友達がとつぜんコンビニに行きたいっていうんですね。これからもう寝るっていうのに、どうしてもシーマヨのおにぎりが食べたいからいっしょに来てくれって。女の子はもう眠いから寝ようっていうんだけど、あんまりしつこいから、服を着て外にでたんです。コンビニに向かうのかと思ったら、コンビニとは反対の道を歩いていって、どこいくのって訊いたら、友達が交番の前で立ちどまって、こういったんです」</p> <p> 丸子はそこで間をおいた。</p> <p>「ベッドの下に包丁を持った男がいて、こっちを向いて笑ってたって」</p> <p>「なるほど」わたしはスコッチを舐めた。</p> <p>「怖くありません?」</p> <p>「べつに。よくある都市伝説だな。そろそろよそへ行ってくれないか」わたしは苛立った。</p> <p>「東雲さんて、そのベッドの男のイメージにガチではまるんすよねえ。なんか渋いし。あ、気を悪くしないでくださいね。おれ実は、趣味で友達といっしょに動画の撮影をやってて、なんていうのかな、ハプニング映像っていうか、そういうちょっと怖い話が実際に起きてるとこを撮影して、動画をユーチューブにあげるんすよ。これがけっこうネットで評判よくって、こないだなんか病院の駐車場で、血まみれの外科医が一般人を追いかけるっていう動画を撮ったら、ものすごいアクセスでびびりましたよ」</p> <p> 丸子はこれなんですけど、といってスマホを取り出すと、アプリを立ち上げて動画を再生した。薄暗い通路をサラリーマン風の男が歩いている。遠くから隠し撮りした映像のようだ。男の脇にバンが停まり、中から青い手術着を着てマスクをした別の男が現れる。手術着の男がアップになる。胸のあたりには黒っぽい染みがべったりと付着している。先端にドリルのような尖ったものが取り付けられたT字型の器具を手に持っている。明らかに不審な人物に気づいたサラリーマン風の男は身構えるように体を硬直させ、様子をうかがっている。視線をバンに向けた瞬間、手術着の男が地面を蹴って走り出した。サラリーマン風の男はなにかを叫んで体を反転させ、必死の形相で逃げようとする。手術着の男がドリルを持った手を振りあげて追いかける。映像はズームアウトして、そこで終了した。</p> <p>「悪趣味だ。追いかけた人は怒らなかったのか」</p> <p>「ものすごい怒りましたよ。三時間も土下座してやっと許してもらいました」</p> <p>【「ベッドの下の男」より抜粋】</p> ryokdy 仕事を奪うのは機械やロボットじゃない hatenablog://entry/8454420450070223017 2014-10-25T16:29:12+09:00 2014-10-25T22:16:49+09:00 Googleのエリック・シュミット会長が執筆した「How Google Works」をkindleで読んでいる。本の内容をまとめたスライドがGigazineでも紹介されている。 Google・シュミット会長による働き方とマネジメントを示すスライドが公開中 この本では、今起こっている競争条件の変化として、以下を挙げている。 インターネットから膨大な情報を無料で入手できるようになった。 モバイルデバイスでの常時接続が実現した。 クラウドコンピューティングによって、高度なサービスを安価に受けられるようになった。 そんな変化はインターネットが普及し始めた20年前から起こっていると思われるかもしれないが… <p>Googleのエリック・シュミット会長が執筆した「How Google Works」をkindleで読んでいる。本の内容をまとめたスライドがGigazineでも紹介されている。</p> <p><iframe src="http://hatenablog.com/embed?url=http%3A%2F%2Fgigazine.net%2Fnews%2F20141017-how-google-works%2F" title="Google・シュミット会長による働き方とマネジメントを示すスライドが公開中" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://gigazine.net/news/20141017-how-google-works/">Google・シュミット会長による働き方とマネジメントを示すスライドが公開中</a></iframe></p> <p>この本では、今起こっている競争条件の変化として、以下を挙げている。</p> <ul> <li>インターネットから膨大な情報を無料で入手できるようになった。</li> <li>モバイルデバイスでの常時接続が実現した。</li> <li>クラウドコンピューティングによって、高度なサービスを安価に受けられるようになった。</li> </ul> <p>そんな変化はインターネットが普及し始めた20年前から起こっていると思われるかもしれないが、それは違う。かつてAmazonが書店を追いやったというような文脈とは明らかに違うドラスティックな変化が今起こっている。アメリカの主要都市では、タクシーを拾う代わりにスマホでUberを呼ぶ。運転手のプロフィールや写真が表示され、車が今どこにいるか、あと何分でやってくるか地図でいつでも確認できる。料金はUberのアカウントを使って自動的に引き落とされ、クーポンも使える。日本ではまだ六本木周辺でしか利用できず料金も安くないが、サービスが拡大されれば、わざわざタクシーを探して歩きまわったりしなくてもよくなる。これは今この瞬間に起きている変化だ。</p> <p>先日、サンフランシスコでいくつかのシリコンバレー企業のオフィスを訪問した。よくいわれているように昼食が無料などというのは当たり前で、自転車の整備室やシャワールーム、ヨガルーム、瞑想をするための専用の部屋まである企業もあった。ペットやこどもを連れてくるのも自由だし、出退勤の時間も自由だ。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20141015/20141015130810.jpg" alt="f:id:ryokdy:20141015130810j:plain" title="f:id:ryokdy:20141015130810j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20141015/20141015132350.jpg" alt="f:id:ryokdy:20141015132350j:plain" title="f:id:ryokdy:20141015132350j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>これらを見て、さすがアメリカはスケールが違うとか、こんなところで働いてみたいと思ったりするのだけど、ふと費用対効果を考えたときに、果たしてヨガルームが生産性を高めたりするのだろうかという疑問が浮かぶ。そして、その答えは「How Google Works」を読むと腹に落ちる気がする。彼らは社員の福利厚生を充実させたいためにこんなことをやっているのではなく、超優秀な人材を雇うため、彼らに企業文化を示すために大金を使っている。サンフランシスコではエンジニアの賃金はおそろしく高い。地価もニューヨークよりも高くて、1LDKで平均して35万くらいするそうだ。普通にウエイトレスのような仕事をしていたのではとても生活していけない。シリコンバレーで会ったイケメンのエンジニアは、オタクが女の子を町から追い出したのだと嘆いていた。</p> <p>国内に目を向けてみると、こんな記事があった。</p> <p>2020年「なくなる仕事」</p> <p><a href="http://gendai.ismedia.jp/articles/-/36518?page=4">&#x77E5;&#x3063;&#x3066;&#x307E;&#x3057;&#x305F;&#x304B; &#x3053;&#x308C;&#x304C;&#xFF12;&#xFF10;&#xFF12;&#xFF10;&#x5E74;&#x306E;&#x30CB;&#x30C3;&#x30DD;&#x30F3;&#x3060; - &#x308F;&#x305A;&#x304B;&#xFF17;&#x5E74;&#x5F8C;&#x3001;&#x3053;&#x306E;&#x56FD;&#x306F;&#x3053;&#x3093;&#x306A;&#x306B;&#x5909;&#x308F;&#x308B; &#x3042;&#x306A;&#x305F;&#x306E;&#x4F1A;&#x793E;&#x306F;&#x6D88;&#x3048;&#x3066;&#x3044;&#x308B;&#x304B;&#x3082;&#x3057;&#x308C;&#x306A;&#x3044;&#x300C;&#x751F;&#x304D;&#x6B8B;&#x308B;&#x4F1A;&#x793E;&#x300D;&#x3068;&#x300C;&#x306A;&#x304F;&#x306A;&#x308B;&#x4ED5;&#x4E8B;&#x300D;&#x6559;&#x3048;&#x307E;&#x3059; | &#x7D4C;&#x6E08;&#x306E;&#x6B7B;&#x89D2; | &#x73FE;&#x4EE3;&#x30D3;&#x30B8;&#x30CD;&#x30B9; [&#x8B1B;&#x8AC7;&#x793E;]</a></p> <p>この記事は、多くの仕事が機械やロボットに取って代わられると予想している。5年後にはアウトソーシングやコモデティ化によってプログラマーの仕事はなくなるのだという。機械やロボットによって人間の仕事が奪われると書かれている。おめでたい話だと思う。こういった記事は、いまだに大企業主導のグローバル化やオートメーション化、合理化によって、特に若い人たちの仕事が失われるというような印象を与える。</p> <p>若い人たちにとって、単純作業や肉体労働は旧体制のオートメーション化によってとっくに奪われている。これから奪われるのは、参入障壁の高い既得権益に守られた産業、それから自ら価値を生み出さずに中間マージンを取るだけの不動産やディストリビューターのような仕事で、奪うのは小さなチームからなる若くて優秀な起業家やエンジニアたちだ。</p> <p>そういう未来が早くくればいいと願っている。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319552/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41wP3LRm7QL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント" title="How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532319552/ryokdy-22/">How Google Works (ハウ・グーグル・ワークス) ―私たちの働き方とマネジメント</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> エリック・シュミット,ジョナサン・ローゼンバーグ,アラン・イーグル,ラリー・ペイジ,土方奈美</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> 日本経済新聞出版社</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2014/10/09</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> 単行本</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/4532319552/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (2件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> ryokdy サンフランシスコでDreamforceに参加した hatenablog://entry/8454420450069173724 2014-10-18T19:03:34+09:00 2014-10-19T10:30:19+09:00 今は朝の4時50分。6日目だけど結局時差ボケは直らなかったので、もうこのまま日本に帰ることにする。 今回サンフランシスコに来た目的は、Dreamforceに参加するためだった。Dreamforceというのは、セールスフォース・ドットコムというシリコンバレーのIT企業が年に一度主催するカンファレンスで、この1企業のイベントのために公道が1週間封鎖される。Dreamforce期間中はいたるところで交通渋滞が起き、サンフランシスコのダウンタウンが水色のリュックを背負った人々であふれ返ることになる。 基調講演で登場したのは、ヒラリー・クリントン、アル・ゴア、ウイル・アイアム、ニール・ヤング、サンフラン… <p>今は朝の4時50分。6日目だけど結局時差ボケは直らなかったので、もうこのまま日本に帰ることにする。</p> <p>今回サンフランシスコに来た目的は、Dreamforceに参加するためだった。Dreamforceというのは、セールスフォース・ドットコムというシリコンバレーのIT企業が年に一度主催するカンファレンスで、この1企業のイベントのために公道が1週間封鎖される。Dreamforce期間中はいたるところで交通渋滞が起き、サンフランシスコのダウンタウンが水色のリュックを背負った人々であふれ返ることになる。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20141014/20141014135351.jpg" alt="f:id:ryokdy:20141014135351j:plain" title="f:id:ryokdy:20141014135351j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>基調講演で登場したのは、ヒラリー・クリントン、アル・ゴア、ウイル・アイアム、ニール・ヤング、サンフランシスコ市長など超大物ばかり。X JapanのYoshikiも来ていて、ピアノを弾いていた。当然ほとんどの客はYoshikiのことを知らなくて、わたしのうしろにいた客から、彼は日本で有名な男なのかと尋ねられた。なぜ登場したのかはまったく不明。</p> <p><blockquote class="twitter-tweet" lang="ja"><p>The one and only <a href="https://twitter.com/YoshikiOfficial">@YoshikiOfficial</a> now live <a href="https://twitter.com/Dreamforce">@Dreamforce</a>! <a href="http://t.co/k2T3cn8PV2">pic.twitter.com/k2T3cn8PV2</a></p>&mdash; Marc Benioff (@Benioff) <a href="https://twitter.com/Benioff/status/522536729568223233">2014, 10月 15</a></blockquote><script async src="//platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script></p> <p>ツイートしたマーク・ベニオフはセールスフォース・ドットコム社の社長。</p> <p>これとは別に毎年単独アーティストのコンサートも開催されていて、ことしはブルーノ・マーズだった。去年はグリーン・デイで、一昨年はレッチリだった。 このコンサートにはイベントのパスを持っていれば無料で見られることになっている。それから会場で配られる食べ物も無料。レセプションでのビールも飲み放題で至れり尽くせりだが、イベントのチケットは$1000くらいするのでまあそれくらいは当たり前か、という感じ。</p> <p>とここまで書くとどんなIT企業なのかと思われるかもしれないけど、セールスフォース・ドットコムというのはその名のとおり、企業向けの営業支援ソフトを作っている会社で、それだけ聞くとものすごく地味で硬い会社に感じると思う。日本でそういう企業のイベントをやるとするともう確実にくたびれたおじさんしか来ないもんだけど、もうそのへんの感覚は桁外れに違っている。営業支援ソフトを作っている会社が1週間公道を封鎖してニール・ヤングとYoshikiを呼んでむちゃくちゃ人が集まるとかって、ほんと意味がわからない。そういう非日常的な一週間を過ごしていた。頭がぼんやりしているのは時差ボケのせいではないと思う。</p> <p>最終日はシリコンバレーの日本人エンジニアが集まるパーティに参加した。レイオフなどは日常茶飯事で、話した多くの方は会社にビザを発行してもらっているので首を切られると帰国するしかないらしい。 話した若い方は、スタートアップでMusic deviceのアセンブリをやっていて、工場のラインに乗せるまでに手で1000個手で作らないといけないのだといっていた。それでも一様に生き生きしていて、生命力がみなぎっている感じがした。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20141016/20141016195539.jpg" alt="f:id:ryokdy:20141016195539j:plain" title="f:id:ryokdy:20141016195539j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> ryokdy あの裁判の傍聴にいってみた hatenablog://entry/8454420450068122815 2014-10-11T10:30:00+09:00 2014-10-11T10:30:00+09:00 こちらのブログを読んだ。 裁判員をした友人に裁判員制度の流れとか詳細を聞いてみた : 941::blog 裁判員をした友人に裁判員制度の流れとか詳細を聞いてみた - 941::blog 前から裁判員には興味があったんだけど、なりたいといってなれるものでもない。そういえば裁判て誰でも傍聴できるんだよなと思いながら、帰宅中の電車で裁判所のサイトを見ていた。一般的な裁判は誰でも好きなときに法廷へ入っていいらしい。途中で入っても、途中で出て行ってもいいらしい。どんな裁判をやっているんだろうと思ってサイトをまわっていたら、「傍聴券交付情報」というページがあった。傍聴希望者が多い裁判では、傍聴券というもの… <p>こちらのブログを読んだ。</p> <p><iframe src="http://hatenablog.com/embed?url=http%3A%2F%2Fblog.kushii.net%2Farchives%2F1912579.html" title="裁判員をした友人に裁判員制度の流れとか詳細を聞いてみた : 941::blog" scrolling="no" frameborder="0" style="width: 100%; height: 155px; max-width: 500px; margin: 10px 0px;"><a href="http://blog.kushii.net/archives/1912579.html">裁判員をした友人に裁判員制度の流れとか詳細を聞いてみた : 941::blog</a></iframe></p> <p><a href="http://blog.kushii.net/archives/1912579.html">&#x88C1;&#x5224;&#x54E1;&#x3092;&#x3057;&#x305F;&#x53CB;&#x4EBA;&#x306B;&#x88C1;&#x5224;&#x54E1;&#x5236;&#x5EA6;&#x306E;&#x6D41;&#x308C;&#x3068;&#x304B;&#x8A73;&#x7D30;&#x3092;&#x805E;&#x3044;&#x3066;&#x307F;&#x305F; - 941::blog</a></p> <p>前から裁判員には興味があったんだけど、なりたいといってなれるものでもない。そういえば裁判て誰でも傍聴できるんだよなと思いながら、帰宅中の電車で裁判所のサイトを見ていた。一般的な裁判は誰でも好きなときに法廷へ入っていいらしい。