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おもてなしがネットに勝てない理由

 先週、横浜に買い物にいった。買いたいものがいくつかあって、地下街とデパートをまわった。洋服のことはあまり詳しくないので、ジャーナルスタンダードとかビームスとかそういう誰でも知っている店で洋服を買っている。そういう店に入ったら、週末ではあったのだけど、なんかいつもより人が多い。レジに並んでいる人も馬鹿みたいに多い。洋服を選んでいたら店員が近寄ってきて、これはリネンですよとか色違いはこれとこれでみたいに丁寧に教えてくれて、ちょっと肩をあわせてみますかというのでじゃあお願いしますといって、サイズもちょうどよかったのでこれ買いますといったら、じゃああちらにお並びくださいと、並んでいる人でごった返しているレジを指さしていった。

 レジは我々でいうところの、M/M/1の待ち行列だった。つまり列がひとつで、レジを処理する窓口もひとつ。で、このレジの処理能力がおそろしく低い。なぜかというと、

  • 接客担当の店員がカウンターに置いた洋服を選んで持ってくる
  • 現金ですかカードですか
  • 支払う、もしくはサインを書く
  • ポイントカードを持っていない客にポイントカードの案内をする
  • キャンペーンの割引券の説明をする
  • 丁寧に包む
  • わざわざカウンターから出て商品を客に渡す
  • うやうやしく礼を言う

 こういうことをひとりひとりにやっている。見ていると、ポイントカードを持っている客は半分もいなかった。またそんなに後が使えているのにポイントカードを作るとかいうやつがいてお前はちょっと待てと。そんなものはネットででもやれと。うんざりするほど待ってようやくレジをすませたあと、別の店に入ったらちょっと欲しい長袖Tシャツ(3500円)を見つけて、レジまで行ったらやっぱりそんな調子で、3500円の品物を買うためにもう一度列に並ぶのがばかばかしくなって返してしまった。

 よく考えたら、4月から消費税があがるのだそうだ。だから今の時期は特別買い物客が多いのかもしれない。でもそんなことはどうでもいい客もいる。わたしは並ばなくて済むなら今消費税を8%払ってもかまわないし、ポイントカードもいらない。包装もいらない。

 で、ちょっと買いたいものがあって、帰りに百貨店のおもちゃ売り場に寄った。ここでも接客の店員はどこにでもいるのに、レジはひとりでやっていた。客もわたしの前にひとりだけだったが、その客が福引きかなにかをやるといっているのかおそろしく時間がかかって、20分ぐらい待たされたので近くにいる店員をつかまえてレジをやってくれと頼んで、ようやく店から出ることができた。何人もいる接客の店員は店内をうろうろして、こどもたちに微笑みかけているだけだった。

 こういう不満に対する常套句は、「ネットで買え」だということを知っている。

 先日サンフランシスコに行ったとき、アップルストアで品物を買ったら、接客のスタッフが、持っているiPhoneのスクリーンに指でサインをするだけでその場で決済をしてくれた。包装はシールだけだ。店はけっこう混雑していたが、長いレジに並べともポイントカードを作れとも言われなかった。袋は言えば持ってきてくれたと思う。日本のアップルストアでもそうなのかは知らない。

 本当のおもてなしというのはこういうことなのだと思う。