途中で入っても、途中で出て行ってもいいらしい。どんな裁判をやっているんだろうと思ってサイトをまわっていたら、「傍聴券交付情報」というページがあった。傍聴希望者が多い裁判では、傍聴券というものを抽選で交付する仕組みになっているらしい。どの裁判で傍聴券が交付されるかは、<a href="http://www.courts.go.jp/kengaku/">ネットで公開されている</a>。</p> <p>東京地方裁判所で傍聴券が交付される予定のものは3件あった。そのうちの1件が目をひいた。</p> <blockquote><p>東京地方裁判所  刑事第4部</p> <p>日時・場所  平成○年○月○日 午前9時30分 東京地方裁判所1番交付所</p> <p>事件名  航空機の強取等の処罰に関する法律違反等 平成25年合(わ)第48号等</p> <p>備考  <抽選>当日午前9時30分までに指定場所に来られた方を対象に抽選します。開廷時間は午前10時00分です。</p></blockquote> <p>航空機の強取って、日本でハイジャックなんてあったっけと思いながら、何の気なしにググってみたら、<a href="https://www.google.co.jp/search?q=%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%95%E5%B9%B4%E5%90%88%EF%BC%88%E3%82%8F%EF%BC%89%E7%AC%AC%EF%BC%94%EF%BC%98%E5%8F%B7&amp;oq=%E5%B9%B3%E6%88%90%EF%BC%92%EF%BC%95%E5%B9%B4%E5%90%88%EF%BC%88%E3%82%8F%EF%BC%89%E7%AC%AC%EF%BC%94%EF%BC%98%E5%8F%B7&amp;aqs=chrome..69i57j69i59j0.252j0j4&amp;sourceid=chrome&amp;es_sm=119&amp;ie=UTF-8">あの事件の裁判</a>だということがわかった。他人のパソコンをウイルスで遠隔操作して、航空機の爆破予告を行ったことがハイジャック防止法違反にあたるということなのだろう。わたしは前にハッカーが登場する小説を書いたことがある。書いていたとき、まだ容疑者は否認を続けていた。だから物語の背景としてこの事件を匂わせるエピソードを加えた。書き終わってひと月ほどたった後、ニュースで、事件の決定的な証拠が見つかって犯人が自供を始めたことを知った。日本では類を見ないほどメディアの注目を浴びたコンピューター犯罪であり、動向には関心を持っていた。なので、この裁判を傍聴にいくことに決めた。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00JI6CDOS/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41X6PVf6%2BBL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="2オクロック" title="2オクロック"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00JI6CDOS/ryokdy-22/">2オクロック</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> 門屋亮</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2014/04/05</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Kindle版</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00JI6CDOS/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログを見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>当日、9時ごろに東京地方裁判所に到着する。霞が関駅のすぐ目の前にある。裁判所のまわりには別の事件で冤罪を主張する支援者たちがビラを配っている。あまりにも物々しすぎて、思わず建物を素通りしてしまうが、このままだとなんのために会社も半休をとってのこのこやってきたかもわからないので、気を取り直して裁判所の建物の中に入る。入口のところでは飛行機の手荷物検査場と同じように荷物を検査され、金属探知ゲートを通らなければいけない。裁判中に遺族が犯人を襲ったりしないのだろうかと思っていたけど、当然のことながら対策が取られているのだとわかった。守衛の人に1番交付所はどこですかときいたら、外だという。しかもまだ早すぎるので20分くらいに行ってみてくださいとのこと。守衛の人に礼をいったら、近くにいた特徴的な外見のおじさんにも、まだ早すぎるよ!と念を押された。そのおじさんは常連なのかわからないが受付のところでいろんな資料をチェックしたり、すぐあとで来たちょっと派手な感じの若い女の人とキャッキャおしゃべりをしたりしていた。知らない世界を垣間見た気がした。それから、交付所に行ったら整理券をくれた。最初は20人くらいしかいなくて、定員は30名くらいと聞いていたので全員入れるんじゃないかと思っていたけど、最終的には100人くらいになっていた。裁判ウォッチャーで有名なあの芸人さんもいた。もちろんさっきのおじさんと女の人もいた。ほぼ男性はスーツで、ジーパンをはいているのはわたしと、あと2、3名くらいだった。ちょっと浮いていて場違いな感じもしたが、わたしは決してHEROにかぶれたと思われたくはなかったので、努めて自然体をよそおった。</p> <p>係の人が来て、これからコンピューター抽選を行うので、当選した人は整理券をもって法廷にきてくださいという指示があった。ではこちらへと通されて、歩いて行ったら、最初に整理券をもらったあたりではずれの整理券を回収しますという人が待っている。わたしのまわりの人たちはどんどん整理券をその人に渡して帰ってしまった。わたしはコンピューター抽選というのでひとりずつパソコンのボタンかなんかを押して、ピコンピコン、イエーイ当たった!とかやるのかと思っていたので、いつのまに当選が決まったのか、出来レースか! と思ってうろうろしていたら、番号の書かれた紙が張り出されてあって、そこに自分の整理券の番号があれば当選ということだった。完全に流れに乗り切れずにまたうろうろして、紙を見たら自分の番号が書かれてあった。</p> <p>もう一度手荷物検査場をとおって建物の中に入って、エレベーターで8階にあがる。さっきのおじさんも女の人もいた。ものすごい強運な人なのかもしれない。そこで整理券を渡すと、手荷物をすべて没収された。法廷に持ち込んでいいのは、筆記用具とメモ、それに貴重品だけらしい。わたしはめんどうなので財布もリュックにつっこんで預けた。裁判所で働いている人の中に泥棒がいて財布なんか盗られていたらなんか面白いと思ったからだ。荷物を預けるとひとりずつ、さらに入念なボディチェックが行われた。筆箱とか、メモ用紙の中まで見せないといけない。それが終わると、法廷の前に並ぶか、待合室で待ってくださいといわれた。わたしはとりあえず並んで待つことにした。しばらく待っていると検察の人たちや弁護士の人がわれわれの前を通って法廷へ入っていった。なんでわかるかというと、いちいち検察官はいりまーすとか教えてくれるからだ。テレビで見たことのあるジャーナリストの人もちらほらいた。</p> <p>で、ひととおり準備ができると、順番に法廷にとおされた。部屋は想像よりもだいぶ小さい。被告との距離は5メートルもなかった。前後3列の席があって、右側の一部分は報道関係者用になっている。わたしは素人なので2列目の席に座ったのだけど、部屋が狭く傾斜がないので前の人の頭で見えづらい。一番前に座るのがいいと思う。</p> <p>裁判の内容は詳しく書かないけど、非常に興味深かった。検察と証人とが見せる高度なディベート技術は、見ていて緊張感があったし、コンピューター上の痕跡の検証については専門分野なので証言のあらを発見したり、自分なりに思うところもあった。審理は約2時間だったけど、あっという間に終わった印象がある。特に今回のは注目度の高い事件の裁判であるためか、検察側も弁護側も、ある種のオーラを帯びて見えた。外見、たたずまい、話し方など担当者それぞれに個性があった。いわゆるキャラが立っているというやつだ。そういえば被告もそうとうキャラが立っている。無責任にいえば、劇場にいるような感覚だった。法曹の世界というのはそういうところなのかもしれない。</p> <p>この日の審理が終わって、外から写真を撮って裁判所をあとにした。ただで2時間もこんな面白い体験ができて満足だった。また行ってみたいと思う。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20141010/20141010002344.jpg" alt="f:id:ryokdy:20141010002344j:plain" title="f:id:ryokdy:20141010002344j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> ryokdy 新人の開発研修を見て思ったこと hatenablog://entry/8454420450067029097 2014-10-04T10:30:00+09:00 2014-10-10T00:46:21+09:00 今日は、会社で今年わたしのいる開発チームに入った新人の研修発表会があった。研修といってもすでに配属は決まっているので、いわゆるOJTというやつだ。うちの会社はクラウドサービスを作って提供していて、新人は学習をかねて製品のコードに手を入れて、好きな機能を追加してみたり、改良してみたりする。ただし研修の成果物が実際にリリースされるわけではない。今年チームに入った新人はふたりだったのだが、そのふたりの発表内容が対称的で、興味深かった。 ひとりめの新人が追加した機能は、ユーザーからの要望はまずないといっていいものだった。だが機能としては面白く、あると確かに便利かもねと思わせる内容だった。それに対して、… <p>今日は、会社で今年わたしのいる開発チームに入った新人の研修発表会があった。研修といってもすでに配属は決まっているので、いわゆるOJTというやつだ。うちの会社はクラウドサービスを作って提供していて、新人は学習をかねて製品のコードに手を入れて、好きな機能を追加してみたり、改良してみたりする。ただし研修の成果物が実際にリリースされるわけではない。今年チームに入った新人はふたりだったのだが、そのふたりの発表内容が対称的で、興味深かった。</p> <p>ひとりめの新人が追加した機能は、ユーザーからの要望はまずないといっていいものだった。だが機能としては面白く、あると確かに便利かもねと思わせる内容だった。それに対して、もうひとりの新人が実装したのは、ユーザーからこんな機能もないのかといわれてもおかしくないような、想定する利用シーンがわかりやすいものだった。どちらのアプローチが優れているということではない。いわゆるプロダクトアウトか、マーケットインかというやつだ。ないニーズを作り出すか、すでにあるニーズを取り入れるか。方法はどちらでもよいが、開発は最終的にユーザーに選ばれる製品をつくらなくてはいけない。そういう意味では、ふたりとも結果的に失敗していた(製品のコードを触るのがOJTの目的なのでそこまでハードルをあげるのは可愛そうだと思っているけど)。</p> <p>一度リリースした製品にしろサービスにしろ、普通は顧客からのフィードバックを得て改善したり、機能を追加していったりするものだ。ここで作り手は、「顧客が解決したい問題がなにか」ということを見極めなくてはいけない。画像が多すぎるから減らして欲しいという要望をそのまま聞いてはいけない。顧客は本当は画面をもっと速く表示してほしいのかもしれない。やるべきことは画像をやめて文字にすることではなく、画像をキャッシュさせることかもしれないし、データベースのチューニングかもしれない。データが壊れたときに直せるようにしてほしいと顧客にいわれたら、それはデータが壊れないようにしてほしいということだ。顧客は本当はどうしたいかをいわず、あえて遠回しなソリューションを提示しようとする。彼らはやさしいから、我々にできそうなことをいってくれる。この機能さえあれば、自分の問題が解決するのだと信じている。でもそれはたいてい、本質的な問題の解決にはならない。作り手は、顧客がなにをいっているのか、心の耳を傾けなくてはいけない。渡ろうとしている橋の手前に「このはしわたるべからず」と書いてあったとしたら、これみよがしに橋の真ん中を渡ってみせてはいけない。親切な忠告に従わなかったせいで橋が壊れておぼれ死ぬこともある。本当に顧客のやりたいことが理解できるまで、なにもするべきではない。</p> <p>一方で、顧客は自分がやりたいことさえもわかっていない場合がある。顧客はリモコンみたいなコントローラーを振り回してゲームがやりたいとはいわないし、携帯電話をスタイラスなんかじゃなくて指先で操作できるようにしてほしいともいってくれない。WiiやiPhoneみたいな製品は、お客様の声みたいなところからは生まれないものだ。そういうものを作るのはすでにあるものを改良するよりもずっと難しい。闇の中にある問題を解決するようなものだからだ。そういうものを作りたかったら、まだ表面化していないニーズについて仮説をたてて、誰に、どんな価値を提供できれば成功かというコンセプトを作る必要がある。ここで重要なのは、仮説が正しいか正しくないか検証できるまで、コンセプトをぶらさないということだ。リモコンやタッチインターフェイスやいいねボタンといった機能が絶対ではない。コンセプトが絶対だということを忘れてはいけない。</p> <p>優秀な新人のふたりはすぐに、技術を魔法のように駆使して製品を作ってくれるようになると思う。魔法は人を幸せにもするし不幸にもする。魔法使いを引退した身で恐縮ではあるけど、正しい目的で正しい魔法が使えるように、これから学んでもらえればうれしい。</p> ryokdy ブレイキング・バッド 全62話をみた hatenablog://entry/8454420450066451765 2014-09-27T14:21:54+09:00 2014-09-28T22:09:47+09:00 前に書いたように、Huluでブレイキング・バッドという海外ドラマをみていた。昨日ようやく最終話を迎えた。Wikipediaによると、アメリカでは2008年の1月20日から2013年の9月29日に最終話が放送されたらしいから、約6年分を2ヶ月でみたことになる。平均して毎日2本のペースでみていた。途中で挫折しなかった海外ドラマは初めてだ。 ブレイキング・バッドのおもしろさを人に伝えようとしても、たいていはうまくいかない。癌を宣告された冴えない教師が覚醒剤を作って麻薬王になるというのがストーリーの大筋だけど、それをだれかに話しても、へえ、という反応で終わる。テロリストも出てこないし、宇宙人が人間に化… <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/08/16/093000">前に書いたように</a>、Huluでブレイキング・バッドという海外ドラマをみていた。昨日ようやく最終話を迎えた。Wikipediaによると、アメリカでは2008年の1月20日から2013年の9月29日に最終話が放送されたらしいから、約6年分を2ヶ月でみたことになる。平均して毎日2本のペースでみていた。途中で挫折しなかった海外ドラマは初めてだ。</p> <p>ブレイキング・バッドのおもしろさを人に伝えようとしても、たいていはうまくいかない。癌を宣告された冴えない教師が覚醒剤を作って麻薬王になるというのがストーリーの大筋だけど、それをだれかに話しても、へえ、という反応で終わる。テロリストも出てこないし、宇宙人が人間に化けてやってきたりもしない。わたし自身、概要を聞いてもそれほど面白そうだとは思わなかった。エミー賞やゴールデン・グローブ賞を総取りという触れ込みや、ネットでの賞賛の記事がなかったら観てみようという気にはならなかっただろうと思う。</p> <p>このドラマのすごいところは、62話もあるのに過不足がないところだ。50歳を迎えた余命残りわずかの主人公の物語が、まっすぐ膨れあがって、そして収束に向かって降下していく。もちろん途中にはひたすらハエを追いかけるだけみたいな、なくてもいいような回もあるけど、全体としてきれいに調和がとれている。途中で話の軸がぶれることもないし、主人公を成長させるための無駄なエピソードもない。6年も続いたドラマとしては奇跡的に思える。主人公は最初から最後まで、一貫してブルー・メスと呼ばれる覚醒剤を作り続けて金を稼ごうとする。利益を増やすために新しいディストリビューターと手を組んでは必ず対立する。</p> <p>主人公のウォルターは最初、家族にお金を残すために覚醒剤を作り始めるが、どんどんエスカレートして、傲慢で自分勝手になり、感情移入できなくなる。シーズン3あたりから吹っ切れたように他人を利用し、邪魔な人間を排除し、自分の利益を守ることしか考えなくなる。だんだんと同情できなくなり、終盤はただの醜い中年の嫌なやつにしか見えなくなってくる。最終話の妻のスカイラーへの告白が、このドラマの核心を物語っている。人は他人を期待してはいけないし、誰かの期待に応えようとしてもいけない。自分のために、他者に貢献するものだ。</p> <p>最後に動画を紹介する。主人公のウォルターとジェシーは、麻薬の元締めで凶悪なトゥコに拉致されてメキシコに送られそうになる。ウォルターは毒物をトルティーヤにまぜてトゥコを殺そうとする。その場にはヘクターというトゥコの叔父で痴呆の老人がいる。難なく毒殺できるように思えたが、あと1歩のところでことごとくヘクターに邪魔をされる。とてもスリリングなシーンでわたしはすべてのシーズンとおしてこの話が一番好きだ。</p> <p><iframe width="459" height="344" src="http://www.youtube.com/embed/PqypF9qkVzY?feature=oembed" frameborder="0" allowfullscreen></iframe></p> <p><a href="https://www.youtube.com/watch?v=PqypF9qkVzY">A Tribute to Hector Salamanca - Breaking Bad (SPOILERS!) - YouTube</a></p> ryokdy 35歳くらいのときにやっておいたほうがいいこと hatenablog://entry/12921228815733162093 2014-09-20T10:00:00+09:00 2014-09-20T10:00:03+09:00 35を過ぎて同級生にあったりすると、ときどきびっくりするくらいおじさんになっていることがある。それを見てああ自分もこんな歳なんだなと実感する。シブがき隊に例えるなら、やっくんはそこで諦めて、自分を受け入れたのだと思う。もっくんは受け入れなかったはずだ。もっくんになりたければ、それなりにお金と手間をかけなくてはいけない。八重歯が可愛いのは高校生までだ。おっさんというのは基本的に臭くて見苦しいものなので、年を重ねると普通に生活したり人様に迷惑をかけないようにするだけでもお金がかかるものだ。 親知らずを抜く こないだ検診のために歯医者にいって、10年くらい親知らずが気になってるんですけど抜けますかと… <p>35を過ぎて同級生にあったりすると、ときどきびっくりするくらいおじさんになっていることがある。それを見てああ自分もこんな歳なんだなと実感する。シブがき隊に例えるなら、やっくんはそこで諦めて、自分を受け入れたのだと思う。もっくんは受け入れなかったはずだ。もっくんになりたければ、それなりにお金と手間をかけなくてはいけない。八重歯が可愛いのは高校生までだ。おっさんというのは基本的に臭くて見苦しいものなので、年を重ねると普通に生活したり人様に迷惑をかけないようにするだけでもお金がかかるものだ。</p> <h4>親知らずを抜く</h4> <p>こないだ検診のために歯医者にいって、10年くらい親知らずが気になってるんですけど抜けますかと訊いたら、あっさりその場で抜いてくれた。若いときには口腔外科じゃないと抜けないといわれていたのだけど、それから時間がたったので抜けるくらい生えてきたのだと思う。こんなおっさんになるまで成長するなんて健気に思ったりもするけど、こんな簡単ならもっと早く抜けばよかった。抜いた親知らずは磨けない場所に生えていたので虫歯になっていてびっくりするくらい臭かった。お金に余裕があるなら、矯正をしたりホワイトニングをするのもいいと思う。</p> <h4>ピロリ菌を除去する</h4> <p>ピロリ菌はがんの発生原因のひとつといわれている。わたしは胃腸が弱くて頻繁に下痢になったり胸焼けがしたりしていた。胃腸科で検査してもらうとピロリ菌がいることがわかったので、ピロリ菌を除去してもらうことにした。1週間抗生物質を飲み続けるだけでよかった。じいさんとかが孫に口うつしで食べ物を与えるとピロリ菌がうつるのでよくないそうだ。除去したあとは朝口の中がさっぱりしていて、歯を磨いてもおえってならなくなった。</p> <h4>枕のにおいをかいでみる</h4> <p>たまに自分のベッドとか枕からおっさんというかおじいさんのにおいがすることがある。もちろん家から抜け出したよそのおじいさんがわたしのベッドを勝手に使っているわけではなくて、自分のにおいだということをまず認めないといけない。おっさんが4人集まって1時間も会議をしたら、会議室はおっさん臭で充満するはずだ。まず、タバコはやめたほうがいい。といってもわたしはやめてないので偉そうなことはいえない。ただ昼間は吸わないことにした。仕事中はがまんする。フレグランスもわたしは控えめにつけている。分量を間違えるとよけい臭くて周りが迷惑するので気を付けたほうがいい。どんなのを選んだらいいかわからないと思うけど、いろいろ試してみるしかない。わたしは好きでずっとつけているのがあるけど手に入らなくなるといやなので教えたくない。昔はバーバリーのこども用香水をつけていた。やさしい感じでおすすめ。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00565U5HM/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/31cfNwhF-5L._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="【バーバリー】ベビータッチ EDT・SP 100ml (並行輸入品)" title="【バーバリー】ベビータッチ EDT・SP 100ml (並行輸入品)"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00565U5HM/ryokdy-22/">【バーバリー】ベビータッチ EDT・SP 100ml (並行輸入品)</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> バーバリー</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> ヘルスケア&ケア用品</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00565U5HM/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログを見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <h4>レーシックをする</h4> <p>ネットではさんざんレーシックが叩かれていることはよく知っている。手術経験者の4割が不具合を感じているとか騒がれているが、どういう統計なのかはよくわからない。わたしの知人だけでざっと20人はレーシックの経験者がいて、後悔しているという話は聞いたことがない。夜に目が見えにくかったり、光がまぶしく感じることはあるがそれは手術前から説明されていたことで特別不都合はない。わたしは5年前にレーシックをして、0.1なかった視力が1.5まで回復した。これから老眼になったり目が見えなくなったりすることはないとはいえないけど、すでに十分な恩恵を受けたので後悔はしないだろうと思う。とはいえ後遺症に苦しんでいる人がいるのは事実だろうから、自己責任で。</p> <h4>へんな毛をなんとかする</h4> <p>最初に白髪を染めたのは30歳くらいのときだった。最初は美容室で半年に一回くらい染めればよかったのが、今はほとんど毎月染めないと追いつかなくなってきた。お金もばかにならなくて今はブローネの泡カラーというのを使っている。泡なので簡単だけどこの先ずっと髪を染めないといけないと思うとちょっと気が滅入る。それでもまだ禿げてないのでましではある。代わりに唇とか変なところから毛が生えてくる。鼻毛とかたまにおじいさんで結べるくらい鼻毛が伸びている人がいるけど、油断するとああなりかねないので鼻毛も手入れしないといけない。わたしは専用の鼻毛カッターを持っている。あと、もう十年もすれば日本でも下の毛を剃るのが主流になると思う。もうこの際だからいうけど、おしりの毛を除毛するのは<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/B0036ZBRVC">ヴィート</a>がいいですよ。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00LH9XU00/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41fhWtWshQL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="パナソニック エチケットカッター A:ブラック" title="パナソニック エチケットカッター A:ブラック"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00LH9XU00/ryokdy-22/">パナソニック エチケットカッター A:ブラック</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> TMC</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> </li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00LH9XU00/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログを見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <h4>スーツを仕立てる</h4> <p>わたし自身は普段スーツを着る仕事じゃないこともあってもう10年もスーツは買ってない。たまにスーツを着ると着せられている感が満載になって恥ずかしい。おっさんなのに大学生よりもスーツが似合わないといわれるのはなかなか辛いものがある。こんなふうにならないためにも、ちゃんとしたスーツは持っていたほうがいい。できたら伊勢丹でオーダーメイドのスーツとかを仕立てたらいいんだろうけど(よく知らない)、最近スタートアップで、ネットでオーダーメイドのスーツが注文できるサービスがローンチしたらしい。見たらすごく安くてびっくりした。</p> <p><a href="https://lafabrics.jp/">LaFabrics(&#x30E9;&#x30D5;&#x30A1;&#x30D6;&#x30EA;&#x30C3;&#x30AF;&#x30B9;)&#xFF5C;&#x30AA;&#x30F3;&#x30E9;&#x30A4;&#x30F3;&#x4E0A;&#x3067;&#x81EA;&#x5206;&#x597D;&#x307F;&#x306E;&#x30B9;&#x30FC;&#x30C4;&#x30FB;&#x30B7;&#x30E3;&#x30C4;&#x3092;&#x30AA;&#x30FC;&#x30C0;&#x30FC;&#x30E1;&#x30A4;&#x30C9;&#x3067;&#x304D;&#x308B;&#x30AA;&#x30F3;&#x30E9;&#x30A4;&#x30F3;&#x30C6;&#x30FC;&#x30E9;&#x30FC;&#x30B5;&#x30FC;&#x30D3;&#x30B9;</a></p> <h4>クラブフロアに泊まってみる</h4> <p>いいホテルにはクラブフロアというものがある。クラブフロアに泊まるとラウンジでタダで酒が飲めたり専用のチェックインデスクがあったりする。ふつうは馬鹿みたいに高いけど、平日だとツインで5万円くらいで泊まれたりするので手が出せない値段ではない。東京だと、ペニンシュラ、コンラッド、フォーシーズンズ、シャングリラ、マンダリン、リッツカールトンみたいにいいホテルがたくさんあるので、せっかくなら気に入ったホテルのクラブフロアに泊まってみたらどうだろう。なんとなくこんなもんだとわかることもある。シャングリラホテルのクラブフロアはラウンジのメロンジュースがたいへん美味しかった。</p> ryokdy ゲーセンのおばちゃんが実践したマーケティング術 hatenablog://entry/12921228815732748656 2014-09-13T13:34:28+09:00 2014-09-13T14:12:37+09:00 photo by gamerscoreblog 小学生のころ、近所にゲームセンターがあった。もう30年も前のことだけど仮に店の名前をチェルシーにしておく。当時はゼビウスの全盛期だった。こどもたちはソルを見つけては驚喜し、アンドアジェネシスに誰もが一度は玉砕した。 チェルシーは当時、知る人ぞ知るゲーセンだった。古い雑居ビルでひっそりと営業していた。大型の店舗を含めて、ゲーセンは近所に何件もあったが、おれはチェルシーに行ってるというと、わかってるやつと見られるような、そんなゲーセンだった。店内は狭く、電子音が鳴り止むことはなく、よどんだ空気の中暇をもてあました少年たちが背中を丸めていて、他の店とそ… <p><a href="http://www.flickr.com/photos/66327609@N00/508629578"><img src="http://farm1.staticflickr.com/205/508629578_2371081d29.jpg" alt="" /></a></p> <p><a href="http://www.flickr.com/photos/66327609@N00/508629578">photo by gamerscoreblog</a></p> <p>小学生のころ、近所にゲームセンターがあった。もう30年も前のことだけど仮に店の名前をチェルシーにしておく。当時はゼビウスの全盛期だった。こどもたちはソルを見つけては驚喜し、アンドアジェネシスに誰もが一度は玉砕した。</p> <p>チェルシーは当時、知る人ぞ知るゲーセンだった。古い雑居ビルでひっそりと営業していた。大型の店舗を含めて、ゲーセンは近所に何件もあったが、おれはチェルシーに行ってるというと、わかってるやつと見られるような、そんなゲーセンだった。店内は狭く、電子音が鳴り止むことはなく、よどんだ空気の中暇をもてあました少年たちが背中を丸めていて、他の店とそんなに変わっているところはなかった。ひとつ違うところといえば、他の店は店員という存在が希薄で、呼べばでてくるくらいのものだったのに対して、チェルシーはいつも店のおばちゃんが入り口のカウンターにすわっていた。小太りの40代くらいのおばちゃんで、いつも青い上下のスエットを着ていた。</p> <p>おばちゃんは営業中はいつもそのカウンターにいた。いつもおばちゃんと呼んでいたので名前は知らない。経営者なのか雇われていたのかも今となってはわからない。いつもにこにこしていて、感じのよいおばちゃんだった。チェルシーでは冷蔵庫に何本も冷水がストックされていて、客は喉が渇いたらいつでもその水を飲んでよいことになっていた。初めての友達を連れてチェルシーに行くときはいつも、知った顔で冷蔵庫を開けて、水を飲んで見せるのだった。わたしはチェルシーに頻繁に通った。銭湯にいくといって祖母にもらった300円をチェルシーで使い切ったりもした。</p> <p>おばちゃんは店のファンをつくる能力に長けていた。休日の昼などに行くと、ときどきおばちゃんは常連の客にだけインスタントラーメンを作ってくれた。常連でない中学生たちのうらやましそうな視線を尻目に、わたしはサッポロ一番をすすった。航空会社がやるのと同じ、優良顧客サービスというやつだ。それから、警察や補導員が見回りに来たときなどは優先して倉庫にかくまってくれたりもした。常連にラーメンを作ることを除くと、おばちゃんの仕事はおもに、水の補充と両替だけだった。チェルシーでは両替機ではなく、おばちゃんが手で両替をしていたのだ。当時のゲームは50円硬貨を入れるものだったので、両替は必須だった。意図的なものだったのかはわからないが、おばちゃんは自分の手で両替を行うことで、どのこどもがどれくらいゲームをしているか把握することができていたんだと思う。</p> <p>4年生の夏休みに、わたしはおばちゃんにいっしょに絵を描こうと誘われて、店の2階で大好きだったドルアーガの塔の絵を何枚か描いた。おばちゃんは見ているだけだった。翌日その絵は店の目立つところに貼られていて、それからわたしが描いたものだけではなくてほかの中学生や高校生が描いた立派な絵が増えていった。その絵が店の売り上げにいくらかでも貢献したのかはわからないが、おばちゃんはタダでポップを描いてくれる人材を確保していたことになる。</p> <p>それからしばらくすると、人気のあるゲームのスコアランキングが店に掲示されるようになった。客は自分の名前がチェルシーに掲げられることを誇りに思い、ゲームの腕を競った。わたしは一度だけパックランドのランキングで10位以内に入ったことがあるが、しょせん小学生の経済力では高校生の常連にはかなわなかった。客同士を競わせるのが効果的な戦略であるのはキャバクラやAKBを見ても明らかだ。その陰では脱落していくファンが生まれることになる。そういうこともあって、わたしは次第にチェルシーから足を遠ざけていった。</p> <p>6年生のときに、友達につれられて久しぶりにチェルシーにいった。おばちゃんとは軽くあいさつをした程度だったと思う。店内はわたしが通っていたころよりも湿度が高くて、人であふれていた。友達はおばちゃんになにかカードのようなものを手渡して、おばちゃんからいくらかの現金を受けとった。わたしはよく意味がわからなかったのだが、友達はチェルシーにお金を預けてあるのだといった。お金が貯まるとチェルシーにそれを預けて、ゲームがしたいときに引き出して遊ぶのだという。現金を持たずにチェルシーに行くのが最近の常連のステータスらしかった。お前も預けたらどうかといわれたが、わたしは最近はあまりゲーセンに行かないのでと断った。</p> <p>ある日、同級生が恐喝をしたことが学校にばれて、騒ぎになった。その同級生はチェルシーに金を預けていて、そのことが問題視された。担任だった女性の教師は、こどもからお金を預かるなんて、先生はそのおばさんがとても怖いと思いますと学級会でいった。わたしはチェルシーのおばちゃんが怖いと思ったことは一度もなかったので変な感じがした。今考えてみると、たぶん初期にチェルシーに預けられたお金の大半は、恐喝をしたり車上荒らしをしたりして得た、おおっぴらに持ち歩くことのできないものだったのではないかと思う。それをチェルシーに預けることで、マネーロンダリングをすることができた。そうすると店でお金を受けとるシステムをかっこいいと思った他の少年たちが真似をするようになった。チェルシーからすると、預かった金をほぼすべて店で使われることが確定されるから、都合が悪いことはひとつもない。</p> <p>実は、チェルシーの2階には、ひっそりと麻雀や花札のゲームが置かれてあった。わたしはやったことがなかったが、兄貴の友達がたまにやっていた。ゲームで勝つと、お金がもらえるのだといっていた。要するに違法な賭博ゲームだったがそういうものが普通にあった時代だった。</p> <p>チェルシーはその後、しばらくして閉店した。それからおばちゃんには会っていない。おばちゃんにはマーケティングの才能があったと思う。一線を越えてしまったのが悪い結果を招いてしまったが、おばちゃんには反省してほしくない。屈託のない笑顔に裏表はなかった。ただ、こどもが見てはいけない闇があっただけだ。</p> <p>チェルシーのおばちゃんは今ごろどうしているだろう。</p> ryokdy 横浜トリエンナーレにいってみた hatenablog://entry/12921228815732139379 2014-09-06T13:01:38+09:00 2014-09-06T13:02:32+09:00 公式サイト みなとみらいの駅にも展示があります。くまみたいなやつ。あんま可愛くない。 ラジオというか石。いやラジオ。災害時に重宝する。 学生の悪ふざけに近いノリ 「死亡宣告された生者、その他の章」という展示。死者扱いされたインドの人々、ウクライナの児童養護施設の子供たちなど 眼鏡を外してからトイレに入るタイプ 平積みになった「華氏451度」。字が逆に印刷されている。誤発注レベル。 時計を内蔵した雑なテレビ。 キンタマみたいなのが浮かんでいる部屋 ワーイ めっちゃ威嚇する人形。ガンツっぽい。 近くでみるとこいつが一番ガンツっぽい。 裁判所。両脇にDJブースあり。ときどきガタンってなる。 裁判所の… <p><a href="http://www.yokohamatriennale.jp/2014/index.html">公式サイト</a></p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902165424.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902165424j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902165424j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>みなとみらいの駅にも展示があります。くまみたいなやつ。あんま可愛くない。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902144615.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902144615j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902144615j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>ラジオというか石。いやラジオ。災害時に重宝する。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902144842.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902144842j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902144842j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>学生の悪ふざけに近いノリ</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902145348.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902145348j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902145348j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>「死亡宣告された生者、その他の章」という展示。死者扱いされたインドの人々、ウクライナの児童養護施設の子供たちなど</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902145238.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902145238j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902145238j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>眼鏡を外してからトイレに入るタイプ</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902145459.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902145459j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902145459j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>平積みになった「華氏451度」。字が逆に印刷されている。誤発注レベル。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902145307.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902145307j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902145307j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>時計を内蔵した雑なテレビ。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902150341.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902150341j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902150341j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>キンタマみたいなのが浮かんでいる部屋</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902150421.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902150421j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902150421j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>ワーイ</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151010.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151010j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151010j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>めっちゃ威嚇する人形。ガンツっぽい。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151026.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151026j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151026j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>近くでみるとこいつが一番ガンツっぽい。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151253.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151253j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151253j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>裁判所。両脇にDJブースあり。ときどきガタンってなる。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151421.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151421j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151421j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>裁判所の裏はテニスコート。ネットは無情にも金網。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151722.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151722j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151722j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>小学生の妄想</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151745.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151745j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151745j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>小学生の妄想を見守る両親</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902151909.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902151909j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902151909j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>鏡張りの檻。風呂トイレ別。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902152048.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902152048j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902152048j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>チケットを買わなくてもタダで見られるゴミ。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902152224.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902152224j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902152224j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>本気で作ってみたけどレベルが低すぎて放置されたと思われるゴミ。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902152113.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902152113j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902152113j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>生ハム</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902164452.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902164452j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902164452j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>泥の中に入れるとネットで見たんだけど入れないからおねえさんにきいてみたら、前は長靴を置いてたけど勝手にそれをはいて泥に入る人がいて汚れるから撤去したとのこと。ガセ情報注意。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902152318.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902152318j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902152318j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>水汲みに片道4時間かけたすえにこれ。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902155948.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902155948j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902155948j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>部屋のムードを大事にするタイプの友達の家にいったときの違和感</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902160125.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902160125j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902160125j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>イッツ・ア・スモールワールド</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902160138.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902160138j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902160138j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>雑なUFOキャッチャー</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902160736.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902160736j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902160736j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>小学生のときの友達の家がこんなんだった。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140902/20140902160846.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140902160846j:plain" title="f:id:ryokdy:20140902160846j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>生き別れになった息子を探す目玉のオヤジ。</p> <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140906/20140906125943.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140906125943j:plain" title="f:id:ryokdy:20140906125943j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>休日は横浜トリエンナーレにGo!</p> ryokdy 伝説のグルーピー hatenablog://entry/12921228815731676036 2014-08-31T12:34:49+09:00 2014-08-31T12:43:01+09:00 photo by duskiboy 前に、渋谷ののんべえ横町で、店のマスターから、どんな不味い店でも固定客が5人は必ずいるもんだという話を聞いたことがある。わたしは飲食店に勤めたことがないのでそういうもんですかねという感じで聞いていたが、確かになんでこんなまずいのにつぶれないんだろうという店はときどき目にすることがある。 固定客というのは、店からすると継続した収益が見込めるありがたい存在だ。固定客がその店を気に入ってくれている限り、お金を払い続けてくれる。その期間が長ければ長いほど、その額は大きくなる。これを顧客生涯価値という。一般的に、成熟した市場ほど、新規顧客を獲得するよりも、現状の顧客を… <p><a href="http://www.flickr.com/photos/85542675@N00/181101177"><img src="http://farm1.staticflickr.com/61/181101177_dbab100f21.jpg" alt="" /></a></p> <p><a href="http://www.flickr.com/photos/85542675@N00/181101177">photo by duskiboy</a></p> <p>前に、渋谷ののんべえ横町で、店のマスターから、どんな不味い店でも固定客が5人は必ずいるもんだという話を聞いたことがある。わたしは飲食店に勤めたことがないのでそういうもんですかねという感じで聞いていたが、確かになんでこんなまずいのにつぶれないんだろうという店はときどき目にすることがある。</p> <p>固定客というのは、店からすると継続した収益が見込めるありがたい存在だ。固定客がその店を気に入ってくれている限り、お金を払い続けてくれる。その期間が長ければ長いほど、その額は大きくなる。これを顧客生涯価値という。一般的に、成熟した市場ほど、新規顧客を獲得するよりも、現状の顧客を維持した方がより多くの利益をもたらすとされている。京都のお座敷が一見さんお断りなのはこのためだ。既存顧客を維持するには、純粋に好きになってもらうという方法のほかにも、ポイントカードなどで囲い込むという方法もある。</p> <p>考えてみると、いつからか特定のタレントやグループや企業や商品に、特別執着することはなくなった。子どものころは本田美奈子と工藤静香のファンだったし、ゲームをしていたときはコナミのファンだった。高校生のときはガンズ・アンド・ローゼスやスキッド・ロウのファンだったし、ジュリエット・ルイスのファンだった。大学のときは村上龍や山口雅也のファンだった。中田英寿と中村俊輔がセリエAにいたころはスカパーで見ていたし、桜庭和志とヴァンダレイ・シウバが出る試合は欠かさず観た。家電は松下の製品を買うと決めていたし、飛行機はANAに乗ると決めていた。</p> <p>今は、なんのファンか挙げてみろといわれるとちょっと困る。最近ずっと吸っていたフィリップ・モリスが統合してラークに変わったが、別に寂しい気はしなかった。iPhoneやMacを使っているけど、他にまともなものがないから使っているだけで熱狂的なアップル信者というわけではない。しいて挙げればわたしは子どものころから松山の鹿島という島にある太田屋という店で海を見ながら食べる鯛めしとさざえの壺焼きを愛しているので、その店のファンだと答えるかもしれない。でもわたしはその店にはもう数年に一度しか訪れることはないので、安定した固定客ではない。</p> <p>商品には代替財と補完財というものが存在する。代替財というのはその商品の代わりに選択するもので、焼きそばUFOがなくなったらペヤングの売上は増える。JALが不祥事を起こせばANAの客が増える。わたしにとってはももクローバーZはAKB48の代替財だけど、AKB48のファンにとっては違うかもしれない。補完財というのは、商品を売るのに不可欠な別の商品のことだ。ニンテンドー3DSはモンスターハンター4の補完財だ。自動車教習所は自動車メーカーの補完財だから、トヨタは何年か前に免許をとろうというキャンペーンを展開した。補完財の価格が上がると、その商品の需要は下がる。東京湾アクアラインの料金が上がると、海ほたるの客は減る。逆にいえば、補完財が均質化して、誰でもタダ同然で手に入るようになれば、その商品の需要は増える。だから自動車メーカーにとっては、ガソリンと運転免許がタダで手に入ったほうが都合がいい。</p> <p>なにが言いたいかというと、特定の商品に多数の固定客やファンがつき、価値が高止まりしている状態というのは、その上のフォーマットで商売をしている人にとって都合が悪い場合があるということだ。音楽ストリーミングのサービスをしているベンダーにとっては、個々のミュージシャンに対して固定のファンがついている状態よりも、ミュージシャンや楽曲というものが均質化して、権利を安く手に入れ、いろいろなミュージシャンの音楽を聴いてもらえることに価値を感じてもらえたほうが都合がいい。個別のミュージシャンのファンはそのミュージシャンがいなくなればサービスから去ってしまうからだ。AKB48というフォーマットにとっては、個々のメンバーはなくてはならないいわば補完財であるけど、同じ理由でひとりのメンバーにファンが集中するのは都合が悪いはずだ。フォーマットの中に代替財を増やし、固定客のつきすぎたメンバーを「卒業」させるのはそのためではないかと思う。</p> <p>できることならまたなにかのファンになりたいなと思ったりもするけど、そうさせてくれないのはなにかの力が働いているからかもしれない。ただ本当に好きなものを自分で追いかけ続けるのも悪くはない。</p> <p>書きながら、そういえば、もう20年もほぼ毎日キリンの一番絞りを飲んでいることに気づいた。</p> ryokdy 予定だとそのみんなが裸になって、年取った女の人が映画に撮るわけ hatenablog://entry/12921228815731018167 2014-08-23T17:07:18+09:00 2014-08-23T21:10:25+09:00 大学1年生のとき、朝いつものように造形の授業を受けるために教室にいったら、部屋中のカーテンがすべて閉められてあった。今日はオイルバーでなにか描くということだけ伝えられていたので、わたしたちは真新しいオイルバーを広げて床にすわり、先生がくるのを待っていた。しばらくすると先生は白いガウンをまとった女性を連れて現れて無言で女性をわたしたちの前に立つよう促した。女性は化粧っ気がなく、髪も染めておらず、若くもおばさんでもなかった。女性は我々には関心がないというように無表情でガウンを脱いで全裸でわたしたちの前に立ち、ポーズをとった。どんな絵を描いたのかはまったく覚えていない。覚えているのは、隣に座っていた… <p>大学1年生のとき、朝いつものように造形の授業を受けるために教室にいったら、部屋中のカーテンがすべて閉められてあった。今日はオイルバーでなにか描くということだけ伝えられていたので、わたしたちは真新しいオイルバーを広げて床にすわり、先生がくるのを待っていた。しばらくすると先生は白いガウンをまとった女性を連れて現れて無言で女性をわたしたちの前に立つよう促した。女性は化粧っ気がなく、髪も染めておらず、若くもおばさんでもなかった。女性は我々には関心がないというように無表情でガウンを脱いで全裸でわたしたちの前に立ち、ポーズをとった。どんな絵を描いたのかはまったく覚えていない。覚えているのは、隣に座っていた学生が全身を青に塗っていたことと、陰毛を描くのを戸惑ったことだけだ。その後も何度か、ヌードデッサンの授業があった。ヌードデッサンの後は決まって材料力学の授業だった。断面二次モーメントの計算をしながら女性の裸を思い出したりはもちろんしなかった。</p> <p>先日、丸の内の三菱一号館美術館でバルテュスの写真展を見た。館内は女性客やカップルが多かった。展示されている写真は掛け値なしにどれも美しかったけど、眉をひそめる人もいるだろう。わたし自身も、涼しい館内を歩きながらやましいことなどなにひとつないという顔で写真を眺めていることに軽い背徳感を感じた。</p> <p><a href="https://www.youtube.com/watch?v=JSFB-xsUbLE">BALTHUS: The Last Studies at Gagosian Gallery 976 Madison Avenue, New York</a></p> <p>芸術かわいせつかという論争はいつの時代にもある。最近だと日本で女性芸術家が逮捕されたという事件や、愛知県の美術館でゲイの男性が裸で写っている写真がわいせつにあたるとして一部を布で覆い隠すということもあった。記事によると、警察に匿名の通報があったのだそうだ。こういうときは、いつも、芸術なのかわいせつなのかという議論がくりひろげられる。<a href="http://www.wikiart.org/en/francisco-goya/nude-maja-1800">裸のマハ</a>は裁判にかけられ100年近くも美術館の地下室に封印された。ゴヤは美しいものを守るため、そのカモフラージュのために<a href="http://www.wikiart.org/en/francisco-goya/the-clothed-maja-1800">着衣のマハ</a>を描いた。</p> <p>わたしは、村上龍の「限りなく透明に近いブルー」もナボコフの「ロリータ」も大好きだ。もちろんどちらも優れた文学作品として評価されているが、正直そんなことはどうでもいい。芸術かどうかの判定など無意味だ。芸術だからいいとか猥褻だから悪いというものはない。エロ漫画が芸術だと認定されたからといって、誰もがエロ漫画を見たくなるわけではない。村上隆はよくて永井豪は悪いはずがない。</p> <p>愛知で警察に通報をした人は自分が不快に思ったから、こんなものが存在するのは許せないと思ったのかもしれない。それをこれは芸術だからいいんですといっても納得しないだろう。一方で、表現の自由は憲法によって保障されている。美術館側に非があるとしたら、予めこの人に展示物の内容を知らせなかったことだ。</p> <p>前回、<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/08/16/093000">正しさについての記事</a>を書いた。</p> <ul> <li>幸福の最大化(美しいと思う人と不快に思う人がどれくらいいるか)</li> <li>自由の尊重(見たくないものを見ない権利が保障されるか)</li> <li>美徳の促進(社会道徳に反していないか)</li> </ul> <p>この基準に従ってレーティングをして、見るかどうかは個人にゆだねればいいのだと思う。芸術かどうかという基準は必要ない。</p> <p>iPhoneのアプリでは、4歳、9歳、12歳、17歳以上というレーティングがある。アーティストがデッサンをするときに使われる、3Dで人体ポーズを表示するアプリがあるが、これは女性モデル男性モデルともに、12歳のレーティングになっている。芸術かどうかは関係がない。ちなみにiPhoneではポルノや暴力的とみなされたアプリは公開することができないがこれはAppleのブランドとかイメージ的なものだろう。</p> <p><div class="itunes-embed freezed itunes-kind-software"><a href="https://itunes.apple.com/jp/app/artpose/id836464625?mt=8&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog" rel="nofollow" target="_blank"><img src="http://cdn.image.st-hatena.com/image/scale/71f273b93cbd0bb7d1c89424a12b52ad89302ad6/enlarge=0;height=200;version=1;width=200/http%3A%2F%2Fa1918.phobos.apple.com%2Fus%2Fr30%2FPurple5%2Fv4%2Fe2%2Fcf%2F04%2Fe2cf04ed-747e-d303-201b-2e58de06bbb3%2Fmzl.jfnquwtw.png" alt="ArtPose" title="ArtPose" class="itunes-embed-image"/></a><div class="itunes-embed-info"><p class="itunes-embed-title"><a href="https://itunes.apple.com/jp/app/artpose/id836464625?mt=8&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog" rel="nofollow" target="_blank">ArtPose</a></p><ul><li class="itunes-embed-artist">shawn ogle</li><li class="itunes-embed-genre">辞書/辞典/その他</li><li class="itunes-embed-price">¥300</li><li class="itunes-embed-badge"><a href="https://itunes.apple.com/jp/app/artpose/id836464625?mt=8&uo=4&at=10l8JW&ct=hatenablog" rel="nofollow" target="_blank"><img src="/images/theme/itunes/itunes-badge-appstore@2x.png" width="60px" height="15px" /></a></li></ul></div></div></p> <p>芸術は特権ではない。ただ70年代にセックス・ピストルズを理解できることが特権であったように、芸術を愉しめることは特権であってほしい。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102105026/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51WRDZ6A7HL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="ロリータ (新潮文庫)" title="ロリータ (新潮文庫)"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4102105026/ryokdy-22/">ロリータ (新潮文庫)</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">作者:</span> ウラジーミルナボコフ,若島正</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> 新潮社</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2006/10/30</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> 文庫</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">購入</span>: 19人 <span class="hatena-asin-detail-label">クリック</span>: 941回</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/4102105026/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (316件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> ryokdy 正義の対義語は不義なんだ。だけど世の中には正義の味方しかいない hatenablog://entry/12921228815730177733 2014-08-16T09:30:00+09:00 2014-08-16T09:30:00+09:00 ブレイキング・バッド SEASON 1 - COMPLETE BOX [Blu-ray]出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント発売日: 2014/08/06メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (1件) を見る Huluでブレイキング・バッドというドラマを見ている。海外ドラマはこれまでひとつもまともに見たことがない。ロストも24もプリズンブレイクも最初の2話くらいで挫折した。ブレイキング・バッドはほとんど毎日見ていてシーズン3の途中まできた。1話冒頭の、パンツ一丁でガスマスクをかぶったおっさんが猛スピードでトレーラーを運転しているシーンからして並のドラマではないこ… <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KAMZUZ8/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51a7r8kXRfL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="ブレイキング・バッド SEASON 1 - COMPLETE BOX [Blu-ray]" title="ブレイキング・バッド SEASON 1 - COMPLETE BOX [Blu-ray]"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00KAMZUZ8/ryokdy-22/">ブレイキング・バッド SEASON 1 - COMPLETE BOX [Blu-ray]</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> ソニー・ピクチャーズエンタテインメント</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2014/08/06</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Blu-ray</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00KAMZUZ8/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (1件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>Huluでブレイキング・バッドというドラマを見ている。海外ドラマはこれまでひとつもまともに見たことがない。ロストも24もプリズンブレイクも最初の2話くらいで挫折した。ブレイキング・バッドはほとんど毎日見ていてシーズン3の途中まできた。1話冒頭の、パンツ一丁でガスマスクをかぶったおっさんが猛スピードでトレーラーを運転しているシーンからして並のドラマではないことがわかる。アンソニー・ホプキンスやステーブン・キングが絶賛したというのも納得できる。ブレイキング・バッドのいいところは、オカルトと国家陰謀が出てこないことだ。ヒットするドラマはたいていそのどちらかだけど、わたしは好きではない。幽霊もテロリストにも出会ったことがないせいかもしれない。</p> <p>主人公の化学教師は、癌の宣告を受けたことをきっかけに覚せい剤の製造を始める。売人の元締めを地下に監禁して殺したり、覚せい剤の原料を盗んだり、弁護士と組んでマネーロンダリングをしたりする。タイトルのとおり、平凡な高校の教師だった男が、家族に金を残すために道を踏み外す、というのがストーリーの軸になっている。</p> <p>前回、不正をするリスクはどんどん上がるから<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/08/09/183535">まっとうに生きたほうがいい</a>というような記事を書いた。ここでいうリスクとは、逮捕されるとか、職や社会的立場を失うというようなことだ。ブレイキング・バッドの主人公の場合は、余命が残されていないから、これらのリスクはリスクではない。避けなければならないのはお金を失ってしまうことだけだ。物語の主人公というのは、基本的に正しいことをする。正しいことをしなければ観客は共感しないからだ。主人公の行動や考え方が共感されない物語というのは物語として成り立たない。だから何を考えているかわからない猫が主人公の物語みたいなのは滅多なことがないかぎり作られない。</p> <p>では正しいこととはどういうことか、と考えてみようと思う。がそんな哲学的な難しいことをひとりで考えるよりも、サンデル教授に聞いたほうが早いのでネットで調べてみた。あれだけテレビで正義とはなんぞやみたいな講釈をしてきたんだから、たぶんわたしが30分考えるよりも深い結論に至っているに違いない。そうじゃなかったらただの議論好きのおっさんだ。サンデル教授によると、正義とは、幸福、自由、美徳の3つの価値観から展開されるものらしい。わたしの解釈も勝手に付け加えてみる。</p> <h2>幸福の最大化</h2> <p>最大多数の人が最大の幸福を受けられるということ。</p> <p><b>= 合理性を追求すること。みんな幸せになれるのは正しい。</b></p> <h2>自由の尊重</h2> <p>人びとが強制を受けたり行動が制限されたりしないこと。</p> <p><b>= 多様性を認めること。自由に選択できることは正しい。</b></p> <h2>美徳の促進</h2> <p>道徳的、人道的、宗教的な観点への配慮があること</p> <p><b>= わびさびを重んじること。かっちょええのは正しい。</b></p> <p>これらは時には相反する価値観であるため、どの価値観を優先するかは配分は時と場合によるし、視点をどこまで上げて考えるかという問題もある。地球人にとって正しいことでも、火星人にはそうでないかもしれない。まったく逆のことがどちらも正しいということもあり得る。それでも、法律やルールというのは(建前上は)正しくなければならないものだから、このような価値観のもとに制定されるはずだ。つまり、基本的にはルールに従っておけば正しいことから大きく足を踏み外すことはないはずだ、たぶん。</p> <p>正しくないことをすると、罰を受けることがある。では、正しいことをするとどんないいことがあるかというと、共感してくれる人からの協力を得られたり、幸福感を得られたりする。ブレイキング・バッドの主人公には、罪の意識はない。自分が正しいことをしていると信じている。実際は覚せい剤を買った人が犯罪を犯したり、オーバードーズで死んだりしているはずだけど、そこには触れられていない。それを除けば、主人公は刑務所に行くこともなく、家族にお金を残すことができる。きわめて合理的な行動で、周りの人の自由を奪ったりもしていない。生徒からもいびられる冴えないおっさんが家族のために麻薬王になっていく様はある種の美徳を感じたりもする。</p> <p>人は誰もが正しいことをしようとしている。でも自分の行動が正しいかどうか自信がもてないこともある。仲間を裏切るような行為をするとき、これはモンキー・D・ルフィならやるだろうかと考えてみればいい。号泣した議員は、カラ出張をするときに島耕作ならやるだろうかと考えればよかった。ただ、これはウォルター・ホワイトならやるだろうかと考えるのはやめておいたほうがいいかもしれない。</p> <p>今日もブレイキング・バッドの続きを見る。</p> ryokdy 実をいうと、きみを監視してたのはジャグジーじゃなくておれなんだ hatenablog://entry/12921228815729919370 2014-08-09T18:35:35+09:00 2014-08-09T18:38:21+09:00 エネミー・オブ・アメリカ [Blu-ray]出版社/メーカー: ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン発売日: 2010/09/22メディア: Blu-ray クリック: 10回この商品を含むブログ (8件) を見る エネミー・オブ・アメリカを見るまでもなく、国民の監視というのは政府がやるものと相場が決まっている。 先日、ドライブレコーダーが売れているという記事を読んだ。すでにタクシーの搭載率は5割を超えているらしい。わたしはタクシーについているのは客がトラブルを起こしたりしないように犯罪抑止の目的で搭載されているものだと思っていた。ドライブレコーダーの本来の用途は、車両前方の映像を常時記録… <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003WN9Y40/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51-wLun44%2BL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="エネミー・オブ・アメリカ [Blu-ray]" title="エネミー・オブ・アメリカ [Blu-ray]"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003WN9Y40/ryokdy-22/">エネミー・オブ・アメリカ [Blu-ray]</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2010/09/22</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Blu-ray</li><li> <span class="hatena-asin-detail-label">クリック</span>: 10回</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B003WN9Y40/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (8件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>エネミー・オブ・アメリカを見るまでもなく、国民の監視というのは政府がやるものと相場が決まっている。</p> <p>先日、ドライブレコーダーが売れているという記事を読んだ。すでにタクシーの搭載率は5割を超えているらしい。わたしはタクシーについているのは客がトラブルを起こしたりしないように犯罪抑止の目的で搭載されているものだと思っていた。ドライブレコーダーの本来の用途は、車両前方の映像を常時記録して、交通事故が起こったときに正当性を証明するために使うものらしい。最近のタクシーは前方と室内の2台のカメラがついているものも珍しくない。事故を起こしたときに言い逃れできないため、ドライバーの心理的な事故防止にもつながるのだそうだ。</p> <p>そのドライブレコーダーが、個人用途として普及が進んでいるという話だった。Wikipediaによると2008年の個人用途での普及率は0.1%と書かれてあるが、<a href="http://www.insweb.co.jp/research/report/vol029-drive-recorder.html">最近のこちらの調査</a>では5.9%、とある。</p> <p>個人用途で普及している理由としては、価格が安くなってきたことに加えて、映像を常時記録することでライフログの用途に使うユーザーが増えているのだそうだ。確かに、Youtubeにはドライブレコーダーで記録したさまざまな映像がアップされている。この前は、民間人のドライブレコーダーが撮影した映像が誘拐事件の犯人逮捕につながったというニュースをやっていた。</p> <p>気づかないうちに撮影された自分の写真がFacebookにアップされているというようなことは日常的にある。キリっとした写真ならまだいいけど、だいたいは飲み会での醜態だったりする。わたしも含め、誰もがSNSのネタに備えてスマホをポケットに忍ばせている。目の前でおっさん同士が喧嘩をはじめようものなら、正義感の強い人々が容赦なくスマホを向けれてYoutubeにアップする。すでに、ドライブレコーダーと同じように、腕につけて音声を常時録音したり、首からぶらさげて常時映像を記録できるデバイスも売られている。それは前に言ったとか言わないとか、金を返したとか返さないとかいったトラブルがなくせるなら便利そうだ。もうすでに、自分の発言や行動は誰かが記録していると考えたほうがいいかもしれない。</p> <p><a href="http://wired.jp/2013/08/26/kapture-kickstarter-campaign/">&#x5E38;&#x6642;&#x9332;&#x97F3;&#x3001;&#x5FC5;&#x8981;&#x6642;&#x3060;&#x3051;&#x4FDD;&#x5B58;&#x3067;&#x304D;&#x308B;&#x30A6;&#x30A7;&#x30A2;&#x30E9;&#x30D6;&#x30EB;&#x6A5F;&#x5668;&#x300C;Kapture&#x300D; &laquo; WIRED.jp</a></p> <p><a href="http://www.autographer.com/#home">Home - Autographer - The World&#39;s First Wearable camera</a></p> <p>前に<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2013/12/07/201906">秘密の価値というエントリー</a>を書いた。個人の行動が常時記録されている社会においては、秘密を持つリスクが高くなる。不正をしようとしても、誰がその証拠を記録していつ暴露されるかわからないからだ。だから秘密を保つコストが高くなり、秘密を持つのはばかばかしいという風潮になる。不正や後ろめたいことをせずにまじめに生きているほうが、リターンを得られる可能性が高くなる。一方で、コストを払ってでもどうしても守らないといけない秘密を守りたいという需要が増える。</p> <p>それから、誰もが行動を記録する側の人間と、行動を記録される側の人間にわかれることになる。 記録する側になるのは、危機管理の意識が高い人や、正義感の強い人、自分の行動をライフログとして残しておきたいと思うようなタイプの人だ。犯罪や不正をしようとしている人は、証拠が残ると困るので、自分の行動を記録したいと思ったりしない。だからそういう人々は、誰かから行動を記録される側にまわることになる。有名人もこちらに入るかもしれない。有名になって行動が制限されるのを防ぐために、あえて有名にならないという選択肢をとる人が増えるだろう。</p> <p>人類総ケイドロ時代はすぐそこに迫っている。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00G787DFE/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41v7RBGEuVL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="ユピテル(YUPITERU) ミニタイプ常時録画ドライブレコーダー DRY-mini1" title="ユピテル(YUPITERU) ミニタイプ常時録画ドライブレコーダー DRY-mini1"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00G787DFE/ryokdy-22/">ユピテル(YUPITERU) ミニタイプ常時録画ドライブレコーダー DRY-mini1</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> ユピテル(YUPITERU)</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> Automotive</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00G787DFE/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (2件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> ryokdy 欲しいものを3ついえ、そう石仮面はいった hatenablog://entry/12921228815729378648 2014-08-02T09:00:00+09:00 2014-08-04T09:52:55+09:00 小学生のころ、コロコロコミックとかジャンプとかの漫画雑誌にはかならず通信販売の広告が掲載されていた。あるとき、わたしは広告がうたう商品の魅力に惹かれて、毎月祖母からもらっていた1500円の小遣いをため、こっそり商品を購入することにした。当時はお金を支払うのに、料金分の切手を購入して送るのが一般的だった。それを知らなかったわたしは現金をそのまま封筒に入れて送ったら、家まで戻ってきて祖母に一発で見つかった。祖母は特にとがめるでもなくそのお金で切手を買ってきてくれた。それに味を占めたわたしはそれからも何度か通販に手を出した。そのたびに祖母にあんたまたしょうもないもん買うたなとたしなめられることになる… <p><span itemscope itemtype="http://schema.org/Photograph"><img src="http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/r/ryokdy/20140801/20140801225954.jpg" alt="f:id:ryokdy:20140801225954j:plain" title="f:id:ryokdy:20140801225954j:plain" class="hatena-fotolife" itemprop="image"></span></p> <p>小学生のころ、コロコロコミックとかジャンプとかの漫画雑誌にはかならず通信販売の広告が掲載されていた。あるとき、わたしは広告がうたう商品の魅力に惹かれて、毎月祖母からもらっていた1500円の小遣いをため、こっそり商品を購入することにした。当時はお金を支払うのに、料金分の切手を購入して送るのが一般的だった。それを知らなかったわたしは現金をそのまま封筒に入れて送ったら、家まで戻ってきて祖母に一発で見つかった。祖母は特にとがめるでもなくそのお金で切手を買ってきてくれた。それに味を占めたわたしはそれからも何度か通販に手を出した。そのたびに祖母にあんたまたしょうもないもん買うたなとたしなめられることになる。</p> <p>当時通販で購入したのはこんなアイテムだった。</p> <h3>椰子の実が採れるブーメラン</h3> <p>今だとブーメランというと競技用の十字型で軽いものを想像するが、これはターザンが使うような、V字型のでかくて重いやつ。説明書には思い切り投げると戻ってくると書いてあったが、そんなものを思い切り投げる場所や勇気はなく、戻ってきたとしても怖くてぜったいキャッチできない。そもそも近くに椰子の木なんかなかった。</p> <h3>つけるだけで自転車が2倍速くなる玉</h3> <p>モーターが内蔵されたような機械仕掛けのものを想像していたが、届いたのはピンポン玉くらいの大きさのふたつの鉄球だった。後輪のスポークに取り付けると玉の重みで遠心力がつき、一度スピードができると速度が落ちにくくなる。その分ペダルは重くなるし決して2倍速くなるわけではない。「ハイピッチ」という名前だった。</p> <h3>空手の達人になれる板</h3> <p>それを壁にとりつけて毎日こぶしで殴っているだけで筋力が増して空手の達人になれると書いてあった。なんかすごいマシンなのだろうと思っていて、見たらなんか筆箱くらいの大きさのゴムの板に壁にくくりつけるひもがついていて、特別変わったしかけがあるわけではなかった。空手の達人になりたかったので壁にとりつけて数日間殴ってみたが達人にはなれなかった。空手を習ったほうがよかったのかもしれない。</p> <h3>一瞬で人を倒せる本</h3> <p>これを読むだけで一瞬で人を倒せるようになるという広告に惹かれて購入。10ページくらいの薄い本で、もはやなにが書かれてあったのかも覚えていない。こどもながらなんとなく、これをやっても人は倒せないなと冷静に思ったのは覚えている。</p> <h3>歯が真っ白になる歯磨き</h3> <p>別に虫歯があったわけでもないのになぜそんなものを買ったのか不明。こどものときからぱかぱか煙草を吸っていた兄が買えといったようなきがする。使ってみたがもともと歯が汚いわけではないので効果はよくわからなかった。これは今でもたまに売ってる。</p> <h3>忍者の手裏剣</h3> <p>鉄でできた手裏剣。伊賀忍者用と甲賀忍者用があった。投げたりするとマジで危ない。一時期本気で忍者になろうと思って濡れた半紙の上を走ったり風呂に潜ってストローで息をする練習をしたりした。あと柿の種を植えて毎日その上を飛び続けていると、それが背丈くらいまで成長したころにはものすごいジャンプができるようになると本に書いてあった。毎日植えた場所を飛んだが芽すらでなかった。</p> <h3>寝ていてもテレビが見られるメガネ</h3> <p>説明文には離れた場所にあるものが見られるというようなことが書かれていて、遠くに設置したカメラからメガネに映像が送られてくるようなハイテク機器を想像していた。悪用厳禁の文字に胸が躍った。これは一番高くて、確か5000円くらいした。届いたのは単なる斜め向きに鏡が取り付けられたメガネで、かけると真上が見えるというものだった。なんのカモフラージュもないので、変なメガネをかけているのはバレバレだ。さすがにこれを見たときはショックで手が震えた。大人になってからクライミングのショップでこのメガネが売られていて、実はビレイグラスという、立派な商品だった。クライミングをするときに、下でロープを持つ人が長時間見あげなくても済むように使うものだ。当時は日本にクライミングをする人などほとんどいなかったから、海外でこれを見つけた業者がわたしのようなアホなこどもに売るために輸入したのかもしれない。</p> <p>当時は、他にもブルーワーカーとか、ぶら下がり健康器とか、おもりの入ったリストバンドとか、健康器具がなぜかたくさん通販で売られていた(今でもそうかもしれない)。購入したものを見ればわかると思うが、わたしは体を鍛えたいわけでも健康になりたいわけでもなかった。広告が載っている漫画の主人公みたいに一瞬で人を倒したり、ブーメランで椰子の実を採ったり、すごいスピードで自転車に乗ったり、遠く離れた場所のものを透視したりしたかっただけだった。通販のページに載っているのはドラえもんの道具みたいにきらきらして見えた。今だったら悪魔の実に見えたかもしれない。そんなものが切手で買えるという幻想は何度も打ち砕かれた。クーリングオフという制度の存在すら知らなかった。</p> <p>わたしは小学生のときに、通販の商品に添えられたきらきらした宣伝文句が嘘であることを学んだ。学ぶための費用はこどもにとっては大金だったが、今思えばたいしたものではなかった。おかげで大人になっても、ビデオのモザイクが消えるアダプターとか幸運を呼ぶ壺みたいなものを購入せずに済んだ。</p> <p>今はどんなものであれ、購入するまえに、それがどんなものなのかほぼ正確に想像することができる。だけどときどき、なんだかすごそうだけど見たらがっかりするほどしょうもない映画を見たりする。そんなときはまただまされたな、へへみたいな気分になるけど、決して鏡のついたメガネが届いたときみたいに打ちひしがれたりはしない。</p> <p>本当は、どこか知らないところで、小学生のころに欲しかったようなきらきらした道具が売られていることを願っていたりする。</p> <p>たとえばこんなところに。 <a href="https://www.rakunew.com/">https://www.rakunew.com/</a></p> ryokdy 従業員という記号が存在しない世界 hatenablog://entry/12921228815728883496 2014-07-26T13:00:05+09:00 2014-07-26T13:44:34+09:00 こちらのブログを読んだ。 15分間の罵倒: いろいろにっき。 私がそれを浴びせられても心がこわれなかったのは、それは私っていう人格のために選ばれた罵倒じゃなくて、「従業員」っていう記号に向けられた罵倒だったからねー。 こちらのブログの方にまつわる議論がいろいろあるのは置いておいて、あえてこの内容が事実だとしてみる。とても大変だっただろうと思う。そして日本人はこの手の話が好きだ。横暴なおじさんクレーマーから放たれる呪詛を受け流すのは並大抵のことではない。たとえ自分個人の人格に向けられているのではないことを理解していたとしても、15分も罵倒を受けながら冷静でいるのは難しいことだ。同じフロアのサポー… <p>こちらのブログを読んだ。</p> <p><a href="http://luvnikki.seesaa.net/article/402420904.html">15&#x5206;&#x9593;&#x306E;&#x7F75;&#x5012;: &#x3044;&#x308D;&#x3044;&#x308D;&#x306B;&#x3063;&#x304D;&#x3002;</a></p> <blockquote><p>私がそれを浴びせられても心がこわれなかったのは、それは私っていう人格のために選ばれた罵倒じゃなくて、「従業員」っていう記号に向けられた罵倒だったからねー。</p></blockquote> <p>こちらのブログの方にまつわる議論がいろいろあるのは置いておいて、あえてこの内容が事実だとしてみる。とても大変だっただろうと思う。そして日本人はこの手の話が好きだ。横暴なおじさんクレーマーから放たれる呪詛を受け流すのは並大抵のことではない。たとえ自分個人の人格に向けられているのではないことを理解していたとしても、15分も罵倒を受けながら冷静でいるのは難しいことだ。同じフロアのサポートデスクに勤める聡明で沈着な女性たちが打ちひしがれているのを、何度も目にしたことがある。</p> <p>このブログを書いたのがおじさんであろうがそんなことはどうでもよくて、大事なのはこの話には共感を得るポイントがいくつかあるということだ。同時に、この話は日本以外では理解されないだろうなと思う。店は売り上げと無関係な作業に給料を支払い、客は店に対する具体的な要求をなにもすることなく、無駄に時間を費やしたことになる。</p> <p>日本人は、職についた瞬間から、その職を代表する一員として役割を演じることが求められる。コンビニの店員はコンビニの店員を演じるし、航空会社のCAはその役割を演じることが求められる。そして客のほうも、コンビニというものの一員としてその人を認識する。マクドナルドのスタッフの名前や顔をいちいち覚えていたりはしない。CAはみな同じ動作で非常設備の説明をするし、髪型や話し方も似ていて見分けがつかない。ユナイテッドエアラインのCAは人種も性別も年齢もさまざまで、機体が飛び立つまで思い思いにおしゃべりをしている。あくまでも個人として仕事をしている。社員教育が行き届いていないといえばそれまでだが、彼らは自らの職務範囲と権限を常に意識して業務を行っている。だから職務範囲でないことはいっさいやらないし、権限のないことはやってはいけない。客のほうもそれを理解している。先日、日頃お世話になっている人がアメリカに移住した。荷物の搬入を引っ越し業者に頼んだら、マンションの管理人がアポイントがないとして頑として譲らなかったという。そんなときは管理人といくら話をしてもだめで、管理人を管理している側と直接交渉しないといけない。例外処理をする管理人は管理人として失格ということになる。運転免許を取りにいったら2時間並んだすえに外国人向けの書類が一枚足りないといわれて追い返されたそうだ。苦痛はコンビニの客の比ではない。アメリカはクレーム社会だとよくいわれるが、クレームとは末端の従業員を罵倒するということではない。クレームというのは、しかるべき窓口に対して、相手に非がある根拠を明確に示し、具体的な要求をするということだ。</p> <p>最近、ニューヨークヤンキースの田中投手が自身の故障について謝罪したことが話題になった。アメリカ人はなぜ謝罪をしたのか理解できなかったらしい。田中投手はニューヨークヤンキースという共同体の一員として、役割を与えられているにも関わらず期待に応えられなかったことに対して謝罪をしたのだと思う。日本人の感覚としては不思議なことではないが、アメリカ人はニューヨークヤンキースを代表する人間として田中投手を見ているわけではない。ただひとりの才能のあるピッチャーが故意でもなく怪我をしたことに対して謝罪する様子は、奇異なものに映る。</p> <p>先日、サンフランシスコにいったとき、協業の打診をしている会社を訪問した。本当は同行していた上司といっしょに行く予定だったが、急遽上司に予定ができてひとりで訪問することになった。その会社を訪問するのは初めてだった。アポイントをとっていた担当者から、あなたはなにをしに来たのかと尋ねられ、テクニカルな問題を解決しに来たのだと答えた。具体的な契約についてはあとで上司とコンタクトをとってほしいと告げると相手の態度が変わって、技術の話をそそくさと終えるともう帰ってほしいといわれた。せっかく日本から来たのに失礼だなと思ったが、帰り際は非常にフレンドリーに入り口まで送ってくれたから悪気はないのだとわかった。相手はわたしを会社の代表として見ているのではなかった。一介のプログラムマネージャーの権限を見抜いて対応をしただけだった。日本企業は権限があいまいなので、末端のエンジニアであっても対応が取引を左右することがある。</p> <p>従業員という記号が存在しない世界でどうふるまうか、考えてみるのも悪いことではない。</p> ryokdy 美術館にいったらどうするか教える hatenablog://entry/12921228815728524440 2014-07-20T10:24:55+09:00 2014-07-20T11:06:20+09:00 3連休だ。夏は美術館にいくのがおすすめだ。美術館はクーラーが効いていて涼しいし、混雑もしていない。料金も1200円くらいでライブを見るより安い。わたしはたまたま夏休みで今日からまた沖縄にいくんだけど、そうでなければ新美術館のオルセー展か、六本木ヒルズのガウディの展示会を見に行っていたと思う。というか帰ったら行こう。 絵画に興味がない人に美術館の楽しさを説明するのは難しい。まわりにも美術館に行くのが趣味だという人はあまり多くない。わたしも20歳くらいまでまったく興味がなかった。結婚して京都に旅行に行ったときに、時間をつぶすためにたまたま立ち寄った美術館で印象派の展示会をやっていた。そこでルノワー… <p>3連休だ。夏は美術館にいくのがおすすめだ。美術館はクーラーが効いていて涼しいし、混雑もしていない。料金も1200円くらいでライブを見るより安い。わたしはたまたま夏休みで今日からまた沖縄にいくんだけど、そうでなければ新美術館のオルセー展か、六本木ヒルズのガウディの展示会を見に行っていたと思う。というか帰ったら行こう。</p> <p>絵画に興味がない人に美術館の楽しさを説明するのは難しい。まわりにも美術館に行くのが趣味だという人はあまり多くない。わたしも20歳くらいまでまったく興味がなかった。結婚して京都に旅行に行ったときに、時間をつぶすためにたまたま立ち寄った美術館で印象派の展示会をやっていた。そこでルノワールの、「ピアノを弾く少女」を見た。ルノワールというのは日本橋あたりでサラリーマンがたむろする喫茶店の名前だというくらいの知識しかなくてそれはルノアールなのだけどわたしは画家の名前はルノアールだと思っていた。ルノワールが描いた白い少女の肌の色は絶妙で、垂れた金色の巻き髪からは幸福さが溢れていた。なるほどこれは美しいものだなと思った。それから国内の美術展を見て回るようになった。鮮烈だったのは上野のプーシキン展で見たマティスの金魚だった。わたしは1時間近く同じ絵の前に立っていてそれでも帰るときに後ろ髪をひかれた。海外に出張に行ったときも、時間が許す限り美術館を訪れるようにしている。ホーチミンや上海にも美術館があってそれなりに趣のある作品が展示されていた。サンフランシスコのリージョン・オブ・オーナー美術館もよかった。</p> <p>日本の美術展にいくと、たいてい入り口のところに行列ができている。不思議なことに、出口に近づくにしたがって混雑は少なくなる。わたしはだいたい、入り口近くの作品はすっとばすか、興味がありそうなものだけを軽く見ることにしている。美術展は並んで最初から順番に見ないといけないというルールはない(はずだけど違っていたら教えてほしい)。入り口近くのものは習作とか小粒なのばかりなのでそんなにまじめに見なくてもいい。あと、音声の作品ガイドみたいなのを借りられるところが増えているけど、わたしは借りたことはない。あんなものをつけていると邪魔だし、絵を見るうえで作品の背景を知識として得ることが重要だとも思わない。ただ聞きたい人は借りればいいと思う。</p> <p>普通はひとつの展示会で、目玉の作品というのがひとつふたつある。そういうものは人気があるので、絵の前に行列ができる。近くで見たい人は行列に並ぶことになる。じっくり見たい場合は行列の邪魔にならないように、少しうしろで立ち止まって好きなだけ見ていればいい。好きな絵の前に立っていると、おなかのあたりがぽかぽかと暖かくなってずっとその場に立っていたくなる。この感覚は音楽を聴いているときとも似ているが、また独特なものだ。幸せな時間だな、と感じる。</p> <p>せっかくなので独断で一度実物を見て欲しい作品を紹介してみる。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/edgar-degas/the-star-dancer-on-stage">ドガ The Star</a></p> <p><a href="http://uploads6.wikiart.org/images/edgar-degas/the-star-dancer-on-stage.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads6.wikiart.org/images/edgar-degas/the-star-dancer-on-stage.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads6.wikiart.org/images/edgar-degas/the-star-dancer-on-stage.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>バレリーナの作品が有名。2010年に来日。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/eugene-carriere/meditation-1890">カリエール Meditation 1890</a></p> <p><a href="http://uploads1.wikiart.org/images/eugene-carriere/meditation-1890.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads1.wikiart.org/images/eugene-carriere/meditation-1890.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads1.wikiart.org/images/eugene-carriere/meditation-1890.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>あまり有名ではないけどモノクロ主体の濃淡で描く画風が特徴的で大好きな画家。2006年にカリエール展があったけど残念ながら行けなかった。上野の西洋美術館に常設している作品がある。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/edouard-manet/berthe-morisot-with-a-bouquet-of-violets-1872">マネ Berthe Morisot with a bouquet of violets</a></p> <p><a href="http://uploads2.wikiart.org/images/edouard-manet/berthe-morisot-with-a-bouquet-of-violets-1872.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads2.wikiart.org/images/edouard-manet/berthe-morisot-with-a-bouquet-of-violets-1872.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads2.wikiart.org/images/edouard-manet/berthe-morisot-with-a-bouquet-of-violets-1872.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>モネじゃないほうの人。2010年に来日。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/amedeo-modigliani/portrait-of-jeanne-hebuterne-with-her-left-arm-behind-her-head-1919">モディリアーニ Portrait of Jeanne Hebuterne with her Left Arm Behind her Head</a></p> <p><a href="http://uploads1.wikiart.org/images/amedeo-modigliani/portrait-of-jeanne-hebuterne-with-her-left-arm-behind-her-head-1919.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads1.wikiart.org/images/amedeo-modigliani/portrait-of-jeanne-hebuterne-with-her-left-arm-behind-her-head-1919.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads1.wikiart.org/images/amedeo-modigliani/portrait-of-jeanne-hebuterne-with-her-left-arm-behind-her-head-1919.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>印象的なスタイルの人物画を多く残している。2008年に国立新美術館でモディリアーニ展があった。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/balthus/the-golden-years">バルテュス The Golden Years</a></p> <p><a href="http://uploads3.wikiart.org/images/balthus/the-golden-years.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads3.wikiart.org/images/balthus/the-golden-years.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads3.wikiart.org/images/balthus/the-golden-years.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>バルテュスが描く少女と猫はみな不機嫌そうで、みな美しかった。2014年来日。京都では今個展やってるはず。20世紀最後の巨匠と呼ばれて2001年に亡くなった。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/johannes-vermeer/the-girl-with-a-pearl-earring">フェルメール The Girl with a Pearl Earring</a></p> <p><a href="http://uploads7.wikiart.org/images/johannes-vermeer/the-girl-with-a-pearl-earring.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads7.wikiart.org/images/johannes-vermeer/the-girl-with-a-pearl-earring.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads7.wikiart.org/images/johannes-vermeer/the-girl-with-a-pearl-earring.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>巨匠中の巨匠。ふだんは1800年代後半の絵ばかり見るんだけど、この人だけは別格。2012年に来日。これも行けなかったのが悔やまれる。</p> <p><a href="http://www.wikiart.org/en/pierre-auguste-renoir/mlle-irene-cahen-d-anvers-1880">ルノワール Mlle Irene Cahen d'Anvers</a></p> <p><a href="http://uploads4.wikiart.org/images/pierre-auguste-renoir/mlle-irene-cahen-d-anvers-1880.jpg!Blog.jpg" class="http-image" target="_blank"><img src="http://uploads4.wikiart.org/images/pierre-auguste-renoir/mlle-irene-cahen-d-anvers-1880.jpg!Blog.jpg" class="http-image" alt="http://uploads4.wikiart.org/images/pierre-auguste-renoir/mlle-irene-cahen-d-anvers-1880.jpg!Blog.jpg"></a></p> <p>2010年来日。もうルノワールだけでごはん3杯食べれる。息子も映画監督として作品を残している。若いころはこんな絵を描いていたのに、晩年は太った女性ばかり書いていたのはなんか考えさせられる。</p> <p>絵の傾向というか対象が似ているのはたまたまです。</p> ryokdy 未来を予想するということ hatenablog://entry/12921228815728010816 2014-07-12T23:50:05+09:00 2014-07-13T15:15:21+09:00 photo by tsevis ずっと前に、雑誌でスティーブ・ジョブズのインタービューを読んだことがある。まだAppleに復帰する前のNeXTにいたころだから、1990年代後半のものだ。内容はうろ覚えだが、"Post-PC Device"、つまりパソコンの次のデバイスはなにかという話題だった。当時はマイクロソフトが発表したWindows 95が爆発的に流行して、インターネットが家庭に普及し始めたころだった。Appleの製品は一部のマニアかデザイナーくらいしか使っていなかった。ジョブズはそのインタビューで、家庭に据え置くボックス型の、インターネットテレビのようなものが主流になるのではないかという… <p><a href="http://www.flickr.com/photos/88232386@N00/2313082920"><img src="http://farm4.staticflickr.com/3293/2313082920_27ce2a886e.jpg" alt="" /></a></p> <p><a href="http://www.flickr.com/photos/88232386@N00/2313082920">photo by tsevis</a></p> <p>ずっと前に、雑誌でスティーブ・ジョブズのインタービューを読んだことがある。まだAppleに復帰する前のNeXTにいたころだから、1990年代後半のものだ。内容はうろ覚えだが、"Post-PC Device"、つまりパソコンの次のデバイスはなにかという話題だった。当時はマイクロソフトが発表したWindows 95が爆発的に流行して、インターネットが家庭に普及し始めたころだった。Appleの製品は一部のマニアかデザイナーくらいしか使っていなかった。ジョブズはそのインタビューで、家庭に据え置くボックス型の、インターネットテレビのようなものが主流になるのではないかというようなことを話していた。当然のことながら、iPhoneやiPadのような携帯情報端末の話題はなかった。ジョブズはそれからAppleのCEOに復帰し、iPhoneが発売されたのはインタビューから10年たった2007年のことだ。その後、iPadが発売された2010年に、ジョブズはPost-PCの時代が到来したことを宣言した。インターネットテレビについていえば、Apple TVやChromeCastのようなそこそこヒットした商品が生まれているものの、成功しているとは言いがたい。ただ、ジョブズはAppleに復帰するずっと前から、PCの次のデバイスがなにかということを考え続けてきたことがわかる。</p> <p><a href="http://www.techrepublic.com/blog/tech-sanity-check/steve-jobs-proclaims-the-post-pc-era-has-arrived/">Steve Jobs proclaims the post-PC era has arrived - TechRepublic</a></p> <p>ジョブズのインタビューが行われたのと同じころ、駆け出しのプログラマーだったわたしは、会社の同僚と、10年後に流行するテクノロジーはなにかということを話し合ったことがある。わたしは、PalmやZaurusみたいな携帯情報端末(PDAと呼ばれていた)が流行る、といった。当時のPDAはモノクロの液晶画面をスタイラスで操作するおもちゃみたいなもので、日本語の入力さえ満足にできなかった。同僚は、PDAは大きすぎて車社会では使えるものの、電車通勤の日本では流行らない、携帯電話がもっと高機能になると思う、といった。結果的にいうと、どちらの予想も当たっていて、どちらの予想も外れていたことになる。PDAが普及しそうだということが分かっていても、携帯電話が高機能になりそうだということが分かっていても、誰もがスマートフォンを持つ未来を予想するのは意外と難しいものだ。スマートフォンはPDAみたいでもあり携帯電話みたいでもあるが、本質的にはどちらとも違う。PDAに電話機能をつけたものの完成形はWindows Phoneであり、携帯電話を多機能化したものはBlackBerryだ。どちらもすでに市場から姿を消している。</p> <p>スマートフォンをスマートフォンたらしめているのは、タッチインターフェイスだったりアプリマーケットだったりするのだけど、どちらもPDAや携帯電話の文脈の延長線上にはないものだ。でも、スマートフォンが発明されるであろうことを予想できなかったことは、恥ずかしいことではない。スティーブ・ジョブズのような業界の先端にいる天才でも予想できないことを、かんたんに予想することはできない。せいぜい、Appleの株を買って儲けた人たちがいるくらいだ。</p> <p>それでも、近い未来を予測して行動することはそれなりに意味がある。これからなにが流行するかわかっていれば、その分野に投資をしたり、就職したり、関連のビジネスを行うことで、そうでないことをやるよりも成功する可能性が高くなる。ただ、その仕事をやりたいかどうかは別の話だ。誰もが白いたい焼きを売ったり、ソーシャルゲームを作りたいわけではない。ただ、これから地方で本屋をやりたいという人はそうとうに工夫して儲かる方法を考えないといけない。</p> <p>モバイルの次はウェアラブルデバイスの時代だといわれている。それがどういうものになるかはわからないが、国内メーカーが販売するスマートウォッチのようなものはさっぱり売れないだろうと思う。それは今のモバイルデバイスの延長線上にあるからだ。前に、現代は所有するコストが高いので、多くの商品がレンタルかサービスでまかなわれるようになると<a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/05/13/214343">書いた</a>。この流れは当分とまらない。もうすでにどんな場所であっても、無線でインターネットにつながることができる。飛行機でもWiFiが使える。無線通信はもう当たり前の技術になった。技術的にはあらゆるデバイスが無線でつながることができる。そうすれば、身の回りにあるさまざまなデバイスとスマートフォンとを無線で接続してサービスを受けることができる。</p> <p>先日、世界初の完全にワイヤレスのイヤホンが、Kickstarterで資金調達したというニュースがあった。PDAからスタイラスが消えたように、今まで当たり前にあったものがなくなったということだ。未来へのヒントはこのへんにある気がしている。</p> <p><a href="http://www.digitaltrends.com/music/earins-cut-final-cord-create-truly-wireless-earphones/#!bdsOd2">Are the Earin the world&#39;s first truly wireless in-ear headphones? | Digital Trends</a></p> ryokdy 代わりを探すのがめんどくさい hatenablog://entry/12921228815727590763 2014-07-06T23:08:03+09:00 2014-07-06T23:17:13+09:00 安定供給できないものが世の中にはいろいろあって、そしてそれらは安定供給できないが故に、スーパーとかコンビニには売っていない。たとえばスーパーにはあれほど日本酒が並んでいるのに、まともな酒造でつくったまともな日本酒はほとんど置いていない。ちゃんとした製法と原料米でつくった日本酒というのは製造量に限りがあるし、その年によって出来も違うものだから、同じものがいつでも手に入るわけではない。だから販売できるのも、百貨店にある専門店やそれなりの酒屋といった、限られた店になる。わたしはスーパーに紙パックで売っているような日本酒を飲むと顔や首に湿疹ができる。若いころはそういうものしか飲んだことがなくて、味も甘… <p>安定供給できないものが世の中にはいろいろあって、そしてそれらは安定供給できないが故に、スーパーとかコンビニには売っていない。たとえばスーパーにはあれほど日本酒が並んでいるのに、まともな酒造でつくったまともな日本酒はほとんど置いていない。ちゃんとした製法と原料米でつくった日本酒というのは製造量に限りがあるし、その年によって出来も違うものだから、同じものがいつでも手に入るわけではない。だから販売できるのも、百貨店にある専門店やそれなりの酒屋といった、限られた店になる。わたしはスーパーに紙パックで売っているような日本酒を飲むと顔や首に湿疹ができる。若いころはそういうものしか飲んだことがなくて、味も甘ったるく酔ったおじさんが発する臭いと同じで嫌いだった。日本酒がうまいものだとわかったのは30近くになってからだ。考えると10年も損をしたことになる。</p> <p>専門店といっても、日本酒はそんなに高いものではない。一升瓶で三千円程度で十分すぎるほどうまいものが手に入る。コストパフォーマンスではワインなんかよりもずっといい。あまり日本酒を飲んだことのない人のために書いておくと、何県で作られた酒であれ、原料米が山田錦100%の純米酒を選べばとりあえずはそんなに外れないと思う。決して、大手メーカーの山田錦という銘柄の日本酒のことではない。それから日本酒は基本的に冷やして飲むものだ。冷蔵庫で冷やした純米酒を口の広いコップに注いで口にふくむと、果実のような匂いがする。ワイングラスにいれてもいい。いつもは獺祭とか、作、出羽桜、楯の川あたりの香りのいい純米酒を目当てにでかけるのだけど、さっきも書いたようにいつも同じものが売っているとは限らない。そういうときは代わりに違うものを選ばないといけない。新しい銘柄を発見できるという期待感もあるが、失敗したくない、なるべく自分の好みの酒に近いものを選びたいという気持ちのほうが強い。できることなら、自分の好きな銘柄が年中いつでも手に入るという状態のほうがありがたい。ネットで探せばいつでも手に入ることは手に入るのだが、たいていは馬鹿みたいな値段がついているので手を出す気になれない。今見たら、ふだん2,800円ほどで買っている獺祭純米大吟醸はアマゾンで10,780円だった。これにさらに送料がかかる。</p> <p>これがたとえばスーパーに売っているキャベツとかそういうものであれば、北海道のキャベツがなければ茨城県のにしようとか、キャベツがなければレタスでもいいんじゃないかとかいうことになる。群馬県の佐藤さんがつくったキャベツじゃないと駄目というのはよっぽどキャベツにこだわりがあって、そのキャベツが特別な場合だけだ。つまり、バリエーションがあって、違いが明らかに分かるものであるほど、好みに左右される。カップラーメンとかがそうだ。世の中にはペヤングがなくなると路頭に迷う人がいる。でもある日突然ペヤングが一斉にあらゆる店舗から姿を消すことはそうそうない。</p> <p>代わりを探すのがわずらわしいものというのはほかにもある。たいていは安定供給が難しいものであるけど、トレンドの移り変わりが激しいものもそうだ。衣服なんかはたいていその年のシーズンが終われば同じものは作られない。ユニクロであってもそうだ。わたしは服を買いに行くのが嫌いではないが好きなわけでもなくて、特に店員から欲しくもない服を勧められたり試着したりするのは煩わしいので、気に入っている服とか靴とか、古くなっても同じものが欲しいと思ったりするけど、同じものが置いてあることはない。だから毎年何回かは、似たような服を探すために店員から欲しくもないものを勧められたり試着したりしないといけない。さすがに年中リーバイスの501にヘインズのTシャツにコンバースのハイカットを履いているわけにはいかないけど、本当はそんな感じで過ごせたらいいのにと思う。</p> <p>それでもまだ酒や服なんかは、同じ店に行けば同じテイストの商品に出会える可能性は高い。一番代わりを探すのがやっかいなのは、人だ。美容室や歯医者、マッサージなどは、店ではなく人を目当てにして行くものだ。本当に信頼している人が辞めてしまった場合、その店に通い続ける理由はなくなる。お願いだからわたしが髪を切ってもらっている美容師さんはやめないでほしいと祈っている。辞めないでいただけるなら、半年に一回くらいよくわからないヘッドスパとかをやってみてもいい。</p> <p>ものやサービスが溢れて好きなだけ選べるようになると、消費者は欲しいものを選ばないといけなくなる。よいものを選ぶためにはそれなりに勉強したり、経験したり、順番を待ったりしないといけないものもある。インターネットは手助けをしてくれるけど、欲しいものを選んでくれたりはしない。そういうわずらわしさを積み重ねることで、少しだけ人生が豊かになることもある。</p> ryokdy 勉強と学習と訓練の違い hatenablog://entry/12921228815727099291 2014-06-30T08:00:00+09:00 2014-06-30T08:00:06+09:00 このところ、ブログなどで「英語」と「プログラミング」に関する記事をよく目にする。このふたつのスキルが特に取りあげられることに違和感はない。この10年で、これまでハードウェアで行ってきたさまざまなことがソフトウェアで行われるようになった。テレビを家で作ることはできないが、iPhoneで動画を再生するソフトウェアであれば中学生でも作れる。メモリの拡張も、ネットワークの構成変更も仮想化技術を使ってソフトウェアだけで制御できる。インターネットと仮想化技術の発達によって、プログラミングによって実現できることが飛躍的に増えている。ソフトウェアの世界というのは箱庭みたいなものだ。箱庭が大きく、緻密であればあ… <p>このところ、ブログなどで「英語」と「プログラミング」に関する記事をよく目にする。このふたつのスキルが特に取りあげられることに違和感はない。この10年で、これまでハードウェアで行ってきたさまざまなことがソフトウェアで行われるようになった。テレビを家で作ることはできないが、iPhoneで動画を再生するソフトウェアであれば中学生でも作れる。メモリの拡張も、ネットワークの構成変更も仮想化技術を使ってソフトウェアだけで制御できる。インターネットと仮想化技術の発達によって、プログラミングによって実現できることが飛躍的に増えている。ソフトウェアの世界というのは箱庭みたいなものだ。箱庭が大きく、緻密であればあるほど、実現できることも増える。かつてはパソコンが操れるといっても、せいぜい内蔵されたスピーカーから音が出せるとか、絵が描けるといった文字通りパーソナルな、小さな箱庭だった。今は地球の裏側にいる人のポケットにまで箱庭が広がっている。プログラミングができるということは、その世界を意のままに操れるということだ。</p> <p>英語が必要なのは、どんな産業であれ、日本国内だけで商売をするということが実質難しくなっているからだ。マーケットは頭打ちで、労働力は減り、海外からは新興国の安い製品が入ってくる。だから海外展開していない企業であっても、比較優位原則に従って、海外から人を雇ったり、食材や部品を仕入れたり、仕事をアウトソーシングしたりする。その場合、英語で現地の担当者と直接コミュニケーションできたほうが交渉や作業は円滑に進む。</p> <p>個人的には、身につけることをお勧めしたいスキルというのはもっと他にもある。</p> <h5>UI/UXのスキル</h5> <p>デザインが付加価値を生むことが浸透したため優秀なデザイナーは引く手あまたという印象。かんたんにいえば絵を描くスキルだが、センスだけではなく、デザインによって問題を解決するスキルが求められる。</p> <p><a href="http://ryokdy.hatenablog.com/entry/2014/06/15/221253">UI/UX&#x304C;&#x3082;&#x3066;&#x306F;&#x3084;&#x3055;&#x308C;&#x308B;&#x7406;&#x7531; - &#x30DE;&#x30C1;&#x30EB;&#x30CE;&#x30CB;&#x30C3;&#x30AD;</a></p> <h5>論理的に考えるスキル</h5> <p>相手を説得するのに役立つ。また、見通しを明るくしてやるべきこととやるべきでないことを決めたり、リスクを減らすのに役立つ。</p> <p>挙げてみると、どれも学校では習わないものばかりだ。そしてそれは当然なことで、スキルというのは勉強して身につけるものではなく、訓練するものだからだ。英語は習うじゃないかといわれるかもしれないけど、高校の勉強をしただけでは聴く訓練も話す訓練もしていないから会話はほとんどできない。theoryもthemeも聞き取れない。昔カナダ人の同僚にもっと英語を勉強したいといったら笑われたことがある。彼は日本語で、もっと「練習」したほうがいいねという表現を使った。studyとlearnと、practiceはそれぞれ違っていて、基本的に学校はstudyの場で、practiceの場ではない。それは間違っていないと思う。訓練というのは時間がかかるもので、適正があり、誰にでも必要なわけではないからだ。最近は子ども用のプログラミング教材みたいなものもある。画面でアイコンとコマンドを組み合わせるとかんたんなゲームみたいなものができるらしいが、そういうのはわたしは好きではない。勉強にも訓練にもならないからだ。本当に興味がある子どもは、子どもだましを嫌う。</p> <p><a href="http://kyouki.hatenablog.com/entry/2014/06/25/065606">&#x82F1;&#x8A9E;&#x3068;&#x30D7;&#x30ED;&#x30B0;&#x30E9;&#x30DF;&#x30F3;&#x30B0;&#x3001;&#x3069;&#x3061;&#x3089;&#x3092;&#x512A;&#x5148;&#x3057;&#x3066;&#x5B66;&#x3076;&#x3079;&#x304D;&#x304B;&#xFF1F; - ICHIROYA&#x306E;&#x30D6;&#x30ED;&#x30B0;</a></p> <blockquote><p> 「本質的なスキル」にプラスアルファとして、「英語」や「プログラミング」があり、それができれば有利になる場合が多くあるのだと思う。</p></blockquote> <p>わたしはこの意見に賛成だ。スキルというのは問題を解決するために使うものだ。 仕事というのはだいたいこんなふうに分類される。</p> <ul> <li>商品をつくるひと</li> <li>顧客にサービスをするひと</li> <li>売る方法を考えるひと</li> <li>人と会って交渉をまとめるひと</li> <li>会社や社員のサポートをする人</li> </ul> <p>それぞれに解決すべき問題があって、前述したようなスキルがあれば、問題の解決に有利になる場合がある。営業がしたいのに無理にプログラミングを「練習」する必要はなくて、他に有利になる可能性が高いスキルがあればそれを磨けばいい。したいことがなにもなければ、とりあえずどちらかをやっておけば後で役立つかもしれない、というくらいだ。ただどちらも身につけるには相当の時間と労力がかかるので長続きしないし、とりあえずやるにはお勧めしない。それよりも自分がやりたいことを先に探したほうが効率的だ。それでも身につけたければ、やるしかない状況に身を置くのが一番の近道だと思う。</p> ryokdy 先生とギターとマンドリンの話 hatenablog://entry/12921228815726603002 2014-06-22T11:00:00+09:00 2014-08-16T11:02:57+09:00 何年か前に地元のバーで飲んでいたら、たまたまわたしと同じ高校に通っていたという大学生がいて、話をした。何の部活をやっていたのかと尋ねたら、ギタマンす、と答えた。ギターマンドリン部というのが正式な名称らしかった。学校でバンドの練習をして、文化祭やなんやでライブをするのだそうだ。大人たちに不満を持つ若者たちは、衝動的にギターを手にとって声の限りに叫ぶものだ。学校の部室で学校や社会に反抗する歌をうたっても、なんの説得力もない。マンドリンはやってんの? と聞いたらそんな楽器は見たこともないという。 わたしが高校に入学したとき、その部はただのマンドリン部だった。ギターマンドリン部という名前になったのは、… <p>何年か前に地元のバーで飲んでいたら、たまたまわたしと同じ高校に通っていたという大学生がいて、話をした。何の部活をやっていたのかと尋ねたら、ギタマンす、と答えた。ギターマンドリン部というのが正式な名称らしかった。学校でバンドの練習をして、文化祭やなんやでライブをするのだそうだ。大人たちに不満を持つ若者たちは、衝動的にギターを手にとって声の限りに叫ぶものだ。学校の部室で学校や社会に反抗する歌をうたっても、なんの説得力もない。マンドリンはやってんの? と聞いたらそんな楽器は見たこともないという。</p> <p>わたしが高校に入学したとき、その部はただのマンドリン部だった。ギターマンドリン部という名前になったのは、高校2年の春だ。ギターマンドリン部の初代部長は、わたしだった。</p> <p>マンドリン部の部室は旧校舎と呼ばれていた木造の校舎の一角にあって、ほとんど使用されておらず、主に生徒が煙草を吸うために用いられていた。その頃はまだ社会全体が煙草に寛容な時代だった。職員室でも普通に教師は煙草を吸っていたので、生徒が少々ニコチン臭くてもわからなかった。教師の中にひときわ煙草臭いけんぞう先生という教師がマンドリン部の顧問だったせいもある。</p> <p>けんぞう先生は英語の教師で、ときどきなんの前置きもなくギターを教室に抱えてきては、ボブ・ディランやらクリーデンス・クリアウォーターやらを歌って生徒に聴かせた。無精ひげで、頭髪は当時すでに後退していた。グレイトフルデッドのメンバーにしてもおかしくないような風貌だった。煙草の吸いすぎで肺をやられているとか、飼っていた猫が捕まえてきた鳩を焼いて食ったことがあるという逸話を持っていた。ギターがうまくて、フラメンコも弾けたりした。</p> <p>わたしは成り行きでマンドリン部に入部した。なにか部活に入らないといけないというのと、ほとんど活動がないというのが理由だった。マンドリンという楽器は見たこともなかった。ギターと同じようなものだろうと思っていたが実際はぜんぜん違っていた。同じ音の対になった弦が4組ずつ8弦あって、基本的に単音を刻んで弾く。チューニングもギターとは違う。新入部員はわたしともうひとり、2年の先輩がふたりいたが、ふたりともマンドリンは弾けなかった。1年の文化祭では3日だけ練習して校歌をマンドリンで演奏した。なぜかけんぞう先生と用務員のおじさんがギターを弾きたいと言いだして、いっしょに弾き語りでドック・オブ・ザ・ベイを歌った。用務員のおじさんマジで関係なかった。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00AY1NWEQ/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/41LI4pF1nuL._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="ドック・オブ・ザ・ベイ" title="ドック・オブ・ザ・ベイ"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00AY1NWEQ/ryokdy-22/">ドック・オブ・ザ・ベイ</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">アーティスト:</span> オーティス・レディング</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> ワーナーミュージック・ジャパン</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 2013/04/24</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> CD</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B00AY1NWEQ/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (1件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> <p>2年のとき、同級生のお兄ちゃんがいらなくなったドラムセットをくれるというので、けんぞう先生の車で取りに行った。先生の車にはFENがかかっていて、めちゃめちゃ煙草くさかった。途中で腹が減ったというのでモスバーガーに入ったが、パンじゃないのはあるかといって店員を困らせ、結局きんぴらライスバーガーを食べていた。立て続けに煙草を吸いながら、お前らもすってるやろ、欲しかったらやるぞといわれたがいえ吸ってませんと嘘をついた。その日のうちにドラムセットを部室に運んで、爆音で演奏していたら突然体育教師が4、5人やってきて、けんぞう先生は連行されていった。その後ろ姿は、屈強な警官たちに囲まれたしょぼくれたヒッピーみたいだった。わたしは、愛と平和が暴力によってかんたんに弾圧されることを知った。学校にヒッピーはいらない。</p> <p>夏休みが明けて部室にいったら、部室にはいらなくなった机や椅子やらが山積みにされていて、練習するスペースはどこにもなかった。ドラムセットやアンプなどの機材も隅に追いやられていた。わたしはすぐに隣に部室がある吹奏楽部のしわざだとわかった。顧問の音楽教師はわれわれを目の敵にしていた。やつらはただ夏休みのあいだ毎日ピーヒャラ笛を吹いていたわけではなかったのだ。わたしはけんぞう先生にかけあって、机を撤去してもらうように頼んだ。実際に机が撤去されたのは、文化祭の1ヶ月前だった。わたしは異様に殺風景になった部室で、文化祭でライブをすることを決めた。ライブをするにはPAやまともなアンプが必要だ。ギターマンドリン部の部費は一円もなかった。その話をしたら、けんぞう先生は、そんなもんわたしが出したるわ、といった。そして本当に費用を出してくれた。軽く10万以上はかかったと思う。文化祭の費用が教師個人のポケットマネーから出されるのを黙認する学校もどうかと思う。</p> <p>そんなわけで、ギターマンドリン部は学校史上初めて文化祭ライブを行った。そのときのことは恥ずかしいので書けない。3年のときは予算がとれたのかけんぞう先生のポケットマネーではなくなって、少し機材がましになった。</p> <p>卒業するとき、けんぞう先生はなんか好きなCDを買ってやるといって、レコード屋に連れていってくれた。わたしは、リリースされたばかりのレニー・クラビッツのAre You Gonna Go My Wayを選んだ。邦題は「自由への疾走」。卒業にふさわしいアルバムだった。そのCDは何度も聞いた。大学3年のときにお金に困って中古CD屋に300円で売り払われるまで何度も聞いた。</p> <p>わたしはバーでその大学生に向かって、おれとけんぞう先生がつくったギターマンドリン部をギタマンとか呼ぶのはやめろといった。大学生はまったく興味がなさそうだった。</p> <p>そのあと、地元で毎年行われているフルマラソンの大会の完走者リストの中に、けんぞう先生の名前があるのを見つけた。もう60は超えているはずだ。肺が悪いといっていたのは嘘だったらしい。今でも飼い猫が捕まえてきた鳩を食ったりしてるんだろう。</p> <p>あんなにむちゃくちゃでわたしに優しくしてくれた教師は後にも先にも会ったことがない。英語を教わった記憶がいっさいないのが残念ではある。</p> <p><div class="hatena-asin-detail"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000000WJA/ryokdy-22/"><img src="http://ecx.images-amazon.com/images/I/51lAb-heX8L._SL160_.jpg" class="hatena-asin-detail-image" alt="Are You Gonna Go My Way" title="Are You Gonna Go My Way"></a><div class="hatena-asin-detail-info"><p class="hatena-asin-detail-title"><a href="http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000000WJA/ryokdy-22/">Are You Gonna Go My Way</a></p><ul><li><span class="hatena-asin-detail-label">アーティスト:</span> Lenny Kravitz</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">出版社/メーカー:</span> Virgin Records Us</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">発売日:</span> 1993/03/09</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">メディア:</span> CD</li><li><span class="hatena-asin-detail-label">購入</span>: 2人 <span class="hatena-asin-detail-label">クリック</span>: 7回</li><li><a href="http://d.hatena.ne.jp/asin/B000000WJA/ryokdy-22" target="_blank">この商品を含むブログ (24件) を見る</a></li></ul></div><div class="hatena-asin-detail-foot"></div></div></p> ryokdy